No.393
タイトル
草の上の月
(原題)
THE WHOLE WIDE WORLD
監督
ダン・アイアランド
脚本
マイケル・スコット・マイヤーズ
キャスト
ビンセント・ドノフリオ、レニー・ゼルウィガー他
制作
1996年/アメリカ
ジャンル 恋愛ドラマ
上映時間
112分
評価
★★★

【 ストーリー 】
テキサス州の田舎町ブラウンウッド。小説家志望の教師ノーベリン・プライス(レネー・ゼルウィガー)は冒険作家のロバート・E・ハワード(ビンセント・ドノフリオ)と知り合う。彼女は、変わり者ながら想像力あふれる作家ロバートに惹かれていくが、お互いの価値観の違いから二人の溝は広がっていく.....。

【 コメント 】
実在した作家ロバート・E・ハワードとの淡い恋物語を描いた、ノーベリン・プライスによる自叙伝を元に映画化した作品。監督は『サロメ』(1987)や『ボンデージ』(1991)などでキャリアを積み、本作で監督デビューを果たしたダン・アイアランド。

主役の女性を演じるのは、『ベティ・サイズモア』(2000)以降、あっという間に大スターに上り詰めるレニー・ゼルウィガー。本作でも確かな演技はさすがです。ロバートの才能に惚れながらも、価値観や人間性の違いから二人の間に横たわる溝の深さに苦しむノーベリンを見事に表現しています。決して派手な印象はありませんが、独特の純粋さを持った女優さんですよね。キレるときはしっかりキレるし(笑)。一方、相手役ロバートを演じるビンセント・ドノフリオも、激昂的でありながら非常に繊細な感性を持つキャラクターを上手く演じていると思います。母親との関係、恋する女性とのコミュニケーション、閉じ行く世界との対峙、広がる想像力...。外からは分かりませんが、彼の中にはさまざまな苦悩が抱え込まれていたのでしょう。

テキサスの広大な自然を背景にほとんど二人のやりとりで映画は進みます。派手な性描写や暴力もなく、あくまでも二人の心の会話を中心に描いている演出に監督の誠意を感じます。一見、二人の思想や振る舞いはかけ離れいてるように見えますが、だからこそ惹かれあったということも言えるのではないでしょうか。まず肉体的につながる愛もあれば、精神性のみが結ばれる愛もあります。しかし、血と肉で構成された人間である以上、プラトニックな愛を貫くには何かをあきらめなければなりません。ロバートはそうなる原因となった己に、また、彼が予言する来るべき人間の欲望渦巻く未来に失望したのかもしれません。
お互いの家族の人間関係やそれぞれの過去についての描写が物足りず、主役の二人の演技に頼る部分も多い気もしますが、切なくも清清しい余韻を残してくれる作品だと思います。

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