No.232
タイトル
シリアル・ママ
(原題)
SERIAL MOM
監督
ジョン・ウォーターズ
キャスト
キャスリーン・ターナー、サム・ウォーターストーン、ミンク・ストール他
制作
1994年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
94分
評価
★★★
<ストーリー>
閑静な住宅街で幸せな家庭に暮らしているように見える主婦のビヴァリー・サトフィン(キャスリーン・ターナー)だが、朝、家族を送り出した後は、近所のヒンクル夫人(ミンク・ストール)にイタズラ電話をかけ、猥褻な言葉や罵声を浴びせるのが日課。彼女の行動はそれだけに留まらず、気に食わない行動をとる者たちを次々と殺害していく.....。

<コメント>
代表作『ピンク・フラミンゴ』(1972)のおかげで、”悪趣味”という文脈で語られる事の多いジョン・ウォーターズ監督作品(個人的には彼の『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』(2000)は大好きな作品です)。
ちょっとした事で癇癪を起こし、相手を殺してしまう恐怖の主婦が主人公の物語。このキレまくる主婦を演じるのがキャスリン・ターナー。彼女の演技が必要以上に感情を押し殺していないので、ぎりぎりのところでコメディとして成立していると思います。コメディと言いながら笑えはしないけれど勢いはあります。

2000年に公開されたブレット・イーストン・エリス原作の『アメリカン・サイコ』という映画で、精神を病んでいる主人公が、自分のよりもクールな名刺を見せられる事で、その相手を殺そうとする場面があります。当時原作を先に読んでいた私は、主人公の空虚な性格や内面性を背景に、そういう短絡的な理由が殺人につながることに衝撃を受けていたのですが、そういった部分が映画で見るとあまりに滑稽で、ほとんどコメディになっていた事実にとても違和感を覚えました。もちろん演出の仕方によって見え方が違ってくるという事はあるにしても、ひょっとしたらアメリカ人にとって、『アメリカン・サイコ』という物語そのものがコメディとして捉えられていたのではないかと。もしそうなら、それこそ本当に恐ろしいことだと思いました。そういう意味では、理由はほんの些細な事でも、自分を正義と信じて堂々と相手を殺しまくるこのシリアル・ママの狂気の行動は結構納得できるものがあります(もちろん正しいという事ではありません)。
善悪を単純な二元論で片付けてしまう危うさは残るものの、私たちが争いや憎しみと遠いところで暮らしているのではなく、いつ隣人に刺されるかわからない、そういう世界を作り上げ、そこで暮らしているんだということは伝わってきました。ちなみに、本作は実話がベースになっているとありますが、真意の程はわかりません。多少大げさに作っているとするならば、アメリカならばあり得る気はしますが。

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