No.261
タイトル
ザ・ファン
(原題)
THE FAN
監督
トニー・スコット
脚本
フォエフ・サットン
キャスト
ロバート・デ・ニーロ、ウェズリー・スナイプス、エレン・バーキン他
制作
1996年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
117分
評価
★★★
<ストーリー>
ナイフのセールスマン、ギル(ロバート・デ・ニーロ)は地元サンフランシスコの野球チーム”ジャイアンツ”の熱狂的なファン。特に大物スラッガー、ボビー(ウェズリー・スナイプス)に関しては、ラジオの視聴者代表として彼にエールを送るほど。やがて待ちに待った開幕戦が始まるが、ギルは別れた妻とのいざこざや仕事上の不手際等で徐々に生活が荒んでいく.....。

<コメント>
『トップガン』(1986)、『クリムゾン・タイド』(1995)等、ハリウッドでヒット作を連発しているトニー・スコット監督作品。ウェズリー・スナイプスとロバート・デ・ニーロという2大ビッグ・スターを有名野球選手とそのストーカーという対照的な役柄に配して作ったサスペンス。サスペンスものが得意なトニー・スコット監督らしく全編を貫く緊張感はなかなかのもの。平凡なサラリーマンが鬱屈のたまる日常の中で狂っていく様子、一線を越えて犯罪者となる過程がうまく描かれていると思います。
本作の見所はやはりそのサラリーマンを演じるロバート・デ・ニーロの演技。彼の作品でストーカー役と言うとジョン・D・マクドナルド原作の『恐怖の岬』(1962)をマーチン・スコセッシがリメイクした『ケープ・フィアー』(1991)がありますが、迫力は本作の方が上ですね。デ・ニーロという役者は何か現世から少し離れたところに存在している気がするんです。どこか自分の居場所ではない世界で生きているような雰囲気があるんですね。個人的に『タクシードライバー』の印象が強すぎるのかとも思うのですが、そういう彼が狂気の人間を演じると、狂気そのものが独立して伝わってくるんですよ。つまり、例えば本作のサラリーマンにしても、人を殺すのは、社会や世界が悪いからで、そういう環境から生まれた狂気が本当の自分とは関係ないところで悪さをしているんだ、みたいな。実際、狂気ってそういうものだと思います。だからリアリティがある。怖いです。ひょっとしたら彼は二重人格っぽいところがあるのでしょうか。そういえば、最近彼が出演したホラー『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』(2005) 』はそうでしたね。
まあ、普通のサラリーマンといっても鋭利なナイフをたくさん持ち歩いている時点でかなり狂気を感じさせますが。デ・ニーロに比べて、ウェズリー・スナイプスがどこか大物スター選手としてのオーラが足りないのが残念。それにしてもこういうストーリーは主人公(ストーカー)の顛末に感情移入すると切なくなりますね。

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