No.385
タイトル
大いなる休暇
(原題)
La Grande Seduction
監督
ジャン=フランソワ・プリオ
脚本
ケン・スコット
キャスト
レイモン・ブシャール、デヴィッド・ブータン他
制作
2003年/カナダ
ジャンル ドラマ
上映時間
110分
評価
★★★

【 ストーリー 】
人口わずか125人のサントマリ島。漁業で栄えたのも昔のことで、いまや島民のほとんどが失業保険のお世話になっている。そこで降って湧いたプラスチック工場誘致の話。必須条件は島に医者がいることだが、ここは長らく無医島のまま。そこで、島民たちは、本土からやってきたドクター・ルイスを定住させるためある計画を実行するが.....。

【 コメント 】
125名しかいない島民全員が生活保護に頼る貧しくて小さな島。そこに沸き起こったプラスチック工場誘致の話、足りない医者...。瀬戸際の島に暮らす島民たちと都会から来た医者との物語。

基本的には”ハートフル・コメディ”の類なのですが、ベースになっているのは実は島の過疎化、高齢化という重いテーマ。しかも、島民全員が医者の電話を盗聴したり、わざとカネを拾わせたり、観る人によっては結構不快感を覚える内容が盛りだくさん。
しかしながら、個人的には、それだけのネガティブな要素を織り交ぜながら、明るくまとまっている点がよいと思います。転職しながらも島のことを思う町長、ATMと揶揄されながらも男気を見せる銀行マン、拷問のようにジャズを聴かされる水虫の男など、愛すべきキャラクターが多いのも見ていて暗くならない理由でしょう。冒頭から映し出される、スライドショーのような美しい島の風景の映像も素敵です。
ラストで多少社会性のあるやりとりが発生しますが、これも重くなりすぎていません。その分深みが足りないような気がしますが、本作では単純に笑ってホッとするのが正解でしょう。
むしろ、島という閉鎖された空間で島民全体がグルになっているという、サスペンスなどでありがちな設定の割りに軽さを残し続けた演出に監督の手腕を感じました。ラストシーンの後も幸せな未来が予想されますが、労働によって幸せを得た、というあたりが多少微妙な気も。いや、だからあまりそういうことを考えずに楽しむための映画だと思います。
真実はいつも正しいとは限らないし、美しいとも限らない。人間にとって、自分に都合の良い嘘で固められた世界に生きるのと、厳しくとも本当の現実の世界の中で生きるのとでは、どちらが幸せなのでしょうか。そう考えると『マトリックス』なんかを思い出してしまいました。結局、人間というものは真実を知りたがる生き物なのかもしれません

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