No.101
タイトル
アウトランド
(原題)
OUTLAND
監督
ピーター・ハイアムズ
キャスト
ショーン・コネリー、ピーター・ボイル、フランシス・スターンハーゲン他
制作
1981年/アメリカ
ジャンル SF
上映時間
109分
評価
★★★
<ストーリー>
木星の第3惑星イオ。その採掘場に新たに赴任してきたのは、融通の利かない頑固さゆえに宇宙の星々を転々とさせられてきた保安官オニール(ショーン・コネリー)。着任後、彼が見たのは鉱山夫たちが次々と発狂して死に向かう姿だった。彼は早速原因を解明すべく調査を開始するが、鉱山夫や住民の協力を得られず.....。

<コメント>
人類初の有人探査船による火星着陸に一石を投じた衝撃作『カプリコン・1』(1977)で注目を浴びたピーター・ハイアムズ監督の作品(そう言えば最近”アポロは月に行かなかった”という暴露本・検証本みたいなものがたくさん出てますねー)。本作では舞台を地球から宇宙に移し、相変わらず緊張感溢れる展開を見せてくれます。

まず冒頭の採掘場や宇宙ステーションの描写が良いです。丁寧に作りこまれているので、この作品に最も必要な”閉塞感”がしっかりと伝わってきます。
主人公を演じるショーン・コネリーもグッド。キャラクター的にはめちゃくちゃカッコいいわけではないですが、頑固で正直で正義感に溢れ、家族を大切するその姿はリアルで好感が持てます。くたびれ具合も人間くさくてちょうどいい。彼のこの”キャップに制服姿”って結構印象に残っています。その後の『薔薇の名前』(1986)や『アンタッチャブル』(1987)にはさすがに一歩譲りますが。その他キャスティングもなかなか唸らせるものがあります。採掘場を仕切る悪役にピーター・ボイル、彼の味方になる女医ラザラスにフランシス・スターンハーゲン(いい味出してます)を配するあたり渋い配役。この女医が”若くて美しくない”っていうところが(F・スターンハーゲンのファンの方ごめんなさい!)、ハイアムズ監督の硬派な心意気を感じさせますね。

作品はウェスタンの名作『真昼の決闘』をモチーフにした展開で進んでいくのですが、この演出には少し疑問が残りました。発想自体は面白いと思いますが、悪役が出てくるまでのカウントダウンの描写が少し冗長になってしまっていますし、その間に主人公が孤立してしまう場面も盛り上がり感に欠けます。また、そういうプロセスを経ている割には悪役との決闘も案外あっさり決着が付いてしまう気がします。送り込まれてきた悪役のキャラクターの迫力不足もあるかもしれませんね。悪役がやってくるまでの間(に限りませんが)に、もっとステーション内の人間関係をしっかり描けていれば良かったのではないかと思います。また、主人公の無骨なキャラクターをさらに浮き上がらせるためにも、彼の過去についての説明ももっと欲しかったところです。今まではその実直さゆえに煮え湯を飲まされてきたが、今回はそれが奏効し、さらにそれによって妻や子供からも見直され、家族は無事元のさやに収まる、みたいな。
映像的には「今まで見たことも無い」というほどの驚きはありませんし、「これどっかで見たな」と思わせられる場面も少なからずありますが、重鎮ジェリー・ゴールドスミスが手がける音楽のおかげもあって、SF作品としての雰囲気は十分に出ていると思います。ちなみにこの作品は1981年のアカデミー賞音響賞にノミネートされました。

結論としては宇宙を舞台にシンプルなストーリー展開でヒーローが活躍する勧善懲悪モノとしてはそれなりに楽しめる作品だと思います。冒頭の閉塞感や緊張感が最後まで持続し、現代社会の問題点を抉り出す、さらに突っ込んだ視点があれば最高でした。ショーン・コネリーのキャラクターと演技で何とか最後まで見せますが、ちょっと残念。

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