No.148
タイトル
パシフィック・ハイツ
(原題)
PACIFIC HEIGHTS
監督
ジョン・シュレシンジャー
キャスト
メラニー・グリフィス、マシュー・モディーン、マイケル・キートン他
制作
1990年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
102分
評価
★★★
<ストーリー>
結婚を目前に控えたパティ(メラニー・グリフィス)とドレイク(マシュー・モディーン)のカップルは、高級住宅地パシフィック・ハイツに家を購入。二人は家のローンの足しにと、使わない1階の2部屋を他人に貸すことに。最初にやってきたのは温厚な日本人夫婦だったが、もう一部屋にやってきたのはカーターと名乗る謎の男だった.....。

<コメント>
60〜70年代にかけて素晴らしい作品を世に送り出した巨匠、ジョン・シュレシンジャー監督の1990年の作品。主役は『フルメタル・ジャケット』(1987)、『メンフィス・ベル』(1990)のマシュー・モディーンと『ワーキング・ガール』(1988)でアカデミー賞ノミネートの経験もあるメラニー・グリフィス(というかゴールデン・ラズベリー賞でのノミネートや受賞の方が有名かもしれませんが)。彼らを恐怖のどん底に陥れる悪役には『バットマン』(1989)のマイケル・キートンというなかなか面白い配役。アメリカ社会にありがちな法の抜け道を利用した犯罪の怖さを描いた作品です。
とにかくマイケル・キートンがいつもながらのクセのある演技で、得体の知れない悪役ぶりを発揮。『絶対×絶命』(1998)でもかなり知的レベルの高い犯罪者を演じていた彼ですが、ある意味ハマリ役で、これからも何作かはこういう役が回ってくるでしょうね。マシュー・モディーンとメラニー・グリフィスの二人も人の良いお真面目カップルを演じるには適役で、モディーンの切れ具合もリアリティがあってちょうどいい。この夫婦のあまり賢くない振る舞いがいらいらしますが、そのおかげで良くも悪くも解決の糸口の見えないねばっこい恐怖と怒りの感情が湧き起こってきます。
しかし、そもそも映画1本を持たせるにはあまりにも脚本がストレートでひねりがない。もちろん、何の変哲も無い夫婦が突然こういった事件に巻き込まれる、という意味ではこれだけでも十分怖い設定ではあるけれど、それだけではちょっと物足りない。例えばキートンが何かの拍子で主人公の妻に惚れていて、ストーカー行為の延長として部屋を借りたとか、キートンがとんでもない社会逸脱者で、それでいて知能指数が驚くほど高いとか(どっちも陳腐かなー)。あるいは、法廷ものの側面を持たせて硬派なドラマにするのもありだったかも。
90年代以降、高齢ながら他にもいろいろとホラーやコメディにもチャレンジしたシュレシンジャー監督。負の感情をかき立てることには成功していますが、残念ながらサスペンス・ドラマとしては平均点か少し下回るくらいです。アメリカ人にとって、自らが持っている権利を侵害されることは非常に屈辱的なことである、したがって家を手放すことよりも相手を追い出すことに執着せざるを得ない、と捉え、夫婦のおバカ加減を気にせず見られるのなら、それなりに楽しめると思います。それでもラストはあまりにもあっけない感じですが。
序盤にでてくる温和な日本人夫婦はほのぼのとしていて、途中、雨の中で太極拳(らしき運動)をする等、少し滑稽な部分はあるものの、使っている日本語も含めてかなり真っ当に描かれています。こういうのは見ていて楽しいです。

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