No.68
タイトル
ニュージャージー・ドライブ
(原題)
NEW JERSEY DRIVE
監督
ニック・ゴメス
キャスト
シャロン・コーリー、ガブリエル・カソーズ、ソウル・スタイン他 
制作
1995年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
98分
評価
★★
<ストーリー>
ジェイソン(シャロン・コーリー)はニューアークに住む10代の少年。今日も友人ミジェット(ガブリエル・カソーズ)らと共に車を盗んでは乗り回していた。だがある日警察の車を盗んでしまったことからある警官に目を付けられ、ことある毎に衝突する羽目に。それでも車の盗みをやめない彼らはやがて盗みの現場に張り込まれ、警察の銃撃にあってしまう......。

<コメント>
「黒人の体験をスクリーンの上で正確に描写できるのは、黒人の監督だけ」という確固たる信念のもと、映画というメディアを通してアメリカを扇動し続ける監督スパイク・リー(『スクール・デイズ』(1988))。彼が製作総指揮を務めたのがこの作品です。日本未公開。監督はニック・ゴメス。彼の最新作『MONA(モナ)彼女が殺された理由(わけ)』(2000)はベッド・ミドラーの起用で話題を呼びました。

ちょっと乱暴な言い方ですが”黒人による黒人のための映画”を”ブラック・ムービー”と定義するなら、1990年代はブラック・ムービーが新たなステージを迎えた時代だと言えるのではないでしょうか。スパイク・リー監督らの努力によって黒人監督が撮りたいものを撮れるようになりましたし、新しい才能もたくさん開花しました。また黒人スターも数多く輩出され、中には『ショーシャンクの空に』(1994)や『セブン』(1995)のモーガン・フリーマンのように、黒人という形容詞無しで純粋に俳優として高く評価される人も出てきました。この作品はそんな時代の真っ只中に作られたものです。
”新しい時代を迎えた”ブラック・ムービーは良くも悪くも二極分化しているように思えます。ひとつは黒人という人種にこだわらず人間の人生や内面を描き出そうとする作品、もうひとつは今までも多く作られてきた、相変わらず虐げられている黒人の厳しい現状を描いた作品です。この作品は後者に属します。

ここではニューアークで車泥棒を生業としている、というかそういう犯罪に走らざるを得ないティーンエイジャーたちの閉塞した日常が描かれています。有名な俳優のいないキャスティングはおとなしめですが、それが逆にリアリティを感じさせます。こういう種類の作品ではアクションやバイオレンス・シーンを中心に据えたものが多いですが、そういう演出は控えめで、日々のシーンを淡々とつなぎ合わせることによってハードで行き場のない日常を浮き彫りにしています。これはドキュメンタリーではないけれど、まぎれもなく黒人の若者たちの生活を映し出している、と言われるとやはり考えさせられますね。ただ主人公のやり場のない怒りやあきらめにも似たクールさ等の感情は今ひとつしかっりと伝わってこないように感じました。また若者たちと白人警官との確執もちぐはぐで”殺るか殺られるか”みたいな緊迫感にかける気がします。スパイク・リー監督が製作総指揮に加わっていたので、もっと彼らしい毒やインパクトを期待しすぎた感はあるかもしれません。
こういった映画の売りの一つに黒人ラッパーによるサントラがありますが、この作品でもサントラは素晴らしく、CDはVol.1とVol.2の2枚にわたってリリースされました。しかし、映画の中での音楽の使い方自体は意外とあっさりしているため、結果的にサントラ盤のCDだけが強く印象を残す結果になってしまったように思います。こういう種類のブラック・ムービーに興味あはあるけれど、あまりど派手なバイオレンスものは苦手と言う方にはお薦めできます。

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