No.225
タイトル
ペット・セメタリー
(原題)
PET SEMATARY
監督
メアリー・ランバート
キャスト
デイル・ミッドキフ、デニース・クロスビー、フレッド・グウィン他
制作
1989年/アメリカ
ジャンル ホラー
上映時間
103分
評価
★★★★
<ストーリー>
メイン州の小さな町ルドロー。その静けさを打ち破って爆走するトラック。道路脇の小道は眠るように暗いペット・セメタリー(墓地)へと続いている。そこは、トラックに轢かれたペットたちが永眠する場所。だが、その奥には、決して知られてはならない秘密が隠された悲しくも恐ろしい場所があった.....。

<コメント>
デヴィッド・コープが脚本・監督した最新作『シークレット・ウインドウ』(2004)も好評だったスティーヴン・キング原作の作品。キング自ら脚本まで手がけています。
スティーヴン・キングの原作では、初期の名作『キャリー』(1976)を始め、『クリスティーン』(1983)、『デッドゾーン(1983)』等、80年代に作られた作品に結構好きなものが多いです。
キングの作品で怖いのは、人間を強烈にひきつける”何か”があること。それは森であったり、暗闇であったり、怨念であったりします。私たちと同じ普通の人間が、ある状況下において、その”何か”に引き寄せられ、そして運命を狂わせてしまう。人間は、それが確実に邪悪なものであったとしても、 自分をひきつけてやまないものにはある種の”魅力”を感じてしまうのかもしれません。動物のように本能的に敵や危険から遠ざかるのではなく、恐怖や悪に対してもある種無意識的に自ら近づいていってしまうのだと考えるとホント怖い。

本作で人間の心を吸い寄せるのは、生き物を蘇らせる霊場。息子がかわいがっていた猫を交通事故で失ってしまった医師ルイスは、隣人が教えてくれた霊場を使って猫を蘇らせます。しかし、戻ってきた猫は姿形こそ似ているけれど、中身は別物。そしてさらに彼を襲う悲劇。愛するものを失う悲しみの前では理性も役に立ちません。
そもそも生きているとはどういう状態のことなのか。これは考えようによってはかなり深いテーマです。意外に考えさせられました。ラストはまあ予想の範囲内ですし、エンディング・テーマも内容にあっているとは言いがたい選曲ですが、触れてはいけないものに触れてしまったような後味が印象的な作品です。
”死”と言うものの概念、それに振り回される人間の姿が興味深い、と思った方は、キングの原作はもちろん、鷲田清一さんの『悲鳴をあげる身体』(PHP新書)なんかを併読されると面白いかも。”死”や”存在”についてあらためて考えさせられますよ。
ちなみに同じ監督による続編もありますが、こちらは単なるスプラッタ・ホラーなので、お好きな方だけどうぞ。

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