No.288
タイトル
ジョンQ−最後の決断−
(原題)
JOHN Q
監督
ニック・カサヴェテス
脚本
ジェームズ・カーンズ
キャスト
デンゼル・ワシントン、ジェームズ・ウッズ、ロバート・デュバル他
制作
2002年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
116分
評価
★★★
<ストーリー>
ある日突然、最愛の息子が心臓病を患い、昏睡状態に陥ったジョン(デンゼル・ワシントン)。適用されるはずの保険が利かず、心臓移植が受けられない。仕事はリストラされ、国の補助もない。追い詰められた彼は医師、看護婦、患者らを人質にとって病院に立てこもる。要求はただひとつ、息子の命を救うこと.....。

<コメント>
俳優からキャリアをスタートさせ、近年はヒューマニズムあふれる作品を撮り続けるニック・カサヴェテス監督がアカデミー俳優、デンゼル・ワシントンを主役に配して撮った作品。
お金が無いために子供の病気を直せない父親が人質をとって病院に立てこもり、治療を要求すると言うストーリー。ニック・カサヴェテスらしい題材ですが、この脚本で主演がデンゼル・ワシントンとくれば、ここでどんなにネタばれを抑えても無理というもの。ニック・カサヴェテス監督は処女作の『ミルドレッド』(1996)こそ、インディーズ映画の父と呼ばれた父親ジョン・カサヴェテスの血を受け継いだ作品でしたが、それ以降はちょっと予定調和的なヒューマン・ドラマばかり。それでも、優しさと愛にあふれた作品は、実力派のジーナ・ローランズやショーン・ペン等、キャスティングの上手さもあってさわやかな感動を届けてくれます。本作も然り。

序盤の経済的に苦しいジョンQの生活の描写も、貧しいながらも幸せ一杯、とまではいきませんが、それでもほのぼのと描かれています。病院に立てこもってからも、緊張感はあるものの、どうしてもほんわかとした雰囲気。伏線として警察側のいざこざエピソードが盛り込まれますが、ロバート・デュバル&レイ・リオッタの曲者俳優たちもあまり活かされていない印象。ただ、ジョンQが、立てこもった病院内に子供を呼び寄せ、話しかける場面はやはり涙なくしては観られません。当然といえば当然のシチュエーションなんですが。このあたりデンゼル・ワシントンのチカラ爆発。
そもそも社会の下層に生きる人々の常日頃からの不満が子供の病気というきっかけを得て沸点に達するのではなく、それなりに生きてきた人々が裕福層の傲慢と不正によって怒りを爆発させるというあたりが”優しい”です。ということで、社会派という視点ではなく、単純に人間ドラマとして観るほうが良いですね。でもジョン・カサヴェテス亡き今、父の影響がどうのこうの言われようと、やっぱり『ミルドレッド』みたいなのもう一度撮って欲しい。

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