コラム
<コラムのバックナンバー>

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『2014年最後の』(No.674/2014.12.26)
今年最後の配信となりました。本年も一年間、無事に休むことなく配信を続けることが出来ました。ご覧いただいているみなさんのおかげです。ありがとうございました。
個人的に、今年の映画関連のニュースとしては、三軒茶屋の映画館がとうとうすべて閉館となってしまったことが大きかったです。残念。『三軒茶屋シネマ』が閉館されたのが7月、以降、三軒茶屋中央劇場も三軒茶屋シネマも閉館した姿のままです。いずれはマンションになるのか何になるのか..。
全国的にミニシアターが減っていますし、シネコンはあまり好きじゃないので、映画館に足を運ぶ回数も減っています。それでも、映画産業そのものは継続していますし、素晴らしい作品ももちろんあります。これからもずっと映画を応援していきたいと思います。来年は”映画”のハードウェアもソフトウェアも、新しい試みや技術がたくさん出て、明るい話題が増えますように。みなさんも風邪など引かれませんよう。来年もよろしくお願いします。


『コリン・ヘイ』(No.673/2014.12.19)
80年代洋楽は個人的に青春の音楽なんですが、当時オーストラリア発のロックで世界を席巻していたのがメン・アット・ワーク。1981年に発表したデビューアルバム『ワーク・ソングス(Business as Usual)』でいきなり大ヒットを飛ばし、グラミー賞の最優秀新人賞も獲得しました。彼らをスターダムに押し上げたシングルヒット「ノックは夜中に(Who Can It Be Now?)」、「ダウン・アンダー(Down Under)」などは今でもよく聞きます。もちろん、いずれも全米ナンバーワンヒットとなりました。
先日、iPodが壊れたので新しい機種を買い、いろいろとCDをレンタルして曲を入れていたのですが、懐かしいのも入れるか、と、メン・アット・ワークのCDを(レコードは持っていますが、CDはベスト盤のみ)借りようと思ったところ、レンタルショップにはデビューアルバムとベスト盤しかなく、聴きたかったその後の2枚のアルバムがないんですね。で、ネットで調べてみると、安く売られていたので、買おうかと思ったのですが、ついでにさらに調べてみると、何と、フロントマンだったコリン・ヘイが、30年以上経った今もソロ活動を継続していることが判明。しかも結構アルバムが出てる。驚きました。ソロデビュー作も悪くなかったですが、その後、ここまで積極的に活動しているとは。早速YOUTUBEで楽曲を聴いてみると、どれもいいっ。さすがに日本ではほとんど取り上げられていませんが、輸入盤は入手可能。渋い声、独特のメロディーセンス、ひねりの効いた詩。健在です。しばらくハマりそう。メン・アット・ワークをご存知の方もそうでない方もぜひ。

http://www.colinhay.com/


『タブレット・デビュー』(No.672/2014.12.12)
自宅のネット環境をWiMAXに変更、キャッシュバックも受けられるので、タブレットを買いました。「Kindle HD6」です。1万円ちょっとと値段が安かったのと、そもそもタブレットの主な使用目的がメールとWeb閲覧なので、まあこれで十分かと。この用途さえこなしてくれれば、サイズは小さい方がいいですしね。画面は6インチ。なので、スマホより一回り大きい程度。以上の使い方だと十分です。もともとKindleの電子書籍リーダーは持っていたのですが、タブレットでも電子書籍は十分読めます。むしろ動作はサクサクしていて快適。なんとなくタブレットの必要性を感じていなかったので敬遠していましたが、最初からこれを買えばよかったと反省..。WiMAXも外では不安定なときもありますが、おおむね満足。あらためて便利な時代になったなあと思います。
自分はこのメルマガで書いている映画も一応それなりに大きな液晶テレビの画面で見ていますし、そこはやっぱり違うとは思うんですが、まわりには、映画やドラマもすべてスマホ、ないしはタブレットで見るという人も少なからずいます。実際それでもいいんでしょうね。音声もイヤホンで聞けばハッキリ聞こえますし。
ただ、丸一日外出で、パソコンではなくタブレットを持ち歩くとなると、一番問題なのはバッテリーですね。kindle電子書籍リーダーだと8週間ぐらい持ちましたので、そこは全然違うなと。その不安を解消するためには、携帯用のバッテリーを一緒に持ち歩くなど、考えないといけない。もちろん、いずれ解消されると思いますが、便利さを実感しつつ、まだまだハードウェアに左右される部分も多く、SF映画に登場するような軽やかなものは、まだ少し時間がかかるのかも、と。


『モバイル通信』(No.671/2014.12.05)
自宅のネット環境はADSLを引いていたのですが、家で使うだけでなく、外出した際にもパソコンをネット環境につなぎたいと思いまして、この度、高速モバイル通信にしました。WiMAX(ワイマックス)です。専門学校の講師を務めるようになってから、ずっと欲しいと思っていたんですが、月数回の頻度ということもあり、費用の問題から手が出ずにいました。ただ、他にも外に出る仕事が増えたのと、いろいろ調べると、結構割引サービスがいっぱいあるので、思ったより安く導入できるんじゃないかと。
費用はWiMAXのホームページから申し込むと月額3,696円(税抜)。で、いろいろ他に調べてみるとホントにたくさんの割引サービスがありました。キャンペーンなんかもめちゃくちゃあります。多いのは、キャッシュバックとタブレットサービス。キャッシュバックは1万円〜2万円、タブレットは2万円前後の製品が無料でもらえます。すごい..。でも、安くなればなるほど、キャッシュバックの手順などが面倒くさくなるようで、安易に飛びつくのは危険なようです。

とういことで、いろいろ考えて、個人的にはNIFTYにしました。お店の回線もNIFTYなので、追加で契約すると、数百円安いのと、キャッシュバックが1万5千円。契約・キャッシュバックの手続きも簡単。結果的に今までの月額使用料に月1,600円ほど追加するだけでサービスを受けられるようになりました。さらに1万5千円のキャッシュバック。大満足。速度も速い。ちなみにキャッシュバックが受けられるのは1年後のようですが...。


『HMV復活』(No.670/2014.11.28)
2010年8月に渋谷にあるCDショップ『HMV』が閉店するまで、音楽を買う場所はほとんどここでした。CDだけでなく、アナログもありましたし、雑誌なんかも、音楽好きにとっては充実したラインナップでした。何より、スタッフの方によるセレクトやポップがかなりツボで的確だったように思います。閉店した時は非常に残念でしたが、4年後に同じ渋谷にまたオープンしました。現在はHMVジャパンはイギリスの本家とは経営上のつながりは無く、ローソンの完全子会社だそうですが、いずれにしても復活は嬉しい限り。たまに足を運んでいます。もっともフロアは2Fと規模的にはかなり小さくなりましたし、CDとレコードが混在で品揃え的には少ない感じは否めません。ただ、こういうお店はそこにいるだけで楽しくなるので、とにかく復活してくれたことは喜ばしいです。
中でも嬉しいのはシニア層(さすがに自分はまだこの層に入るには時間がかかりますが)向けの品揃えや演出も多いこと。何と、少量ですが、カセットテープも扱っています!!!レニー・クラビッツのカセットを見つけた時は、思わず衝動買いしそうになりました..。そしてさらに充実しているのが、レコードプレーヤー。ポータブルのターンテーブルですね。いずれも数万円なのでちょっとがんばれば手が届く範囲。アナログレコードを売るだけでなく、そのハードも売ろうということなんでしょう。でもこれが、いろんな種類があってたのしいです。
http://www.crosleyradio.com/Turntables
http://ionaudio.jp/archivelp/
個人的にはVESTAXのポータブルプレイヤーを持っているので間に合っているのですが、上記の製品はデザインもいいので欲しくなりますね。レコード、ターンテーブルがまだまだ元気なのが嬉しいです。


『結果発表!』(No.669/2014.11.21)
毎年開催している『顔フォト!コンテスト2014』、こちらでも何度かご案内させていただきましたが、無事募集&審査を終了、ただいま結果発表を行っております〜。
上位3賞は審査員5名で協議の上決定させていただきますが、今回も力作揃いで悩みました。とりあえず3賞を発表させていただいています。他にも協賛賞がありますが、こちらは協賛いただいた企業さんの担当者の方に直接選んでいただきます。毎回素晴らしい賞品がいっぱいです。協賛賞は明日以降随時発表させていただきます。
毎回思いますが、顔フォトはホントに楽しいです。普段見過ごしてしまっている日常の中に潜む”顔”を見つけたときの喜びっ。まったくお金がかからないところも嬉しい。来年の話をすれば何とやらですが、次回も同時期に開催を決定しております。ぜひご応募ください。詳細は以下のサイトから。

・『顔フォト!コンテスト』:http://kao-photo.petit.cc/


『リアル寄生獣』(No.668/2014.11.14)
岩明均氏による伝説の漫画『寄生獣』(きせいじゅう)がいよいよ今月末から公開されます。『寄生獣』は、突如宇宙からやってきた謎の寄生生物によって支配された人間と、支配されていない人間との戦いを描いた物語。主人公となるのは平凡な高校生活を送っていた学生、泉新一。彼は、寄生されていくプロセスで抵抗することにより、右腕だけに寄生生物が存在するという、”中間者”になってしまい、その戦いに特殊な立場で巻き込まれていきます。人間が”餌”として食い殺されるというプロットや過激な描写や、人間の存在意義を問う哲学的なテーマなどがあいまって、かなり人気を博しました。個人的にもかなりハマりました。実写化のうわさはちらほら出ていましたが、いよいよ公開です。

公式サイトから予告編も見られますが、主人公の右手に寄生した”ミギー”や、寄生された人間の顔がパカッと割れるなどの描写は割と原作に忠実に再現されているようです。もともと、戦いの場面などで、非常に”映画的”と思われるカットもあったので、映画とは相性がいい部分もあるのかもしれません。CGも技術的に非常に進歩していますので、そういう意味での違和感はあまりなさそうです。ただ、ストーリーは原作そのままかどうかわかりませんし、何よりプロットやアクションだけでなく、何度か”感動”する場面もあるので、そのあたりがどのように演出されているのか、楽しみ半分、怖さ半分。先に放送されたテレビアニメでは、結構キャラクターが変わってしまっていたので、ちょっと嫌な予感もしますが...。とりあえず観にいきたいと思います。

・『寄生獣』公式サイト:http://kiseiju.com/


『戦後サブカル論』(No.667/2014.11.07)
劇作家・演出家の宮沢章夫氏が講師を務める、NHKの「ニッポン戦後 サブカルチャー史」を観ています。基本的には録画してなんですが。これは非常に刺激的です。宮沢氏の80年代〜サブカルチャー評論としては、『東京大学「80年代地下文化論」講義』があり、これは何度も読み返した本なんですが、「ニッポン戦後 サブカルチャー史」ではさらに90年代以降から現代までもカバーしていて守備範囲が広いです。
映画の文脈でいうと、大島渚監督なんかもフィーチャーされていて(もちろん1970年代です)、非常に興味深い内容となっています。ゲストとして出演している、受講生の風間俊介氏もいい味出しています。サブカル好きのジャニーズという、新しい分野を開拓していますね。1970年代から現在まで、全10回にわたって授業を行っていますが、自分がリアルタイムで体験した時代以外も非常に共感できる考察が満載です。海外(=グローバル)からの視点については、外国人ゲストを招きながらも多少弱い部分も見られますが、戦後の日本の文化・芸術に興味のある方は必見の番組ではないでしょうか。番組をご覧になっていない方のために、単行本『ニッポン戦後サブカルチャー史』(NHK出版)も出版されているようです。未見の方はぜひ。

・ニッポン戦後 サブカルチャー史
http://www.nhk.or.jp/subculture/


『WARP』(No.666/2014.10.31)
前回ご紹介した購入CD、エイフェックス・ツインによる『Syro』。リリースしている『WARP』が、25周年の記念キャンペーンを実施中です。対象商品を購入すると缶バッジやマグネットがもらえたり、応募シールを何枚か集めて送るとオリジナルグッズがもらえたりします。とりあえず、エイフェックス・ツインを1枚買ったんですが、対象商品で迷っているのがフライング・ロータスの『ユーアー・デッド』。アリス・コルトレーンが叔母、ジョン・コルトレーンが叔父という凄い遺伝子の持ち主。音楽プロデューサーとして主にヒップホップを手がけていますが、やはりジャズとも融合を果たしていて、本作もホント聴いたことのない世界。素晴らしいです。で、WARPのキャンペーンのグッズの応募が3枚からなんですよね..。

いや、他の対象商品で購入したいのが無いというわけではなくて、むしろありすぎ..。(→http://tower.jp/article/campaign/2014/08/27/01)
とりあえずエイフェックス・ツインだけ買って満足したように自分を騙していたんですが、やっぱりYOUTUBEなんかでいろいろ聴いていると欲しいアルバムがいっぱいです。そしてそこにキャンペーン..。

フライング・ロータスの曲もYOUTUBEにたくさん上がっていますが、本作の中ではこの曲とビデオが秀逸です。終わりとしての”死”ではなく、再生としての”死”、または解放としての”死”。5分に満たないので、映画としてみると超短編ですが、見終わった後に押し寄せてくる感情は、とてつもなく深く、重みがあります。それでいて心が軽くなる。→https://www.youtube.com/watch?v=2lXD0vv-ds8
やっぱり、買おう(笑)。



『プリンス、デロリ夜奏』(No.665/2014.10.24)
このところまとめて買ったCDです。まずは、ファンク&ロック界の大御所プリンスの新作『Art Official Age』。2000年以降にリリースされたアルバムは、ファンゆえに買ってはいましたが、満足させてくれる作品はありませんでした。毎回、宣伝文句は”昔のファンク魂を取り戻した黒いプリンスが戻ってきた”的な内容なんですが、実際に聴くとイマイチ...の繰り返し。で、今回もネット上で数十秒試聴した限りではあまりいい印象は無かったのですが、実際に店舗でじっくり試聴すると...なかなかよかったです。少なくとも”買いたい”と思うレベル。でも、もっといい曲が作れると思うし、ジャケットは相変わらずダサいところはご愛嬌。
次は、テクノを超えた、音楽界の鬼才エイフェックス・ツインによる13年ぶりの新譜『Syro』。別名義では色々出していましたが、やはりエイフェックス・ツイン名義はモチベーション上がります。内容的には、驚くほどの刺激は無いですが、新しい音に触れられるだけで嬉しい。こういう聴きやすさも悪くないです。
最後はおととい発売されたばかりのオムニバス盤『デロリ夜奏〜道化師の音楽会〜』。通販で購入手続きをしただけで、全く聴いていないんですが、うちのギャラリーでも大人気のイラストレーター・カネオヤサチコさん描き下ろしのジャケットというだけで購入。さらに彼女の新作となる”ぬりえ”が初回特典としてついています。いや、うちのギャラリーでも取り扱うので、わざわざ初日に、しかも他のお店で買う必要はないんですが、なにせこれまたファンなもので。聴いていないのに、言うのも何ですが、このジャケット通りの音ではないかと思います。ということで、結構期待しています。


『DVD再発』(No.664/2014.10.17)
ビデオしかなかった映画や、メディア化されていなかった映画がDVD化されたり、あらためてリマスターの上リリースされたりするのは、映画ファンにとって嬉しいものです。よほどマイナーでなければメディア化されないケースはレアだとしても、リマスターや、新作公開に合わせてその監督の作品がボックス化される機会などは結構あります。その場合、大体において特典映像が充実するのが楽しいんですよね。
先日、久しぶりにアレハンドロ・ホドロフスキー監督のカルト映画の金字塔、『エル・トポ』をレンタルして観ました。これも”HDリマスター版”のDVDです。画像も良かったし、特典映像の監督インタビューも面白かったです。こういうちょっとマニアックな作品って、基本的にツタヤさんなんかにも置いてあるかどうか、というレベルなんですが、再発されると、大きな店舗ではちゃんと入れてくれるから嬉しいんです。数も増えますしね。例えばツタヤ三軒茶屋店には『エル・トポ』は5本置いてありました(そして2本借りられているというのがすごい)。やはり伝説の作品です。

ただ、いいことばかりではなくて、例えば洋画で日本語吹き替えがお気に入りの場合、版権などの問題から、声優さんが代わってしまい、オリジナルの雰囲気がなくなってしまうケースがあります。特にテレビで放送されたものは、基本的に吹き替えなので、コチラが気に入っている方にとっては残念な結果になる場合が多いです。他にもボックスでまとめて販売される時は、すべての作品が入るわけではないので、作品のチョイスによってはこれまた残念な結果に。

ちなみにアレハンドロ・ホドロフスキー監督もDVDボックスが発売されているのですが、作品数の多い監督ではないので、ラインナップとしては問題ありませんし、サントラCDもついていて、結構お買い得だと思うのですが、例えばAMAZONのレビューなんかを見ると、いわゆる”ぼかし”に対して厳しい意見がちらほら。確かに、この監督の作品は、性器が見えていることなどなんでもないぐらい過激な描写ばかりですから、そこだけ隠しても、ねえ。


『カメラバッグ』(No.663/2014.10.10)
カメラが趣味、という人ならみんな知っている、世界的なイタリアの三脚メーカー『マンフロット(Manfrotto)』さんの新商品バッグについて、モニターとして協力をさせていただいています。感謝〜。久しぶりに取材の仕事にバックパックを使いました。やっぱり両手が完全にフリーになるのはいいっ。記事がアップされましたので、下のサイトからぜひご覧ください。

記事にも書かせていただきましたが、個人的にはライターなのですが、カメラ撮影だけの仕事もたまにあります。頻度としては少ないので、使っているバッグも本格的なカメラバッグを使わず、通常のバッグに小さなカメラ用のバッグを追加するか、インナーバッグを使ってカメラを持ち歩くかの選択になります。マンフロットさんのバッグはデザイン性も高いし、いろんなバリエーションがあるので、選べるところがいいです。マンフロットさんには、先般、こちらでもご案内させていただいた『顔フォト!コンテスト』にも協賛いただくなど、大変お世話になっています。三脚・バッグ以外にもいろんなアイテムを販売されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください〜。

【マンフロット 公式サイト】
http://bit.ly/1uFgQE9


『ミニシアターのススメ』(No.662/2014.10.03)
今年の4月から始まった、渋谷にある東急Bunkamuraとシブヤ大学とのコラボレーション企画『オープン・ヴィレッジ』。公式ライターとして参加させていただいていますが、先週、最終回となる6回目の授業が終了しました。かなり人気の企画で、無料ということもあり、毎回募集をはるかに超える応募があったようです。ライターとして毎回参加させていただき、大変楽しませていただきました。で、最後の授業は、Bunakamuraル・シネマを舞台にした『世界を見つめる映画館ミニシアター 〜ル・シネマから映画の旅に出よう〜』。ル・シネマという映画館がテーマ。
それまでの、能楽堂や美術館など、いろんな施設の授業はどれも楽しかったですが、個人的にはやはり映画館には特別な想いがあります。しかもル・シネマは上映作品にこだわったミニシアター。今まさに授業レポートの原稿を書いているのですが、かなり熱い授業でした。

ル・シネマのプログラミングプロデューサーの方を先生としてお迎えしての授業なんですが、映画館という空間についてこう語っていらっしゃいまいた。「スクリーンと客席との距離は特別なものがあり、さらに同じ作品を見ている人たちと空間を共有することで特別な体験になる」と。テレビやパソコンの画面でDVDの映画を観るのと、スクリーンで観るのとでは、全然違うのですが、それはただ単に大きさだけの問題ではありません。まさにその時、その場所で映像や感情や空気感を共有する、一時のコミュニティが形成されているのかもしれません。やはりそういう体験が出来るのもミニシアターならではですね。授業レポートは近日中にアップされると思いますので、ぜひご覧ください。

【オープン!ヴィレッジ 公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/openvillage2014/index.html


『顔フォト!コンテスト』(No.661/2014.09.26)
毎年開催している『顔フォト!コンテスト2014』、ただいま作品募集中です。”顔フォト”とは、カバンの止め具や蛇口などなど、日常の中に偶然存在する”顔”に見える写真。誰でも一度はそういう写真を撮ったことがあるのではないでしょうか。当コンテストは、そんな”顔フォト”を応募していただいて、優秀な作品には豪華賞品をプレゼント、という企画です。さまざまな企業の方から、いろんな賞品を協賛していただいています。

コンテストの目的は、『日常を楽しくする』ということ。普段見過ごしてしまっている日常の中に潜む”顔”。ちょっと視点を変えてみるだけで、これらの顔を発見することが出来ますし、それだけでちょっと楽しくなります。写真のクオリティは問いませんので、デジタルカメラでもスマホでもOK。賞品は、デジタルフォトフレーム、デジタルカメラ、カメラバッグなどなど。募集期間は10月末日まで。ぜひご応募ください。詳細は以下のサイトから。

・『顔フォト!コンテスト』:http://kao-photo.petit.cc/


『シルク印刷・続編』(No.660/2014.09.19)
先週、こちらのコラムでご紹介したシルクスクリーン印刷を使ってる(と思われる?)映画とCM。アップルのCMの方の動画をYOUTUBEで見つけました。こちらです。

https://www.youtube.com/watch?v=ybIxBZlopUY

デトロイトのコミュニティ・アクティヴィスト、Jason Hall氏の活動をフィーチャーしたものですね。途中、Tシャツをする際にシルクスクリーンで印刷しています。これは間違いないでしょう。かっこいいですねー。CMもサイトも英語なので、Jason Hall氏の活動は正確には把握していないのですが、iPadなどのITメディアやテクノロジーを駆使して、コミュニティや地域を活性化しようという試みでしょうか。日本でもコミュニティの崩壊、地域のつながりの希薄化などが叫ばれて久しいですが、実際に以前のようなつながりを取り戻すのは至難の業でしょうし、また、住民同士だけでは進まない部分も多いでしょう。やはり、失われたつながりを取り戻すために、専門的に動く人、つなぐ人の存在が不可欠なのではないかと思います。
さすがのこのCMの映像だけ見ていると、あまりにかっこよすぎるのですが、人と人をつなぐ作業というのは本当に地道な努力と長い時間が必要で、ITによってそれが多少効率よく進められたり、新しいつながり方が提案できたりするのかもしれませんね。
このCMのように、Tシャツが活動の共通アイコンになるのだとしたら、それはシルクスクリーンも含めて非常にアナログ的作業によって生み出されるもので、やはりデジタルとアナログのバランス、ということが大事になってくるんでしょうね。個人的にはIT系のアイテムを持っていないのですが、このCMを見るとiPadが欲しくなります(笑)。


『シルク印刷』(No.659/2014.09.12)
最近、シルクスクリーン印刷に関わるメーカーさんやクリエイターさんと、いろいろ一緒に動いています。シルクスクリーン印刷にまつわる情報を集めた『ゴッコファン』というファンサイトも運営しておりますが、アナログ的な手法、ハンドメイド市場の盛り上がりなどの背景もあり、シルクスクリーン印刷がちょっと盛り上がっている気がします。

というのも、この前『アメイジング・スパイダーマン』のDVDを見ていたら、主人公が超人的能力を身につけ、ヒーローとして目覚めたときに自分でコスチュームを製作する場面があるのですが、その際に胸の”クモ”のマークをシルクスクリーン的手法(版の上にインクを載せてスキージで刷る)で作っているんです。一瞬なんですけどね。後、アップルのiPadのCMでも、登場人物が同じようにシルクスクリーンの手法を使って、Tシャツを作る場面が出てきます。海外では現代でも結構使われているんでしょうか。日本の映画だとまず出てこないシーンだと思うので。
ここで紹介できればと思い、両方ともYOUTUBEで探してみたのですが、動画はありませんでした。アップルのCMは今でもたまにテレビで流れていると思いますので、タイミング合えば、ぜひご覧ください。

両方とも本当に一瞬ですし、スパイダーマンにいたっては、あそこまでインクが盛り上がった印刷は、実際には難しいと思いますが(笑)。


『光るアイデア』(No.658/2014.09.05)
前回のコラムでご紹介した、東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『だまし絵2 進化するだまし絵』。こちらの公式ツイッターのスタッフを担当させていただいていることもありまして、最近、だまし絵、錯視、トリック、などのキーワードでいろんなコンテンツを検索しているんですが、面白いサイトを発見しました。すでにかなり有名なのかもしれませんが、”未来にワクワクするメディア”のコピーで運営されている『IDEA★HACK』です。

運営母体などちょっと不明なんですが、毎日のようにさまざまなアイデア、アート、デザインなどのプロダクトや研究などの記事がアップされています。こちらを見つけたきっかけは、フォトグラファーのMartin Kimbell氏が撮影した「光のトルネード」という作品。輪っかのような形をしたフープにLEDを取り付けて、夜空へ放り投げた光の軌跡を、長時間露光で撮影したもの。パッと見は竜巻が光っているように見えるんです。非常に幻想的で美しい作品です。まさにだまし絵ならぬ、だまし写真。写真好きの方にとっては、長時間露光という手法は、さほど珍しいものではありませんが、素晴らしいアイデアがプラスされることで、見たことの無いアート作品が生まれました。
さらに、人間の顔を媒体にしたプロジェクションマッピング(これはテレビでも結構取り上げられていました)や、省スペース化を図れるキューブ型の『Heineken』のビール瓶など、かなりエッジの効いた記事が集められています。最先端の技術を利用したものもありますが、技術的にスタンダードでも、アイデアによって唯一無二のものになっているものもあり、非常に面白いです。やはり人間にとってもっとも大切なのは”想像力”ですね。

・『光のトルネード』:http://ideahack.me/article/1179

・『IDEA★HACK』:http://ideahack.me/

『進化するだまし絵』(No.657/2014.08.29)
東急Bunkamuraザ・ミュージアムで、Bunkamura25周年特別企画として開催中の『だまし絵2 進化するだまし絵』展を観ました。2009年に同会場で開催された『だまし絵』展の続編です。こういう美術館で開催される展覧会での”続編”はめずらしいですね。

前回とともにポスターイメージとなっている、ジュゼッペ・アルチンボルドの作品はもちろん、今回は現代アートの領域までぐっと踏み込み、見るものの驚きを誘う内容となっています。入ってすぐのスペースこそ古典作品が並ぶものの、そこからさきはほとんどが現代アート。個人的にはとても好きな領域なので本当に楽しめました。こういう風に、視点を変えるだけで、見ているもの、感じている世界が一変するものって興奮します。
言葉で良さを伝えるのが難しい作品が多いですし、やはり実際に感じてこその芸術だと思いますが、これからご覧になる方にひとつだけ申し上げるとすれば、中には非常にトリッキーな作品がありますので、見過ごさないようにすることが肝心、ということでしょうか。実際に会場でも、作品によっては全く気づかず、通り過ぎていらっしゃる方を結構見かけました。もったいないっ。ぜひ、ゆっくりと、じっくりと、”だまされ”ないようにご覧になるのが楽しいかと。

会期は10月5日(日)までです。ちなみに個人的にワークショップや公式ツイッターをお手伝いしています。今回は展覧会にあわせた企画やイベントもたくさんあるので、そちらもぜひ。

・東急Bunkamuraザ・ミュージアム

http://www.bunkamura.co.jp/


『AMAZING IN MOTION』(No.656/2014.08.22)
テレビのCMを、映像と音楽によるアート作品と捉えると、たまに素晴らしい作品に出会います。最近好きだったのは『ペプシネックス ゼロ』のCMとして放送された現代版”桃太郎”。YouTubeで120万回以上再生されるなど大きな反響を呼んだようです。映像もかっこよかったですが、BGMに使われたイギリスのロック・ソウルバンド『The Heavy』 の楽曲『Same Ol’』が超クールでした。早速CDを買って聞いています。
もう一つは自動車『レクサス』のCM。『AMAZING IN MOTION』ということで、さまざまな先端的なテクノロジーやアートを取りいれた斬新で実験的なCMをシリーズ展開しています。最新作は『STROBE』というテーマで、発光する人間(のようなもの)が街中を縦横無尽に駆け巡るというもの。テレビでたくさん放送されているので、ご覧になった方も多いと思います。これがまた不思議でかっこいいっ。
こちらもやはり使われている音楽がいいですね。『Computer Magic』というブルックリンを拠点とするダニエル・ジョンソンというミュージシャンのソロ・プロジェクトの『Running』という曲。映像にぴったりマッチしています。コレで驚いたのが、コマ送り的に光る物体が、人間の形をしたオブジェだと思っていたのですが、本当に人間が演じているそうなんですね。1着に1680個のLEDライトを装着したスーツを着て、実際に街中で固定されたり、吊り下げられたりしているようなんです。思ったよりすごいプロジェクトでした。いずれもYOUTUBEにたくさん映像が上がっていますので、ぜひ。

・AMAZING IN MOTION:http://lexus.jp/brand/amazing_in_motion/


『怪しいおじさん』(No.657/2014.08.15)
8月に入ってもお盆休みも無く、毎日仕事に追われております。それほど忙しい、ということを自慢したいわけではもちろんなくて、いろんなことが重なっているだけの話なのですが。日々、いくつかの仕事を平行してこなしていると、ふと、自分の事を客観的に見てしまう瞬間があります。そして思うのです。”怪しいおじさん”だなあと。
お店を経営していて、フリーランスとしてもいろいろ活動しているからだと思うんですが、実際に相手から、「どうやって食べているんですか?」と聞かれることもしばしば(笑)。もちろん、活動のすべてが大なり小なり収入につながっているんですが(そしてそんなには儲かっていない)、特に若い人には、”これ”というわかりやすい職業がないというのが不思議に映るのかもしれません(笑)。

ただ、周りを見ると、結構面白い”場”には、”怪しいおじさん”がいます。大体はフリーランスとして独立していて、編集やデザインの考え方に長けている。そういった時術的なことだけでなく、経験値も高い、以前、編集者・後藤繁雄さんのワークショップに参加した際に、後藤さんがおっしゃっていたのは、「企画書が書ければ仕事になる」ということ。
で、そういう、ある種何でもできて、場を作れる人の役割は、ただ企画を作るだけでなく、人と人とをつないでいます。やっぱりこれが大事なんですね。しかし、それだけで職業として成立させるのはかなり難しい。私なんかは、やはりお店の収入が一番大きく、編集や企画だけでは食べていけないでしょう。それでもこういう仕事を担う人が増えれば、と思い、専門学校でもそういうことを教えています。”怪しいおじさん”ではなく、”怪しい若者”を増やすべく。いや、そもそも怪しいわけではないんですが。


『3つの数字』(No.656/2014.08.08)
ついにこの日がやってきてしまいました。「フライデー・ビデオマガジン」の「No」。...「666」号です。666...666。こうやってくりかえしキーボードで打っているだけで、空が黒い雲に覆われたり、ものすごい強い風が発生したり、何かしら悪いことが起こりそうです...。
”666”といえば思い出すのが、1976年に公開されたリチャード・ドナー監督、グレゴリー・ペック主演のホラー映画『オーメン』。主人公はとある家庭に養子として迎え入れられた悪魔の子・ダミアン。その事実を受け入れられない父親が、”悪魔の印”と言われる”666”のあざを探す場面。あってなるものか、と言う父親の願いもむなしく、ダミアンの頭頂部(だったと思うのですが)に”666”が。しかもダミアンの誕生日は6月6日午前6時。10代だった私のみならず、この映画を見た多くの人が、トリプル6がトラウマになったはず。そして、それ以降、ことある毎に6が3つ重なるのを避けて生きてきたはず(笑)。

最近でもたまにホラー映画は見ますが、やはり1970年代に作られたホラー映画は怖いですねえ。派手な映像効果がない分、音楽や演出で徹底的に恐怖を作り出しますから。CGがあまり使われるとリアリティが無くなっていきますしね。2006年に作られた『オーメン』のリメイク版も、迫力はあったもののオリジナルを超えることは出来ませんでした。
ちなみに”8”はやっぱり縁起がいい数字だそうで、日時が8月8日というのがせめてもの救い。とにかく、今日一日が無事に過ぎますように。


『返信』(No.655/2014.08.01)
Facebook、twitter、instagram、LINEなど、SNSサービスを全くといっていいほど使っていない身でありながら、こういうことをいうのもなんですが、専門学校やギャラリーという場所に身を置き、20歳前後の人たちといろいろコミュニケーションしていると、今、若い人たちの中で、ネット上でのやりとりに変化が起きている気がします。最も大きなものは、LINEやメールなど、テキストデータでのやり取りの返信についての考え方です。若い人たちとのメールのやり取りで(LINEなどはやらないので)、返信の頻度がかなり下がってきているように思います。みんな決して”ずぼら”な人たちではないのですが、なぜかメールの返信が無い場合がすごく多い。あんまりこういうことが続くので、ちょっと考えてみたんですが、ひょっとしたら、SNSサービスにおける一方的な発信の度合いが強まっているせいではないかと思います。

例えばLINEなんかでは、既読かどうかが判別できるので、いちいち返さなくても、”返さない”という行為がすでに”返信”になっているのではないかと。つまり、テキスト上では、「返信して下さい」と書かない限り、直接返信しなくてもいい(少なくとも義務は無い)、という風に変化している。「いいね!」だけを押すというのも似ていますよね。返信ではないけれど、それを押すことでコミュニケーションが成立、完結する。直接言葉で返さなくても成立するということは、”押さない”ということも意味を持ちます。写真をアップした方からすると「いいね!」を押されなかったということは、「これは響かなかったんだと」ということになる。「いいね!」がごく簡単に押せるからです。ほとんど妄想のような考察ですが、そんなに外れていない気もします。専門書を読むか、フィールドワークを行うか、個人的にちょっと調べてみたいテーマです。というか、学生たちを相手に授業していますので、そんな悠長なことも言っていられないのですが。


『Web戦略』(No.654/2014.07.25)
一応、お店のホームページ製作やクリエイターのホームページ製作などをやっているせいもあってか、Web戦略のアドバイザーとしてのお仕事もたまにいただきます。この映画紹介サイト『D-Movie』を始めた2000年頃には、『Webのチカラ』という、個人でネットショップをやっている方向けのサイトやメルマガもやっていましたので、それなりに経験値はあるつもりですが、さすがにITの世界は進歩が早いので、技術的にはついていけていません。ではそれで仕事になるのか?ということなんですが、結構アドバイスできることはそれなりにあります。

細かなことは相手によっても変わってきますが、大きなところでこちらが指摘する点は大体共通していて、その「商品」や「サービス」が持つ本質的な価値がWebというメディアを通すことによって、薄められたり、ゆがめられたりしていることを指摘することなんですね。

例えば、クリエイティブなサービスで、非常にアナログな技術を使うもの(染め、シルクスクリーンなどなど)を、Webというメディアに載せる場合、まずみんなが考え付くのが動画配信。後、もう少し企画力のある企業さんだと、”手間がかかる”ということを”楽しい”に置き換えて、”モノ”から”コト”へ変換したりします。
ただ、アナログな技術というのは、ただ”楽しさ”に変換してもダメで、実はその”手間”がゆえに、失敗したり、普段しない作業を追加したり、ということが起こるんですが、そこに”新しい”商品やデザインを生み出すきっかけが潜んでいます。それは”楽しい”に比べて比較にならないくらい価値のあることなのです。結構そういうことがすぐに忘れ去られてしまいます。
”早い情報””早い技術”が置き去りにしてしまうものは、とてつもなく大きい。それは、Webというメディアのみならず、私たちの社会でも全く同じことが起こっているように思います。


『オープン初日』(No.653/2014.07.18)
私事で恐縮ですが、前々回こちらのコラムでご紹介させていただいた、友人と共同経営で始める新しいお店『若林CAMOS(カモス)』。お昼13時〜17時半まではカフェ、夜は19時半〜24時まで日本酒が楽しめ、壁面にはギャラリースペースがあるお店。ちょうど本日オープンとなりました。

専門学校など、いろんなところでお話させていただくんですが、”お店”をオープンするのは誰でも出来ます。いや、本当に。ちょっとお金を貯めれば、小さな雑貨屋さん、ギャラリーなどは、飲食店に比べて内装も簡単なので、すぐ始められますし、飲食店でもさほど凝った内装にしなければ、それなりの予算で、工事に1ヶ月もあればお店は完成します。100人がお店をオープンしたい、と思ったとすれば、100人全員がオープンすることが出来るでしょう。会社員をやっていたら、なかなかそう簡単にはいかないだろう、という人もいらっしゃいます。学生さんだと、学生なのにお店を開くなんて、という人もいます。会社を退職するリスク、学生の身分でまとまったお金を集める大変さ、それぞれにあるでしょう。それでもやっぱり、ちょっとがんばればクリアできるレベルの問題だと思います。
結局、問題はそこからです。オープンは簡単でも、そのお店でしっかり利益を上げて、それをずっと継続する、これがとてつもなく難しい。むしろ失敗する可能性の方が圧倒的に高い。成功する割合は100人いれば、2〜3人というイメージでしょうか。とりあえずいろんな方に助けていただいてオープンしました。ここからが大変です。いろんな人が楽しく過ごせる場所になるよう、がんばります。

・若林CAMOS:http://camos89.com/


『デュフィ展』(No.652/2014.07.11)
東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『デュフィ展』を観ました。ラウル・デュフィ(1877−1953)は、20世紀のフランスを代表する画家で、明るい色使いと軽快な筆さばきによる独特の線描が、日本でも人気の画家だそうです。展覧会のサブタイトルに”絵筆が奏でる色彩のメロディー”とあるように、非常にカラフルで、音楽が聞こえてくるような作品や、音楽をテーマにした作品も多く見られました。
今回は、パリ市立近代美術館やパリ国立近代美術館など、デュフィの重要なコレクションを有するヨーロッパの美術館から協力を得ていることもあり、絵画作品のみならず、デッサンや版画、テキスタイル作品なども数多く展示され、非常に見ごたえがありました。日本初公開の作品もいくつかあったようです。それにしても、ものすごい才能の持ち主だったんですね。

一枚の絵にさまざまな色を使いつつ、それらが見事に調和しているので、そのまま素晴らしいレコード・ジャケット(CDではなく)になるような作品ばかりでした。テキスタイル作品も色使いやモチーフが独特で、全く時代を感じさせないどころか非常に新鮮でした。どこかエッシャー作品を思い起こさせる実験的な図案のものもあり、明るくてきらびやかな傾向の作品ですが、性別や年齢を問わず受け入れられるのではないかと思います。部分的な描写は決して緻密ではないのですが、迷いが無いところがすごい。家に飾るのにぴったりと言えるかもしれません。会期は7月27日(日)まで。ぜひ。

・東急Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/


『若林CAMOS』(No.651/2014.07.04)
現在、世田谷区三軒茶屋で小さなギャラリーを営んでおりますが、近くに新しくお店をオープンすることといたしました。お昼はカフェ、夜は気軽に日本酒が楽しめるお店です。壁面にはギャラリースペースもあり、いろんな作品展示などを行います。世田谷線若林駅のすぐ裏の建物の2階で、駅のホームから10秒でお店に着きます(笑)。窓からは、環7と世田谷線が交差する、若林踏切が見えますし、2階なので、別の窓のすぐ近くを世田谷線のパンタグラフが通過します。知人との共同経営で、厨房に立ち、基本的に運営するのは私ではありませんが、お店のプロデュースやギャラリー、イベント企画などを一緒に行います。
最近、店内にアートスペースを設けたカフェや雑貨屋さんをよく見かけますが、せっかくのアートスペースの運営がもったいないと感じることが多く、数年前から飲食もできるスペースを構想していました。そこで、利き酒師の資格を持ち、日本酒が飲めるお店をやりたいと思っていた知人と出会い、実現しました。よく”アートは儲からない”という言葉を聴きますが、個人的には”アートには人が集まる”と思っています。後はそれをどうビジネスにつなげるかの問題。また新たな場作り、実験がスタートします。

店名は『若林CAMOS(カモス)』。”醸す”から取りました。オープンは7月18日(金)を予定しています。よろしければサイトをご覧ください。

・若林CAMOS:http://camos89.com/


『ワールドカップ』(No.650/2014.06.27)
4年に一度開催されるサッカーの世界大会、FIFAワールドカップ。日本チームの予選敗退が決まってしまいました。がんばって早起きしてご覧になった方も多いのではないでしょうか。う〜ん、残念でしたね。個人的には、サッカーファンというわけではなく、Jリーグの試合もほとんど見ないのですが、ワールドカップは好きです。もちろん、日本も応援していますが、決勝トーナメントは本当に面白い。戦うのはピッチにいる選手たちなんですが、国と国とが真っ向からぶつかり合う感じがスリリングです。サッカーに全く興味が無い人から言わせると、まず手が使えないというのがおかしいし、あれだけ走り回って、ほとんど点数が入らない。しかも同点だと、全然違うルール(PK)で対決というのが意味がわからない、と。確かに(笑)。

ただ、点数に関しては、少ないからこそ入ったときの衝撃や感動が大きいんですよね。一説には、チカラの差があっても勝負の結果が逆転する可能性が最も高いスポーツがサッカーだそうです。そういわれればそんな気もします。

4年に一度、世界の国々がぶつかり合うワールドカップ。毎回いろんなドラマが生まれますね。今大会で言えばスペイン、イングランドの早々の予選敗退。イタリアも決勝リーグに進めませんでした。これから行われる決勝トーナメントでは、個人的には特に応援している国は無いのですが、やはり開催国のブラジルに勝ってもらいたい気がします。決勝はブラジル対アルゼンチン、なんてことになったらとんでもないことになりそうです。楽しみ。それにしても南米強しっ。


『シアターコクーン』(No.649/2014.06.20)
先月、このコラムで、渋谷にある東急Bunkamuraとシブヤ大学とのコラボレーション『オープン・ヴィレッジ』という企画のご紹介をさせていただきました。公式ライターとして毎回参加させていただいているのですが、先日行われた第2限目は劇場であるシアターコクーンが教室。同劇場のこだわりや挑戦を学ぶという内容でした。
座学やバックステージツアーがあり、普段は入れない楽屋に入ることができるなど、大変楽しい内容でした。最も盛り上がったのは最後のカーテンコール体験。生徒さん全員が舞台に上がり、カーテンコールを体験します。どんな様子だったかは、後述のサイトからレポートをご覧いただければ幸いです。
個人的に感動したのは、その際に使われた音楽。トーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」だったんです。授業の中での疑似体験なので、舞台上は何も設営されていません。トーキング・ヘッズ=サイコ・キラー+素の状態の舞台、とくれば、洋楽好きの方は、間違いなく彼らのライブ映像『ストップ・メイキング・センス』を思い浮かべると思います。全く何も無い状態の舞台にデヴィッド・バーンがギターとカセットデッキを手に登場。カセットのスイッチを入れ、リズムに合わせてギターを弾いて歌う。その間にどんどんと次の曲の舞台装置が設営されていく、という斬新な構成のライブ。これはもう80年代映像作品の金字塔ですね。
間近で取材しながら、ずっと『ストップ・メイキング・センス』のことを思い浮かべ、感動していました。もちろん疑似体験とはいえ、カーテンコールも大盛り上がりでした。その後、『ストップ・メイキング・センス』のDVD(もちろん持っています)以下、トーキング・ヘッズの音源(もちろん全部持っています...笑)をずっと聞いています。素晴らしい。『ストップ・メイキング・センス』はそういうちょっと変わった演出のライブ映像なので、トーキング・ヘッズそのものに興味が無くても一見の価値ありです。ちなみに監督はその後『羊たちの沈黙』(1990)でアカデミー賞を獲るジョナサン・デミ。そういう意味でも貴重な作品です。

【オープン!ヴィレッジ 公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/openvillage2014/index.html
(右メニューの「授業レポート」からご覧いただけます)


『三軒茶屋シネマ』(No.648/2014.06.13)
昨年の3月に三軒茶屋の映画館『三軒茶屋中央劇場』が閉館、このコラムでも紹介しました。そして、三軒茶屋の最後の1件『三軒茶屋シネマ』も、来月で閉館とのニュースが...。同館ホームページには、『当館は1954年の開館以来60年間に亘り、邦画、洋画を幅広く上映して参りました。しかしながら、設備の老朽化、近年の市況の厳しさ等、諸般の状況から長期的な展望の見通しが立たず、誠に残念でございますが、2014年7月20日をもちまして閉館致します』とあります。...残念。これで三軒茶屋から映画館がなくなってしまいました。

三軒茶屋中央劇場も好きでしたが、三軒茶屋シネマも大好きでした。『世田谷ライフ』(エイ出版社)という雑誌の特集で、”私の好きな場所”ということで、同映画館を紹介させていただいたこともあります。モナカタイプのアイスもおいしかったんですよね。

無くなってしまうのは決定してしまったのでしょうがないのですが、三軒茶屋中央劇場も、いまだにそのまま残っていて、取り壊される気配も無いので、三軒茶屋シネマはこの後どうなるのか、気になるところです。できれば何でもいいから文化的な施設ができてくれればいいのですが。閉館までもう少しあるので、見納めに行きたいと思います。上映スケジュールは以下のサイトからどうぞ。結構いいの上映しますよ。

・『三軒茶屋シネマ』公式サイト:http://www.toukoueiga.com/sancha/


『続けるということ』(No.647/2014.06.06)
もともと”熱しやすくさめやすい”、さらに”飽きっぽい”性格なので、ひとつのことを”続ける”というのが苦手です。今でもいろんなことに手を出しては、すぐにやめてしまいます。ただ、中にはいくつか続いているものがあります。このホームページやメルマガもそうですし、先週ご紹介した”一日一枚”もそうです。最初の仕事も10年以上続きましたし、その次の仕事(今のギャラリー)も12年目。まあ仕事は、生きていくための糧ですのでこれが続かないと大変なんですが。ギャラリーで開催しているイベントも、10年以上、または10年近く続いているものも多いです。たまに、そういう側面だけを見た人から、「よくいろんなことが続きますね」と言われることがあります。もちろん、自分の飽きっぽい性格はわかっていますし、これらはいろんなタイミングやら何やらが重なってたまたま続いているだけなので、自慢できるほどのことはありません。また、そういうノウハウもありません。

ただ、続かない性格ゆえに、”続けることの大切さ”は誰よりもわかっていると思いますし、昔から”やめていない”と”続いている”はちょっと違うんじゃないかと思っているところがあります。自分としては”続いていない”と思った事でも、同じような頻度でありながら、”続いている”と言う人がいます。それはそれで個人の捉え方なので、否定する気はないのですが、やはり大変な思いをしたり努力したりしながら”続ける”からこそ、自分が成長できるのであって、やりたいときだけやって、途中何年もブランクがあるのに、あるときまた始めて、結果として”続いている”というのは違うなと。それはあくまでも”やめていない”だけで”続けている”という行為とは本質的に違う気がします。

では”続けている”というのは具体的にどのぐらいの頻度なのか?と問われると、内容によっても全然違うので何とも言えないんですが、あえて言うとするなら、”最初に決めたスケジュールを守っている”、ということになるでしょうか。”継続は力なり”、シンプルだけど強い言葉です。


『一日一枚』(No.646/2014.05.30)
今年も一日一枚、フィルムカメラで写真を撮るというプロジェクトを続けています。何年か前に仲間7人と一緒に実施したことがあって、これが面白くて、その後もゆる〜く続けています。デジタルカメラでもいいんですが、取り直しがいくらでもできてしまうので、とりあえず、フィルムカメラを使ってその日に一枚しか撮れない、という縛りを設けています。その方が一枚一枚丁寧に撮りますしね。
個人的に写真がそれほど趣味というわけではないのですが、このプロジェクトはやってみるといろいろ発見があります。普段なら絶対撮らないような風景も「今日はここでいいか」みたいなノリで撮影。これが後から見ると面白いんです。何もない風景ってないんだ、ということに気づかされます。毎日通る通勤ルートがほぼ決まっているので、同じ場所を何度か撮るような定点観測のような効果もあります。突然、家が解体されたり、新しいお店ができたり、結構貴重な資料としての写真も撮れます。

最初の年は一日一枚完全制覇、で、次の年とその次の年は、どちらも一日だけ撮り忘れがありました。これがまた悔しい(笑)。今年はまたリベンジの意味合いもあるわけです。日付が入るタイプのフィルムカメラで、使うフィルムは36枚撮りで10本程度。現像&プリント代を入れても、総額で言うとカメラ本体の値段を除いて年間で2万〜3万円程度。ライフワーク的な遊びとしてはリーズナブルで悪くないと思います。

ちなみに同じ内容の別プロジェクトで、12名がそれぞれ担当の月に同じカメラで一日一枚撮影する、という企画に参加しておりまして、今月が私の担当。ということで、今月は一日一枚を2台やってます。これは大変でした。
でもそれも明日まで。何とか無事クリアできそうです(笑)。


『横顔の貴婦人』(No.645/2014.05.23)
東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション』展を見ました。イタリアを代表する美術館のひとつであるポルディ・ペッツォーリ美術館は、ミラノ有数の貴族ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリの遺した邸宅を美術館として公開しているものとのこと。
ポスターイメージにもなっている横顔の女性の肖像画《貴婦人の肖像》を始め、絵画のみならず甲冑、工芸、蔵書など貴族の美意識あふれるコレクションの数々が展示されていました。ポルディ・ペッツォーリ美術館の約6,000点の中から選ばれた約80点の出品作品のほとんどが日本初公開だそうです。イタリアの美術館ってちょっとなじみがありませんが、さすがに見ごたえのある作品がたくさんありました。
個人的には会場入ってすぐに展示されていた甲冑がかっこよくて印象的でしたし、タペストリーも非常に大きな作品で目を奪われたのですが、最も心に残ったのは《廃墟と古代建造物のあるカプリッチョ》という絵画作品でした。”カプリッチョ”というのは、”奇想画”という意味で、18世紀に描かれた、実在するものと空想上のものとを組み合わせた都市風景画のことだそうです。
今でこそ、廃墟や工場跡などが、ある種の退廃的な美の空間として語られることが多いですが、この時代に廃墟を描いていること自体がかなりインパクトがありました。それでいてどこかシュールレアリスムの絵画のように不思議さと美しさが同居しているところが素晴らしかったです。
全体的に絵画だけでなく、立体的な作品や、タペストリー、時計など、さまざまな素材、造形の作品も多いので、意外と幅広い人が楽しめる展覧会なのではないかと思います。会期は5月25日(日)まで。


『福島の真実』(No.644/2014.05.16)
「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中の長寿人気マンガ「美味しんぼ」の、4月28日発売号に掲載された第604話「福島の真実 22」での描写が問題になっています。主人公の新聞記者・山岡士郎たちが、福島第1原発を訪れてから、理由がわからないまま、ひどく疲れたり、鼻血を出したりする描写の部分ですね。

一応、話の中でも、病院で診察を受けたところ、「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」と医師に告げられますし、原作者の雁屋哲氏は、「反論は、最後の回まで、お待ち下さい」「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。」とおっしゃっていますのが、テキストではなく漫画の描写は非常に直接的です。果たして、今回の内容や、掲載にいたる決断がさまざまな配慮に足るものだったかどうかについては、大いに議論の余地はあると思います。

ただ、もし本当にこの漫画を見て、それだけで福島やそこにいる人たちへの見方をネガティブに変える人がいたとしたら、それこそが最も大きな問題だと思います。つまり、漫画で描かれたことをそのままを鵜呑みにしているということです。今回のことはあくまでも「お美味しんぼ」という”漫画”の原作者が、自らの取材に基づいて描いた一つの側面であり、それがどう受け取るかは、それぞれの読み手の問題。個人的には、身近にいる福島の人や、福島にボランティアに行っている人たちの話を聞いても、そういう事実は耳にしたことはありませんので、にわかに信じられませんが、一方で、もしそれらの事実が何らかの理由で隠蔽されているのではないか、という不安も持ち上がってきました。そういう意味では、一つの疑問を投げかけてくれた内容であると思っています。アート、メディアに多少なりとも関わる身として、本件が表現の自由を著しく妨げる結果につながらないよう願っています。

余談ですが、本件が話題になったことで、久しぶりに「お美味しんぼ」を読みました。ある時期から絵柄が変わってしまい、登場人物がみんな人形のように無表情になってしまったので、久しく遠ざかっていたのです。...相変わらずその部分はやっぱり違和感を感じました。昔はホントに大好きな漫画でしたが。


『永遠の15分』(No.643/2014.05.09)
今月6日(火・祝)まで森美術館で開催されていた、アンディ・ウォーホルの国内史上最大の回顧展『アンディ・ウォーホル展:永遠の15分』を観ました。ミスター・ポップ・アートと呼ばれる、アンディ・ウォーホルの大規模な回顧展。700点に及ぶ初期から晩年までの作品と資料が盛りだくさんの展示でした。森美術館の10周年記念展示でもあるようです。それもあってか、内容的にはかなり気合が入っていた気がします。最終日に行きましたが、思ったより混んでいなかったのがちょっと不思議。さすがに印象派のビッグネームと比べると、日本ではこんな感じなんでしょうか。もちろん、朝一で行って、30分は待ちましたが。

日本未公開の作品も多く、ウォーホルが所有していた書籍や雑誌、贈り物などを保管していた”タイムカプセル”と呼ばれる段ボール箱の中身を公開したり、当時のNYのアンダーグラウンド・カルチャー・シーンの拠点としても重要だったウォーホルのスタジオ「ファクトリー」を体験型空間として再現するなど、いろいろと工夫されていて楽しかったです。
ウォーホルの作品にもあらためて衝撃を受けましたが、個人的に響いたのは、「ファクトリー」の再現空間の前で流れていた、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコがファクトリーで演奏している様子をウォーホルが撮影したライブ映像。モノクロで、アップとズームを繰り返す単純な映像なんですが、それがまた超クールっ。映像は1時間あるので、全部見る時間はなく、ミュージアム・ショップで販売しているのを期待したのですがなかったです(後で調べたらアンディ・ウォーホル美術館蔵でした)。

近年、ウォーホルの作品をいろんな展覧会で見る機会がありますが、これからも彼の知名度や作品の評価は上がり続ける気がします。50年後ぐらいには、どんな文脈で語られ、どう評価されているのでしょうか。もちろん、彼がもし生きていたとしても、そんなこと彼は一切気にしないでしょうが。


『オープン!ヴィレッジ』(No.642/2014.05.02)
渋谷にある東急Bunkamuraとシブヤ大学とのコラボレーション、『オープン・ヴィレッジ』という企画が4月から始まりました。『オープン・ヴィレッジ』はBunkamuraがプロデュースしている6つの施設を軸に、様々なジャンルの文化・芸術の楽しさを、シブヤ大学の協力のもとに紹介していく全6回の無料の授業。『オープン・ヴィレッジ』に関わるスタッフは“村人”と呼ばれているのですが、私も村人の一人として、ライターとして授業レポートを担当させていただくこととなりました。

1限目として開催されたのは、渋谷駅南口にあるセルリアンタワー能楽堂を教室にした『はじめての能楽堂〜序破急とグルーヴ感〜』。個人的には、屋外で開催される地域のイベントなどで、余興的に開催される能は見たことがあるのですが、本格的な能楽堂で観るのは初めて。仕事も兼ねて、楽しませていただきましたっ。詳細は、公式サイトの授業レポートにアップされていますので、ぜひご覧ください!!!

【オープン!ヴィレッジ 公式サイト】
http://www.bunkamura.co.jp/openvillage2014/index.html
(右メニューの「授業レポート」からご覧いただけます)

授業は参加者を随時募集していますが、内容も大変興味深いものばかりですし、無料ということもあってか、かなりの倍率だそうです。でも応募しないと始まりません。ご興味のある方ぜひ〜。


『人体』(No.641/2014.04.25)
とあるつながりから、取材班の方とお知り合いになる機会があり、放送された番組は見ていなかったのですが、書籍版が出ましたので購入しました。NHKスペシャル取材班による『人体 ミクロの大冒険 60兆の細胞が紡ぐ人生』(角川書店単行本)です。書籍版は、番組をテキストと写真で読み物にしたものではなく、取材班の方が取材するプロセスにおいて考えたことや気づいたことをまとめたもので、番組とあわせて読むと最も効果的なのだと思いますが、個人的にはこちらの書籍だけでも十分楽しめました。

私たちを構成する部品でありながら、実はその正体をほとんどの人が知らない”細胞”をテーマに、人間が生きているということ、細胞の成り立ち・戦略などなど、非常にわかりやすく説明されています。また、取材のプロセスを描いたドキュメンタリーとしても楽しめるので、多少なりとも”取材をする側”の立場にある人、そういう経験のある人にはさらに興味深い内容となっていると思います。個人的にも、さまざまな気づきを得られました。例えば、自分が運営しているギャラリーは、常々”多様性”を最も大切にしているのですが、実は”多能性”ではないかということ。偶然の出会いを達成する上で、最も効率的なのは、一方が一つで大きくて動かずに”待ち構えて”いて、一方がとにかく数が多く運動量が多いという状況である(=卵子と精子の関係)ことらしく、つまり、リアルの”場”は卵子の役目を果たしているのではないかということ、などなど。この本に出会えたことで、あらためて、人との出会いとは不思議なものですし、偶然というものは無く、すべては必然なのだということを再認識した次第。おススメです。

ちなみに、当書籍は紙媒体が1,620円で、Kindle版が900円。ちょうど、近所のTUTAYAで平積みになっていたのでその場で買ってしまいましたが、Kindle版にすればよかった(笑)。写真は全くないので、電子書籍リーダーお持ちの方はぜひそちらで。それにしても、ほぼ半額...。


『暁星記』(No.640/2014.04.18)
先月から使っているAMAZONの電子書籍リーダー『kindle』のニューバージョン。旧機種に比べて画面も見やすくなったし、操作もちょっと早くなって快適です。そしてまた、徐々に電子書籍が増えつつあります。もちろん、いくら増えたところで、物理的にスペースをとるわけではなく、そういう意味では、本当に使い勝手がいいんですが、以前、このコラムでも書いたように、ワンクリックであっさり変えてしまうところが怖い...。で、最近またやってしまいました。1999年から漫画雑誌「モーニング」にて連載され、完結することなく連載が終わってしまっていたSF漫画の名作『暁星記』(菅原雅雪)。その後書き下ろし単行本で完結、これが全巻電子書籍でそろっているんですよね。当時モーニングで途中まで読んでいて、さすがに忘れていたんですが、たまたまAMAZONで見つけ、ずっと迷っていました。全8巻、紙の書籍より安いとはいえ、全巻そろえると5千円程度。簡単に買うわけには...と思っていたのですが、結局購入(笑)。

いやー、でも面白かったです。緻密な画、大きなスケール感、ストーリー展開の意外性などなど、読み応え十分でした。読み終わって思ったのですが、当時は漫画雑誌で読んでいたこともあってか、あらためて、紙媒体で読みたいなという気持ちがちょっと沸き起こってきました。いや、さすがに単行本を買い揃えることは無いと思いますが(実際、調べてみるとヤフオクなんかであるんです...)、読み応えのあるものほど、電子媒体ではメディアとして物足りない感じがあるのかもしれません。電子書籍リーダーでは、見開きができないし、できたとしても、紙媒体ほどの迫力は無いとか言われていますしね。まあ今後は新しいメディアに応じた描き方が登場するでしょうから、新しい作品に関してはそういう問題はないのかもしれませんが。

それにしても『暁星記』、映画化しても十分いけるんじゃないでしょうか。当時の技術ではわかりませんが、今はあらゆる表現が可能になってきましたからね。


『”場”に必要なもの』(No.639/2014.04.11)
ギャラリーという仕事だけでなく、さまざまな場所でアート作品を見せるという、”場作り”にもいろいろと携わらせていただいているのですが、最近思ったことがあります。
例えば、なぜそういうお仕事をいただけるかというと、数多くのクリエイターさんとつながりがあるからだと思うのですが、結局、カフェの壁面にしろ、店舗の一角にしろ、継続的にいろんな作家さんの作品を展示し続けるということがすごく大変な作業であるに加え、さらにアート作品の展示によって、その店舗の本業の部分にいかに貢献できるかということになると、さらにさらに難しくなるからではないでしょうか。

その店舗に装飾として飾るだけでは、アート作品&クリエイターさんとの関係を場に定着させることはできません。まずその店舗の中でアート作品がどのような役割を果たすのかが一番大事となります。そうやってアート作品を展示することが、店舗のスタッフの方にもいい影響を与え、全体的に店舗や場が活性化すると。で、思ったことなんですが、やはり人間にとって、”新しい人=他者”と出会うということが、基本的には大切なのではないかということです。作品を展示するだけでなく、スタッフの方にも展示する作家さんをちゃんとご紹介し、人間関係を築くことで、場作りに影響がでることがわかりました。他者との出会いは時にリスクになります。無意識的に他者と出会いたいけれどリスクを最小限にとどめたい、そんな”つながり”を得るために、ネットが有効に機能するので、これだけSNSが広まったのかも、と推測してみたり。ちょっと備忘録的に。


『アート展示ご案内』(No.638/2014.04.04)
最近関わらせていただいているアート展示を二つご紹介。一つは現在開催中の、銀座・パリミキのサロン『ミキシム銀座』の壁面スペースを利用したギャラリー『MIKISSIMES GINZA GALLERY』での展示です。このスペースのキュレーションをお手伝いさせていただいています。現在展示しているのは、世界を舞台に活躍するロモグラファーのゴトウヨシタカ氏の写真作品。タイトルは『光と遊ぶ〜dance of light〜』。ロシアのロモカメラを駆使し、多重露光とクロスプロセスによるエッジの効いた作品が、パリミキサロンにベストマッチしていますっ。こちらの店舗は、店長&スタッフさんがみなさん気さくな方で、本当に店舗+アートの素敵な関係が築けていると思います。
http://www.paris-miki.co.jp/gallery/schedule2014/

もうひとつは世田谷文化財団との共催企画『世田谷アートフリマつながり展』です。毎年春と秋の2回、三軒茶屋のキャロットタワーにて開催している、世田谷アートフリマの連動イベントとして開催されるもので、アートフリマゆかりの作家さんたちの作品を展示するグループ展です。世田谷区のご協力を得て、5年ぶりに開催しますっ。今回は10名の作家さんが出展。写真・イラスト・アクセサリー・立体・映像などなど、バラエティに富んだ楽しい展示になります。こちらは4月5日からの開催で、2日〜4日の3日間が搬入日、今まさに作家さんたちと一緒に搬入を進めている最中です。10名の作家さんがいますので、イメージ通りの展示になった人は一安心、そうでなくて、ちょっと修正が入ったり、現場で実験を重ねたりしている場合がなかなかの作業。とはいえ、現場ならではの難しさ、楽しさが心地よいです。これだけカオスなグループ展は他にないと思います。ぜひ。
http://artfleama.net/related/tsunagari2014/


『映画という娯楽』(No.637/2014.03.28)
以前にも同じようなことを書いた気がしますが、”映画離れ”の話。最近目にしたニュースでは、”映画を観る人”と”映画館に行く人”の両方が減少中というもの。映画ファン、イコール映画館ファンとしては、ちょっと寂しい話です...。

映画館数(=スクリーン数)や、映画公開本数は増加傾向にあるようですが、それが集客に結びついていないみたいですね。最近のDVDやブルーレイになる早さ、大画面ディスプレイの低価格化、ネット動画メディアの台頭などなど、いろいろと理由はありそうです。映画館に行かない理由も載っていましたが、「自宅で観る方が楽」「観賞料金が高い」の2つが大きな理由だそうです。まあ、そうなんでしょうね。個人的にも映画館に行く回数は減っていますから。これは三軒茶屋の映画館がひとつ閉鎖になったのが大きかったわけですが。

2012年度のgooリサーチの調査結果によると、映画料金が現行の1,800円から1,500円に値下げされた場合、鑑賞回数が増えるとした人は2割近くだったそうです。1,000円に値下げした場合は5割強に達するとのこと。個人的には、いい映画だったと思えた場合は1,800円でも決して高くないとは思いますが、そうでなかった場合はDVDを借りてみるのと比較してしまいますね...。

これをやれば映画業界が右肩上がりになる、なんて一発逆転の解決策はないと思いますが、ロードショーが終わった作品をDVDやブルーレイにしてレンタルするのではなく、小さな映画館や映画館じゃなくてもスクリーン上映できる場所に貸し出してくれれば、と思います。一本あたりの収益を長期で見れば、儲け方も変わってくるのではないかと。そんな制度ができれば、うちのギャラリーや知り合いのお店で、バンバン上映会やります(笑)。


『悪魔の蔵』(No.636/2014.03.21)
お酒が好きで、仕事の関係もあるので、毎日飲む日が続くことも多いんですが、ここ数年のお気に入りはワイン。それも赤。あんまり難しいことを考えなければ、割とどんな料理にも合いますし、最近はワインも安くなっていますから、酔っ払うための飲み物という意味ではビールなんかより割安?というところも気に入っています(笑)。
どちらかというと、しっかり重みがあって、ぶどうの味や渋みも感じられるものが好きです。で、最近気に入ったのが、チリのワインで”カッシェロ・デル・ディアブロ カベルネ・ソーヴィニョン”。ワインの名前は長いのが多いですね...。このワインはあまりのおいしさから盗み飲みされることが多く、ワインを守るために「悪魔がいる」という噂を流したという逸話を持つ『悪魔の蔵』のワインだそうです。ラベルに悪魔の顔がついているのも面白いです。

よく行く近所のビストロで見つけて飲んでいたのですが、普通に買うとお値段が1,400円程度。お店で飲んでも3千円行かないぐらいです(お店にもよると思いますが)。まあ、もっと安い値段でそこそこおいしいワインもたくさんありますが、この味は好きなので買ってきて家飲みでもいいかも、と思い、どこに売っているかなーと探したところ、何とセブンイレブンにありました。栓がコルクでなかったのが少し気になりましたが、味はそのまま。当たり前か。こんなに身近で買えるのも嬉しいです。ますます好きになりました。しかし..最近のコンビニはコーヒーといい、お酒といい、恐るべし、ですね。


『新Kindle(No.635/2014.03.14)
Amazonの電子書籍を読む端末、Kindleを使っています。外出するときなど、電車や待ち時間では本を読むことが多いのですが、その日の気分によって読みたいものが変わったり、何冊も平行して読むことも多いので電子書籍が助かります。また、出先で仕事をする場合はモバイル用のパソコンを持っていくので、iPadなどの情報端末は使いません。ということで、チョイスしたのがKindleでした。多少動きがもっさりしたところはありますし、もっとコンテンツが増えてくれれば、と思うことはあるものの、基本的に満足。

で、今年の誕生日プレゼントということで、Kindleの新しいバージョンを買いました(誕生日はもうちょっと先なんですが...)。今持っているのは、最初に出たバージョンの最も安い端末。新しく買ったのは3G回線が無料、というタイプのものです。情報端末を持たないので、ちょっとしたブラウジングなどはこれで済まそうという魂胆。このD-Movie用に映画をレンタルするときに、ホームページのアーカイブが見られれば、前に紹介したかどうかわかりますしね。
ところが、昨日新機種を開封していろいろ使っているうちにびっくり。3G回線でつなげるのはあくまでもAmazonが許可するサービスのみでした。そのサービスはAmazonで書籍コンテンツを購入するときとウィキペディアで調べるときのみ。よく考えたらそりゃそうかも...。どうやらこういう勘違いをする人が他にもいるようで、ネットではいろんな人が警告されていました。あわせて他のサイトにアクセスできる、Amazonの意向に違反する裏技も紹介されていましたが(笑)。

ということで、結構がっくりなんですが、新機種は画面がすごく明るくなって見やすいのと、容量が倍になったり、動作が少し機敏になっていたりと、買い換えただけのメリットはあったのでよかったです。相変わらず電子書籍を読む端末としては一番使い勝手がいいと思います。


『ソリッドステイト(No.634/2014.03.07)
通常、パソコンのデータはUSBメモリに入れて持ち歩いています。お店と自宅と両方で同じ環境で作業できるように、Eメールの保存フォルダや、その他データフォルダをUSBにまとめているということなのですが、これがちょくちょく調子悪くなります。USBメモリにアクセスできなかったり、エラーが出たり。先日もそういう症状が突然出て(大体、出るときは突然なのが怖い...)、結局アクセスできなくなりました。まあバックアップは取っているので問題ないんですが、かなりの時間をリカバリーに取られるのも事実。で、昨今のデータ持ち歩き状況はどうなっているのだろうと、いろいろ調べてみると、SSD(ソリッドステートドライブ:記憶装置として半導体素子メモリを用いたストレージ)のポータブルがよさそうでした。ハードディスクのように物理的に駆動するものもありませんし、USBやSDカードなんかより安全性も高いようです。一番の難点はコストパフォーマンスがまだまだ悪いことで、今回の事故があったのでSSDを購入したのですが、64MBで7千円程度。USBメモリなどのフラッシュメモリと比べると倍ぐらいの値段ですね。ハードディスクと比べるととんでもなく割高になります。まあ毎日使うものですからしょうがないんですが。

それよりも驚いたのは、USBメモリなどのフラッシュメモリは、日々使用していると、たまにデータが蒸発したり消滅したりすることがあるという記述を見つけたことです。”消滅”...。そういえば、数年前に、ある日気づいてみると、この『D-Movie』のデータがWebも含めてフォルダごと消えてしまったことがあるんです。いつもどおりデータを更新しようとするとそのフォルダ自体が見つからなかったんですね。不思議に思いながらも改めて作りなおしたのですが、ひょっとしたらこの現象だったのかも...。
もちろん、デジタルデータを扱う以上、どんなメディアを使っても何かしらのリスクはあると思いますので、結局はバックアップをちゃんと取る、ということに尽きるんでしょうが...。でも今回SSD導入でちょっとでもリスクが減ることを願っております。ホント、パソコントラブルほどイライラが募るものはありませんから。


『86回アカデミー賞(No.633/2014.02.28)
3月2日にカリフォルニア州ハリウッドのドルビー・シアターで第86回アカデミー賞授賞式が開催されます。また今回もいろんな人がいろんな予想をしていますねー。
まず作品賞ノミネートで話題になっているのは「ゼロ・グラビティ」と「アメリカン・ハッスル」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「それでも夜は明ける」などでしょうか。「ゼロ・グラビティ」が有力そうですが、作品性を重視した結果、結局2010年に「アバター」ではなく「ハートロッカー」に与えてしまった経緯もありますので、ここでもまた「ゼロ・グラビティ」は獲れない気がします。そうなると「それでも夜は明ける」?
主演男優賞・女優賞もいろいろありますね。男優賞はレオナルド・ディカプリオ(ウルフ・オブ・ウォールストリート)、キウェテル・イジョフォー(それでも夜は明ける)、マシュー・マコノヒー(ダラス・バイヤーズクラブ)あたりでしょうか。ディカプリオは今まで惜しいところで逃していますので、そろそろな気もしますが、エイズ患者の役作りのために21kg減量したマシュー・マコノヒーが凄いですね。
女優賞では、ケイト・ブランシェット(ブルージャスミン)、サンドラ・ブロック(ゼロ・グラビティ)の一騎打ちですかね。ジュディ・デンチ(あなたを抱きしめる日まで)やメリル・ストリープ(8月の家族たち)ももちろん素晴らしいですが、このあたりはもう殿堂入りの貫禄ですから。
他にもアニメ部門が日本人監督作品も含めて盛り上がっているようです。賞レース、しかもアカデミー賞に関してはいろいろと作品のクオリティだけで判断されない部分も多いですが、やっぱりどの作品が、誰が受賞するかは気になります。要注目です。


『トランスフォーマー系(No.632/2014.02.21)
先2007年に公開された、マイケル・ベイ監督とスティーヴン・スピルバーグによるアクション大作『トランスフォーマー』シリーズ以降、ハリウッドでは巨大ロボットものの作品が増えました。『トランスフォーマー』の1作目だけは見たのですが(全3部作)、クオリティの高いVFXはなかなか見ごたえがありましたが、基本的にはティーンエージャー向けの味付けで馴染めず、それ以降の話題作も(『リアルスティール』『バトルシップ』など)スルー。でしたが...が、ある知人から『パシフィック・リム』は面白い、強力に勧められ、DVDで見てみました。
結論から言うと、なかなか面白かったです。単なる戦闘ものにとどまらず、親子の絆なんかも描いていますし、幼い子供が登場してやたらと活躍しないところも好印象(笑)。敵となる怪物が”KAIJU”と呼ばれていることからも、日本の特撮映画へのレスペクトが感じられます。ただ、VFXはもちろん凄いのですが、敵の造形が少し残念な感じも...。やっぱり、ウルトラマン〜セブン辺りを見て育った人間からすると、敵の造形大事。おどろおどろしい感じはすごくあるのですが、その異形のビジュアルだけで見る側を圧倒するような不気味さにかけていた気がします。昭和の特撮の怪獣たちは、敵ながら感情移入できる、ある種のかっこよさがあったんですよね。サイズ的には想像よりもかなり大きいのでインパクトはありましたが。2時間を越える尺なのでちょっと長いものの、また見てみたいと思いました。オススメです。


『一人でレンタル(No.631/2014.02.14)
先日、久しぶりに三軒茶屋のツタヤにて音楽CDをレンタルしようとしたところ、受付カウンターがなくなっていてびっくりっ。何とレンタルの手続きがセルフサービスになっていました。
自分でカードを読み込んで、商品にバーコードを当てます。レンタル期間も選べるのでチョイス。まさに店員さんがやっているのと同じ作業。読み終わるとその場でお金を入金。もちろん紙幣だけでなく硬貨も入れる場所があります。すべて終えるとレシートが発行されて手続き終了。足元に袋があるので、それに入れて持ち帰ります。初めてでも何とか無事できました。個人的には、特に音楽CDを借りる際に、必要以上に店員さんがディスクのメンテナンスをして時間がかかるのがちょっと嫌だったので、これは自分のペースでできるので、そういう意味では歓迎。

ただ、機械でのやり方がわからず、店員さんと一緒に入力している人もちらほら。平日の昼まで込んでなかったからよかったですが、混雑しているときは、みんながみんなスムーズに手続きできないと、カウンターでの受付よりカオスになる可能性があるかも...と思いました。どうなるんでしょう。それにしても凄い時代になったものです。


『映画の記憶(No.630/2014.02.07)
幼い頃、といっても、幼稚園に通っていた頃なのか、小学生であったのか、定かではありませんが、”夜の21時”が”遅い時間”であった頃の記憶には間違いありません。たまたま家のテレビで放送されていた映画。タイトルもわからないし、特に興味があったわけでもありません。ただ、腹話術師が自分が操る人形と、まるで他人のように会話をし、狂っていく様子だけが、ぼんやりと、しかし強烈に記憶に残っています。ストーリーもほとんど覚えていませんが、おしゃべりな人形が箱に入れられて横たわっている場面が映像として頭に焼き付いています。それが小学生(間を取って3、4年生)の時だとすると、あれから15年ほど経って、おそらくその映画であったであろう作品に出会いました。それが今回ご紹介するリチャード・アッテンボロー監督の『マジック』です。
ちゃんとしたストーリーを覚えていないので検証のしようもないのですが、おそらく間違いないと思います。たまたまレンタルショップでパッケージを見て、ストーリーを読んでいてハッと気づきました。長年の時を経て出会ったわけですが、ものすごく感動を覚えるわけでもなく、それでいて懐かしさもあり、不思議な気持ちになりました。

ただ、作品としては本当に良くできています。主人公が狂気にから娶られている様子を、若き日のアンソニー・ホプキンスが熱演。改めてみると怖い映画です。それゆえに子供心にも深く突き刺さったのでしょう。
ちなみに、記憶ではもっと古い映画の印象があり、映像もモノクロだったのですが、本作はカラー作品でした。


『ミッション、ビジョン、パッション(No.629/2014.01.31)
うちのギャラリーの作家さんがつないでくださった、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田松雄さん。数ある著書の中でも『MISSION』(アスコム)は何度も読み返しています。その企業にしか、人にしかできないこと=ミッションを構築することの大切さを説いた本。ビジネスだけでなく、あらゆることに共通する素晴らしい考え方だと思います。

で、先日、講師を務める専門学校のゲストとしてお越しいただき、直接いろんなお話を伺ったのですが、大変刺激的でした。書籍に書いていない内容などもたくさんお話いただき、私も含め、学生たちも多くの素晴らしい言葉をいただきました。話の内容ももちろんですが、フリーという立場で、しかも40歳半ばを越えてくると、多くのことが自分の思うように決められますし、文句を言われることも少なくなります。結果、なかなか自分より年上の方とじっくりお話し、しかも人生の先輩としての示唆をいただくことも少なくなってきます。これがやばいんですよね。そういう意味でも本当にありがたい機会でした。話の内容についてはここでかいつまんで紹介させていただくよりも、岩田さんの書籍がたくさん出版されていますので、そちらをご覧ください(笑)。


『シャヴァンヌ(No.628/2014.01.24)
東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『シャヴァンヌ展』を見ました。19世紀のフランスを代表する壁画家として知られるピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)の、日本で始めての本格的な回顧展です。シャヴァンヌはフランスの主要建造物の記念碑的な壁画装飾を多く手がけ、桃源郷と謳われて来たアルカディアを彷彿とさせるモチーフも多く、その独特の奥深い世界は、象徴主義の先駆的作例と言われているそうです。

個人的には全然知りませんでしたが、非常に見ごたえがあり、心に作品も数多くある展覧会でした。どちらかというと淡い色調で、登場する人物も静かにたたずんでいることが多く、あえて表情や動きを排除しているかのようです。それでいてどこか自然の風景よりも妖精や女神などの主体に重きが置かれていて、その一見アンバランスともいえる描き方によって、どこか異世界のような雰囲気をかもし出しています。肖像画や風景画が多くを占める展覧会とはまた違う雰囲気で楽しめました。
シャヴァンヌは、マルセイユ美術館、パンテオン、リヨン美術館、パリ市庁舎などの公共的建築の壁画を製作したとのことで、街中にこのような神秘的な壁画がたくさんあると、間違いなく日々感性を刺激されるでしょうね。フランスへ留学した黒田清輝らを通じて、日本の近代洋画にも深く関与したので、私たち日本人の感性にもどこか通ずるものがあるのかもしれません。会期は3月9日(日)まで。

・東急Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/


『ジョセフ・クーデルカ(No.627/2014.01.17)
毎年1月に、うちのギャラリーで開催しているグループ写真展があります。トイカメラとして人気のあるロシアが生んだコンパクト・カメラ”ロモ東京国立近代美術館で13日まで開催されていた『ジョセフ・クーデルカ展』を見ました。

ジョセフ・クーデルカは1938年チェコスロヴァキア生まれの写真家。現在、世界で最も注目される写真家の一人です。同展示はその初期から最新作までを紹介した展覧会です。もともと航空技師だった彼が、知人の紹介で撮影を始めたプラハの劇場での写真で存在を知られ、ソビエト軍のプラハ侵攻を撮影。その写真が匿名のままマグナム・フォトを通じて西側に配信され、世界的に彼の写真が知られることとなりました。

同展覧会では、プラハ侵攻の写真もありましたが、個人的には初期の実験的な作品が非常に刺激的でした。コントラストが強いどこかグラフィックデザインのような作品から、人間のシルエットだけがぼんやりと浮かび上がるような抽象絵画のような作品まで、独創的な実験作品は、今見ても全く古さを感じさせませんでした。
もちろんカタログも購入したのですが、その中でクーデルカのインタビューが載っていて、それも興味深かったです。もっとも凄かったのが、「どうして依頼仕事を受けないのですか?」という質問への答え。彼はこう言っています。「理由はいくつかある。まず自分の独立性を保ちたいということ。それに私がとりくんでいることは必ずしも容易なこととは限らない。愚かにも自分自身をそこに送り込む間抜けでありたい」と。多少略させていただきましたが、すべてのクリエイター、ジャーナリストの胸に刺さる言葉だと思います。写真のチカラ、人間のチカラを改めて感じられる展示でした。

・マグナム・フォト(http://www.magnumphotos.co.jp/


『ライフ(No.626/2014.01.10)
毎年1月に、うちのギャラリーで開催しているグループ写真展があります。トイカメラとして人気のあるロシアが生んだコンパクト・カメラ”ロモ”によるグループ写真展『LIFE LOMO 2014』です。今年で9回目を迎えることになりました。何とかよく続いています。テーマは第2回目から”LIFE”に固定、今回は10名のメンバーがそれぞれの”LIFE”をトイカメラで表現しています。

最近またレコードがちょっと人気になっている感がありますが、トイカメラも基本的には”フィルム”なので、アナログと言う意味では同じ。やはりどこか温かみのあるところが魅力です。デジタルとアナログってよく比較されますが、どうしてもデジタル=新しい、みたいな見方をされることが多いです。ただ、個人的にはまったく別物だと思っています。デジタルはすべてをゼロとイチに置き換えたもので、アナログは連続性を持って表現されているもの。技術的な新旧だけの区別ではないと思うんですね。だからどちらも良いところとそうでないところがある。

アナログのよさって言うのは、温かみもありますが、フィルムにしろレコードにしろ、そのメディアでの一回性みたいなものがありますね。だからこそ瞬間の場面や演奏が、その現場の空気や温度なども含めて、永遠に封じ込められている気がします。そう考えるとロマンチックなメディアです。徐々に劣化していくものの、よほどのことがない限り、ある程度は再現できる。そういうタフさもあります。LIFE展、気が早いですが、来年も開催します。トイカメラ、LIFEと言うテーマにご興味のある方、ぜひ。

・『LIFE LOMO 2014』(http://233.jp/life/




『新・スーパーマン(No.625/2014.01.03)
あけましておめでとうございます。お天気もよくて、気持ちのいい元旦ですね。ということで2014年最初の配信です。ちょうど三軒茶屋シネマで見たい作品が上映されていたので昨日見てきました。『300』(2007)や『ウォッチメン』(2009)などを手がけたザック・スナイダー監督、『バットマン』シリーズのクリストファー・ノーラン製作・原案の『マン・オブ・スティール(Man of Steel)』です。やっと見れました。

いわずと知れたアメリカの超人気漫画&キャラクターの”スーパーマン”の最新シリーズです。公開前からかなり話題になっていました。どんなに楽しいスーパーヒーローも重厚な人間ドラマにしてしまう(それが個人的には大好きなんですが)クリストファー・ノーランが製作に携わっているので、どうなることかと思いきや、やっぱり期待を裏切らない出来でした。今回も主人公が悩みまくります。しかも、胸の”S”の文字が何と”スーパー”のそれではないという変則技。赤いパンツもなくなりましたしね。戦闘シーンはスピード感とリアリティを追求していて迫力あります。...でも、なんでしょう。リアリティを追求するには、あまりにもキャラクター化されすぎているヒーローだからか、どこか上滑りしている感じでした。楽しめましたけどね。
スーパーマンに関しては、2006年に公開された『スーパーマン リターンズ』の方が好みかも。いろんな意味でバランスが取れていた気がします。ただ、『マン・オブ・スティール)』も次作があるようなので、そちらに期待っ。

・『マン・オブ・スティール』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/index.html

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