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タイトル
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テルミン |
(原題)
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THEREMIN |
監督
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スティーヴン・M・マーティン |
脚本
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− |
キャスト
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レオン・テルミン、クララ・ロックモア他 |
制作
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1993年/アメリカ |
ジャンル |
ドキュメンタリー |
上映時間
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83分 |
評価
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★★★★ |
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【 ストーリー 】
1920年、ロシアで発明された世界初の電子楽器”テルミン”。それは空間に手をかざすだけで触れずにして奏でられる未来の楽器。しかし、その発明者であり、音楽家だったレオン・テルミン博士の一生は謎のベールに包まれている。その驚異的頭脳を買われて何者かに拉致され、消息を絶っていたのだ.....。
【 コメント 】
20世紀に生まれたシンセサイザー音楽、さらに言えばテクノ・ミュージックの源となる楽器ともいえる”テルミン”。そのテルミンの生みの親である、レオン・テルミン博士の数奇な運命を描いたドキュメンタリー作品。
稀代のテルミン奏者であるクララ・ロックモアや、シンセサイザーの生みの親ロバート・モーグなど、テルミンに関わる人々の語りを補助線に、テルミン博士の人間性やテルミンという楽器の革新性が綴られていきます。テルミン博士は、発明品が時代を先取りしていただけでなく、当時はご法度とも言える黒人女性との結婚を果たすなど、既成概念や悪しき風習からも自由であった人物であることがわかります。モーグと対照的にやたらハイテンションで語るビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンのインタビューも結構貴重。やっぱりいっちゃってますね。さらにトッド・ラングレンも...もっとちゃんと語って欲しかった(笑)。
作中、テルミン博士自らの演奏シーンもさることながら、やはりクララの演奏が圧倒的です。指揮者のような堂々とした振る舞い、切ない音色。完璧に統制されたオーケストラを想起させます。ラスト近く、クララに再会するために街を歩くテルミン博士の映像に彼女の演奏が重なります。ハリウッッド映画では恐怖の音楽としてしか使われなかったテルミンは、実はこんなにもセンチメンタルでノスタルジックな音楽なんだと言わんばかりの演出。
ロシアに連行されたことなどはさらっとしか触れていないところがドキュメンタリーとしては物足りなさを感じますし(やはりご本人的には語りたくないのかもしれませんが)、テルミンそのものについてももう少し詳しく説明が欲しかった気がしますが、ラストシーンの後、テルミン博士とクララの間でどのような会話がなされたのか。自らの発明と時代背景に翻弄された一人の天才科学者の人生が、まさにテルミンの音色のようにじんわりと伝わってきます。
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