No.418
タイトル
息子の部屋
(原題)
THE SON'S ROOM
監督
ナンニ・モレッティ
脚本
ハイドラン・シュリーフ
キャスト
ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ他
制作
2001年/イタリア
ジャンル ドラマ
上映時間
99分
評価
★★★★

【 ストーリー 】
イタリアの港町。精神科医のジョヴァンニ(ナンニ・モレッティ)は妻と子供たちに囲まれ幸せな日々を送っていた。ところが、ある日、息子のアンドレア(ジュゼッペ・サンフェリーチェ)がダイビングで潜水中に事故死してしまう。突然の不幸に襲われた家族の歯車は狂い始め、ジョヴァンニは妻ともすれ違い、仕事もままならなくなる...。

【 コメント 】
イタリアのウッディ・アレンと称されるナンニ・モレッティが監督・脚本・主演まで手がけた作品。両親と息子と娘、なに不自由ない理想の家庭として日々を過ごしていた一家を襲った突然の息子の死。傷ついた家族がその試練を乗り越える様子を綴った作品。

本作は2001年のカンヌ映画際でパルム・ドゥールを受賞しました。もちろん、グランプリに値する作品だと思いますが、それにしても静かな作品です。父親が精神分析医であり、さまざまな患者との交流があります。しかしながらそれぞれの患者とのエピソードは何か伏線になるわけでもなく、ただ淡々と描かれます。また、精神分析医という仕事に就くまでの道のりも掘り下げず、息子の死後の夫婦間の関係にしても、危機を予感させる言葉が一言だけ出てくるものの、これもまたそれ以上の描写はありません。
それでも、息子の世界を全く理解できていなかった父親が、息子が通っていた店で買ったCDを聞いたり、息子のガールフレンドとの交流を通して、あらためて息子の生きる世界を身近に感じつつ、息子の死を少しずつ受け入れていく様子に心が揺れます。

子供の死と言う悲しい事実を真正面から描いた作品、という意味では、おそらく他にもいろんな映画があると思います。しかしながら、本作の素晴らしいのはラストシーン。息子のガールフレンドは、会ってみると新しい彼氏らしき男がいて、ヒッチハイクをするというけれどままならず、あまりにもか弱く不確実な世界に生きています。しかしながら、その世界の不確実なありように改めて触れたとき、人は何かをあきらめ、何かを受け入れることが出来るのかもしれません。そしてまた映画もその不確実さを感じさせるかのように突然幕を閉じるのです。

どうしようもなく地味で悲しい映画なんですが、このラストシーンと余韻がいつまでも心に残る作品です。父親が息子のためにと買ったCDの曲(ブライアン・イーノの“By This River”)が恐ろしいほど美しい。

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