No.56
タイトル
蝿の王
(原題)
LORD OF THE FLIES
監督
ハリー・フック
キャスト
バルサザール・ゲティ、クリス・フュール、ダニュエル・ピポリー他 
制作
1990年/イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間
90分
評価
★★★★
<ストーリー>
アメリカの陸軍幼年学校の生徒達を乗せた飛行機が墜落、からくも一命をとりとめた少年達24名は無人島にたどり着く。食べ物もろくに無い島で少年達は必死に生きようとするが、考え方の違いからやがて2つのグループが形成される。世間から隔離された秩序も規則も無い環境の中で、自分達の内なる本能に目覚めた子供達の対立は徐々に深まっていく.......。


<コメント>
英国のノーベル文学賞作家であるウィリアム・ゴールディングの同名小説を映画化した作品。監督は『アフリカ物語』等で知られる同じ英国出身のハリー・フック。
無人島に漂着した子供たちの姿を通して、”対立”や”略奪”等に象徴される人間の持つ”悪”の部分を鋭く描き出した作品です。

作品の設定からフランスの作家ジュール・ベルヌの小説『十五少年漂流記』を思い浮かべた方や、内容からは新しいところで『バトル・ロワイヤル』等を思い浮かべた方もいらっしゃるかも知れませんが、私は漫画家楳図かずお氏の名作『漂流教室』を思い出しました(ちなみにこの作品は映画化もされていますがこれは全然違うモノになっていましたね)。

私は物事には全て二面性があると思っていて、単純に言うと人間にも”美しい部分”と”醜い部分”とが共存しており、特に社会化されていない(という言い方が適当かどうかはわかりませんが)存在である”子供”は、時として本能とも言うべき凶暴性を発揮するものであると思っています。そういう意味で後者の属性を正面から描いた本作品には共感を覚えました。過去の歴史の中で人間が繰り返してきた過ちや間違い等、愚かな側面が凝縮されていると思います。
ただ、その一方で私は子供というものは大人以上に繊細で客観的な視点も持ち合わせていると思っているので、ちょっと楽観的ではありますが、実はここまでの対立や結末には至らないのではないかという気もして、完全には感情移入できませんでした(子供たちだからこうなったのではないのではないか、ということです.....ちょっとややこしいですが)。
また子供達が徐々に野生に目覚め、ある種狂気を帯びていく辺りはうまく描かれていると思いますが、『蝿の王』を意味する豚の頭や、子供達が前身に施す迷彩模様等、映像的に凝った部分はあるものの、演出としては全体的に思ったより単純な感じがしました。

しかしながら、ラストを含めていろんなことを考えさせられる後味の映画であることは間違いありません。原作をぜひ読んでみたいと思いました。

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