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No.76 |
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タイトル
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メンフィス・ベル |
(原題)
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MEMPHIS BELLE |
監督
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マイケル・ケイトン=ジョーンズ |
キャスト
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マシュー・モディーン、エリック・ストルツ、ジョン・リスゴー他 |
制作
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1991年/アメリカ |
ジャンル |
戦争ドラマ |
上映時間
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107分 |
評価
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★★★ |
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<ストーリー>
1943年、夏。第2次世界大戦の最中、連合軍の総反撃の一環として、イギリスの基地からドイツに向け爆撃機”B-17”の編隊が飛び立っていった。その中でも24回にわたる爆撃を成功させてきた10人の若者を乗せた”メンフィス・ベル”号はこれが最後の任務。若きクルー達は任務を無事に終え、懐かしの故郷に戻ることを夢見ていた。しかし、任務はナチス・ドイツの軍事基地を白昼爆撃するという過酷なもの。果たして彼らは無事生還することが出来るのか......。
<コメント>
1997年リチャード・ギアとブルース・ウィリスを配した『ジャッカル』で、名作の大胆なリメイクを行い話題を呼んだマイケル・ケイトン=ジョーンズ監督の作品。『小さな恋のメロディ』(1971)、『炎のランナー』(1981)等を手掛けたデヴィッド・パットナムが製作を担当。戦時下に過酷な任務をこなしながら、お互いの間に友情や信頼を見出し、青春を駆け抜けた10人の若者達を描いた物語です。
一応舞台は第2次世界大戦下で、撮影には実機が使われた等のエピソードがあり、ジャンルとしては”戦争映画”と言えると思いますが、派手なアクションシーンは少なく登場人物の若者達の心理描写に重点が置かれているため、どちらかと言うと”青春映画”といった趣です。アクションシーンが少ない分、例えば出撃時の搭乗シーン等は天候悪化のため急に延期になった際のやりきれない間延びした時間を描写したり、飛び立つ直前の計器類のチェック等のオペレーションを細かく描いているため、意外と臨場感はあります。このあたり特に凝った演出はありませんが、なかなかうまく見せていると思います。また10人の若者のキャスティングやそれぞれの演技も悪くないです。結果的にどぎつい描写を行わずシチュエーションをうまく生かして緊張感を保ちながら、後味の良い作品に仕上がっていると思います。
ただ、多少キャラクターが意図的に取り揃えられているような所は感じられました。とにかく死を恐れ、不安を煽り続ける人間の弱い部分を露呈する担当(と言うとちょっと変ですが)の者もいれば、とかく戦時中にありがちな名声を気にしヒーローになりたがる者、およそ兵士としてはふさわしくないナイーヴな感性を持った者、またそういった人間をきっちり纏め上げるリーダー格の者、等々。また、若者達の心理を描写しているからと言って、反戦映画として見るにはメッセージ性が弱いです。一応彼らは極限状態でも無差別爆撃を否定する行動をとりますが、全ての爆撃で、または戦争でアメリカの兵士がこの様な行動を取ったとは到底思えません。もちろんそれはアメリカ兵に限ったことではないし、若きクルー達の人道的で勇敢な行動をことさら持ち上げているわけでもないと思いますが、もっと迷いや狂気が見えても良かったのではないでしょうか。最後はそれなりに感動はあるものの、戦火を潜り抜けながら敵国への爆撃を続けた”B-17”の戦闘記録を綴った作品と言った感じも否めません。
派手なアクションや逆に反戦メッセージを期待する方には物足りないでしょうが、青春ドラマとして見ればなかなか見ごたえのある作品ではないかと思います。作中、エリック・ストルツ演じる通信兵ダニー(エリック・ストルツがやけに若々しく感じられる?)が読み上げるW.Bイエーツの詩は、アイルランドの飛行士が何のために戦うのか戸惑いながら今日の生と死に想いを馳せる切ない詩ですが、これがこの作品に深みを与えていると思います。 |
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