|
|
タイトル
|
ポーリーヌ |
(原題)
|
PAULINE & PAULETTE |
監督
|
リーフェン・デブローワー |
脚本
|
リーフェン・デブローワー他 |
キャスト
|
ドラ・ファン・デル・フルーン、アン・ペーテルセン他 |
制作
|
2001年/ベルギー、フランス |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
|
78分 |
評価
|
★★★★ |
|
【 ストーリー 】
知的障害を持つ66歳のポーリーヌ(ドラ・ファン・デル・フルーン)は、お花に水をやるのが大好き。そんなある日、彼女の身の回りの世話をしていた姉が急死。姉の遺言によって、妹のポーレット(アン・ペーテルセン)とセシール(ローズマリー・ベルグマンス)のいずれかが彼女の世話を引き受けなければならなくなるが ...。
【 コメント 】
知的障害を持つ66歳のポーリーヌを世話していた長女の急死をきっかけに、彼女を引き取ることになった姉妹の間で繰り広げられる人間模様をコミカルに描いたドラマ。
本作は主人公ポーリーヌが大切な姉を失うところから始まります。ポーリーヌは悲しみながらも、今までと何も変わりなく自分のペースで暮らしていきます。一方ポーレットは、自分のエゴから最終的にポーリーヌを失い、そこで初めて彼女の大切さに気づき愕然とします。ポーリーヌとポーレットの違いは何でしょうか。もちろん、障害の有無や性格的な違いもあると思います。でもそれだけはない気がします。そこから見えてくるのは、自分は普通であると思っている人間の驕り、と言えるかもしれません。人々がいかに世界と関わっているようで関わっていないのか、自分のことを知っているようで知らないのか、本作は、そのカラフルで美しい映像とは裏腹に、衝撃的なほどにこの事実を突きつけてきます。ポーレットはファッションを扱うお店を経営しながら、自らもオペラ歌手としても活躍しています。ベッドルームはピンクに彩られ、まさに夢の世界のよう。どこから見ても自由で派手で優雅な世界に生きているように見えます。しかし、それもまた見方を変えれば、まさにすべてが虚実。実は誰とも心通わせることなく、孤独な人生だったことが浮き彫りになります。
ポーリーヌはいわゆる”普通”のコミュニケーションは取れませんが、周囲の人々の言葉や行動に対しては非常に敏感です。彼女が他者の言動に影響を受ける場面を繰り返し見ていると、結局障害者に対する差別というのは、健常者側の問題なのだということにあらためて気づかされます。この監督の演出のしたたかさ。
個人や社会が避けては通れない”老い”や”介護”といった重いテーマを、素晴らしい映像でふんわりと包みこみ、毒を残しながらも観終わった後にある種の清清しさをもたらしてくれる傑作だと思います。
|
|
|
|
|
|
|
|
|