No.290
タイトル
木洩れ日の中で
(原題)
ULEE'S GOLD
監督
ヴィクター・ヌネッツ
脚本
ヴィクター・ヌネッツ
キャスト
ピーター・フォンダ、パトリシア・リチャードソン他
制作
1997年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
113分
評価
★★★
<ストーリー>
小さな片田舎で養蜂で生計を立て、二人の孫娘と暮らす初老のユーリー(ピーター・フォンダ)。服役中の息子から懇願され、しぶしぶ、家族を捨てた孫娘の母親を引き取ることに。息子のかつての仲間たちに、半ば監禁されていた母親は、薬と病気で変わり果てていた。ユーリーは、やっとの思いで何とか母親を連れ戻すが.....。

<コメント>
『イージーライダー』(1969)を始めとして、アメリカン・ニュー・シネマを語る上で欠かせない俳優であり、監督でもあるピーター・フォンダ主演作品。監督は本作では脚本も手がけたヴィクター・ヌネッツ。同監督は本作までに映画は2本(『ディープ・ジョパディー』(1993)/監督・脚本、『第一目撃者』(1995)/撮影)というキャリアなんですが、ピーター・フォンダ演じる主人公を中心に、さほど起伏の無い脚本を淡々と丁寧に演出しています。この”やりすぎない”感じがいいです。特別リアリティがあると言うわけではないのですが、心に傷を負った寡黙な主人公に感情移入させる効果を発揮していると思います。ピーター・フォンダの感情を表に出さない抑えた演技も素晴らしい。それにしてもあまりにも笑わなさ過ぎな気がしますが...。

薬漬けになっていた息子の妻が立ち直る過程、息子のかつての仲間とのトラブル、近所に住む心優しい女性との交流等、どれもバタ臭くなる一歩手前で抑制されています。そして、それらのエピソードと平行して描写される主人公の養蜂の様子がいい。いろんなトラブルに見舞われながらも黙々と蜂を育てる姿に、地味ながら男として、父としての強さを感じます。通常、アメリカ映画でこういう設定だと、主人公のお父さんはもう少しマッチョに戦ったり、怒ったりするのですが、そうじゃないところに好感が持てました。やはり人としての弱さを知っている人間でないと本当の強さは獲得できないのでしょうか。ヌネッツ監督の他の作品は見ていないのですが、非常に興味をそそられます。

ちなみに本作でピーター・フォンダは同年のアカデミー賞・主演男優賞にノミネート、NY批評家協会賞では男優賞を受賞、ゴールデン・グローブ賞のドラマ部門でも男優賞を獲得しました。また、『テキサス・チェーンソー』(2003)や『ブレイド3』(2004)等、近年アクションもので活躍しているジェシカ・ビールは本作がデビュー作。ちょっととんがった娘役ですが、見た目は今と比べると幼くてかわいいですね。

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