No.172
タイトル
ラジオ・フライヤー
(原題)
RADIO FLYER
監督
リチャード・ドナー
キャスト
ロレイン・ブラッコ、イライジャ・ウッド、ジョゼフ・マゼロ他
制作
1992年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
114分
評価
★★★
<ストーリー>
1969年、カリフォルニア。母の再婚相手に暴力を振るわれ、近所の子供達にもいじめられつらい日々を送るマイク(イライジャ・ウッド)とボビー(ジョゼフ・マゼロ)の幼い兄弟。ますます激しくなる父親の暴力から逃れるため、ある日彼らは子供用ワゴン”ラジオ・フライヤー”を使って、空を飛ぶ計画を立てる.....。

<コメント>
『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)シリーズで大ブレイクを果たしたイライジャ・ウッドが子役で主演したドラマ。監督は『オーメン』(1976)で注目を集め、『スーパーマン』(1978)やメル・ギブソンを配した『リーサル・ウェポン』(1987)シリーズ等で、ヒットメイカーとして知られるリチャード・ドナー。どちらかというとアクションものが多い監督ですが、本作は幼い子供たちが直面する楽しくも苦い現実をファンタジックに仕上げています。
最近のイライジャ・ウッドを知っているから、というところもあるかもしれませんが、とにかく彼と彼の弟を演じる俳優がかわいいですね。そこがまず印象的。後、彼らを虐待する父親の顔や素性等を明らかにしない演出もよいです。暴力を振るうダメ男、という記号が普遍化されていて、逆に恐怖も倍増です。シングルマザーと、暴力夫、そしていつも虐げられ、被害者となる子供たち、と、設定としてはアメリカ映画にはよくある図式ですが、そこで登場するのが”ラジオ・フライヤー”。このおもちゃが重要な役割を果たします。ちなみにラジオ・フライヤーは、アメリカのラジオ・フライヤー社が製造した子供用の運搬ワゴンのことです。アメリカでは子供たちに与えるおもちゃの定番として人気があるようです。

物語は今や大人になったトム・ハンクス演じるマイクが、子供たちに自分の過去の経験を語るところから始まります。回想シーンで綴られるエピソードは結構つらいものが多く、見ようによってはかなり重い場面もありますが、主役の二人の愛らしさと健気さがあいまって、ぎりぎりのところで救われている感じです。二人とも演技がうまい。兄役のイライジャ・ウッドからはしっかりと芯の強さが伝わってきます。母親のキャラクターの描き方が少し物足りない感じで、家族の関係性の深みはあまり感じられませんが、それでも子供たちが強いられている緊張感や絶望感はしっかりと描写されています。近所の警察官や終盤に登場するガソリンスタンドの店員等、子供たちを取り巻く両親以外の大人たちもいい味出していてマル。で、終盤までは、トム・ハンクスの語り口もあって、かなり真っ当なドラマとして見ていられるのですが、残念なのはラスト。ここで、ラジオ・フライヤーが重要な役を果たし、二人のつらい日々はファンタジックに終わりを告げるわけですが、ここが賛否の分かれ目でしょうねー。それなりに帳尻合わせをしようとしているのはわかるのですが、やはりなし崩し的にリアリティは失われていきます。結局、「アメリカ人って本当にファンタジー&ハッピーエンドが好きなんだなあ」と。まあそのあたりが許せる人には結構心に響く作品だと思います。

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