No.154
タイトル
ロード・ムーヴィー
(原題)
ROAD MOVIE
監督
ピーター・ケアー
キャスト
制作
1997年/アメリカ
ジャンル ミュージック
上映時間
90分
評価
★★★★
<ストーリー>


<コメント>
少しくぐもった発音と独特の歌い方が印象的なヴォーカリスト/マイケル・スタイプがレコード・ショップで知り合ったピーター・バックと意気投合し、マイク・ミルズ、ビル・ベリーの4人で始めたバンド、R.E.M。1980年に結成後、インディ・レーベルに所属した彼らは大学生たちの絶大な人気を得てファンを増やし、やがて世界のロック・バンドとして君臨するに至りました。1997年にドラマーのビル・ベリーが脱退して3人になってしまう事件が起こりましたが、2年前の2001年に発表された最新フル・アルバム『reveal(リヴィール)』では、素晴らしい歌とギターのメロディラインによって、相変わらずの健在振りを示しファンを安心させてくれました。そんな彼らが1994年に発表したアルバム『モンスター』にあわせて行った『モンスター・ワールド・ツアー』(このツアーはメンバーのうち3人が旅の途中で病床に伏すという壮絶な行程だったことで知られています)のアトランタでの模様を収録したライヴ作品がこの『ロード・ムーヴィー』です。

この作品は当時映画館で観たのですが、ちょうどプロモーションでメンバーの一人が来日し(誰だか忘れてしまいました。マイケル・スタイプでなかったことは確かです...)、会場に来ていたのを覚えています。その時に司会を務めた人が「この作品はライヴとして楽しもうよ」と言いました。それはつまり、”ライブ映像を流す作品であるので、みんな席に座ってないで立ち上がって、映画館ではなくてライヴ会場にいるように振る舞い、楽しもうよ”ということだったと思います。でも会場のお客さんたちには伝わらなかったのか、結局誰も立たず、誰も踊りませんでした。あの時のことを思い出すと今でも残念でなりません...。
さらに司会者は彼らのことを、「ファンが育てたバンド」と紹介しました。私はデビュー当初よりずっと聞いていますが、もともと頻繁なツアーや草の根的活動によって人気を得た彼らは、まさにそういうバンドだと思います。

しかし、あらためて本作を見ると、ステージを駆け巡るド派手な映像や飾り立てられた照明が目に付き、中途半端なエフェクトやめまぐるしく切り替わる映像処理に少し違和感を覚えます。初期の頃にはビデオ・クリップにもほとんど顔を出さなかったマイケル・スタイプは、頭をつるつるに剃り、太いアイラインを入れて、異形の存在となって観客を扇動しています。当時、彼らは史上最高額と言われる8000万ドルもの大金で所属していたレコード会社と契約更新し、まさにアメリカを代表する大物バンドになったと言われましたが、本作で繰り広げられる映像は、良くも悪くも、音楽業界を代表するかのごとき壮大なエンターテイメントとなっています。
それでも、やはりマイケル・スタイプが絞り出す声は内省的でありながらポジティブで、圧倒的な存在感、迫力を見せ付けてくれます。途中、観客にマイクを渡すのも、彼が単なるロック・スターになりたいわけではない意図の表れかもしれません。そして何より彼らが繰り出す曲のメロディーの素晴らしさ。これは何ものにも代えがたい。ニルヴァーナのカート・コベイン(REMの大ファンでした)、エリオット・スミス亡き今、マイケル・スタイプ、そしてR.E.Mが果たすべき役割は大きいと思います。ずっとがんばって欲しい。

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