No.105
タイトル
聖なる酔っぱらいの伝説
(原題)
LA LEGGENDA DEL SANTO BEVITORE
監督
エルマンノ・オルミ
キャスト
ルトガー・ハウアー、アンソニー・クエイル、サンドリーヌ・デュマ他
制作
1988年/イタリア、フランス
ジャンル ドラマ
上映時間
120分
評価
★★★★
<ストーリー>
パリに暮らすルンペン、アンドレアス(ルトガー・ハウアー)は、ある日不思議な紳士から200フランを渡される。そんな大金は返せないと辞退すると、紳士は「返せる時が来たら聖テレーズ像のある教会に返してくれ」と言い残して去っていく。この時からアンドレアスには次々と幸運が舞い込んでくる。そして200フランを返せるだけのお金を手にするのだが.....。

<コメント>
ドイツの文学作家ヨーゼフ・ロートの同名小説を映画化した作品。脚本・監督まで手がけたのは、寡作ながら国際的評価の高い作品を創出しているエルマンノ・オルミ監督。人生に敗れた酔っ払いが経験する奇跡とその顛末を描いています。

主人公は『ブレードランナー』(1982)のレプリカント役や『ヒッチャー』(1985)での冷酷な悪役等、存在感があり印象に残る演技を披露するルトガー・ハウアー。ここでは奇跡を経験する愛すべき酔っぱらいを演じています。
ひょとしたら『ブレードランナー』でのイメージが強い人の中には、彼がホームレスを演じることに違和感を感じる人もいるかもしれませんが、大丈夫です、冒頭の部分だけでも納得いただけると思いますよ。人生に疲れたうらぶれた感じやちょっとした幸せに歓喜する様等、演技の幅の広さを感じさせます。終盤、お金を返すべき相手と会話をするところは、人間の(というか酔っぱらいの)良心の呵責、自己憐憫、カタルシス等が混ざり合っている表情を的確に表現していていると思います。
また途中知り合う女性ダンサーのギャビー役のサンドリーヌ・デゥマがかわいい!やっぱり奇跡なんだからロマンスの相手もこのぐらい美人じゃないとね。その分「祭りの後」の切なさも倍増するっていうもんです。そういう意味では全体的にキャスティングは成功していると思います。

オルミ監督の過去の作品と同様、ストーリー自体はシンプルなんですが、その分、お酒を飲まない人にとっては「自業自得だろっ!」と思われる場面もあるかと思います。しかし、これはただ単にお酒と人間の関係を描いた物語ではなく、人間を虜にして堕落させるものと、それに抗いながらも離れられない人間の弱さを描いたものなのです。そしてそれは、誰もが持っている弱さです。その対象は人それぞれ違うでしょう。この作品の主人公にとってはお酒ですが、ある人にとっては、ギャンブルかもしれないし、恋愛かもしれない。それらはむしろ人間らしさの根源とも言える要素かもしれません。私たちは結局一人で生きていけるほどの強さを持っていないのです。だから何かに依存せざるをえない。それが例え身を滅ぼし心を蝕むものであったとしても。
ヨーゼフ・ロートの原作は、こういった弱さを受け入れた酔っ払いが持つ、どうしようもない可笑しさと哀しさを高らかに歌い上げたファンタジーで、まさにお酒好きの人間にとってバイブルとも言える作品だと思います。それに比べると映画の方はもう少しヒューマン・ドラマっぽい作りですが、ルトガー・ハウアー演じる主人公からは「それでも尊厳を失わぬようもがく人間像」がしっかり伝わってきて、これはこれで捨てがたい味になっていると思います。まあ、いずれにしても物語が終わった後にお酒が飲みたくなることは間違いありません。
なおこの作品は1988年ヴェネチア国際映画祭・金獅子賞を受賞しました。

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