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No.102 |
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タイトル
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エリザとエリック |
(原題)
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JEUX D'ARTIFICES |
監督
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ヴィルジニ・テヴネ |
キャスト
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ミリアム・ダヴィッド、ガエル・スガン、ルドビク・アンリ他 |
制作
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1987年/フランス |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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99分 |
評価
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★★★ |
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<ストーリー>
母を亡くし、父にもほとんど捨てられた状態の姉弟エリザ(ミリアム・ダヴィッド)とエリック(ガエル・スガン)。孤独のうちに暮らす二人だったが、やがて家賃の未払いから家具をほとんど差し押さえられ、家を追い出される羽目になってしまう.....。
<コメント>
”普通”の生活を夢見る女の子を描いた『サム・サフィ』(1992)がブレイクしたヴィルジニ・テヴネ監督の作品。ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』をモチーフにしており、コクトーへのオマージュとも言える作品です。
主人公は、母を亡くし、父にもほとんど捨てられた状態の中、2人片寄せあって生きる姉エリザと弟エリック。と言っても決して暗く沈んでいるわけではなく、気のおけない友人たちと一緒にその日その日を自分たちの感性の趣くままに生きる自由な日々が描写されています。二人の関係を重くせずにさらっと描いているところは好感が持てます。それにしてもこの姉弟を演じる二人は、本当の兄弟ではないかと思うぐらい、見た目も雰囲気も似ていますね。
空っぽの大きな額縁の中に様々な格好をした人物を配して写真を撮る「額縁フォト」のアイデアはポップで良いです。これは楽しい。きっと真似したくなる人も多いはず。このあたりの色使いや映像が次作『サム・サフィ』で爆発するわけですね。そういう意味ではもっとちゃんと写真を作品として見せて欲しいと思いました。この写真を撮ることによる快楽と限界は、何か意味のある存在になろうとしながらも、真正面からは向き合わずに楽しんでいる二人の心理描写にもつながるようで興味深いです。
しかし、この作品の見所はやっぱり姉エリザを演じるミリアム・ダヴィッドの魅力でしょうか。ショートヘアできりっとした眉毛が中性的なんですが、それでいてちゃんと色気があるんです。またざっくりしたセーターの着こなしや幼い歌声も”キュート”の一言。彼女の魅力がこの作品のインパクトにも影響を与えているのは間違いないと思います。彼女はこれ以外に出演作が見当たらないのが本当に残念です。ちなみに彼女はこの作品でトリノ国際ヤングシネマ・フェスティバル主演女優賞を受賞しました。
奔放にやりたい事をやって暮らしているように見える二人ですが、家賃の未払いのために差し押さえられて何も無くなった部屋と同様、彼らの心は空虚そのもの。お互いの孤独をお互いに補い合ううちに近親相姦を思わせる絆を深めていきます。しかし二人の間に、あるアメリカ人が入り込んできたことから関係が崩れていく。ストーリー展開としては『恐るべき子供たち』なんですが、設定が現代に置き換えられているのと、ポップな味付け(この監督の得意とするところですが)がされている分、原作に比べると退廃的で幻想的な雰囲気には欠けるかも。このあたりのテイストは好みが分かれそうですね。
個人的にはミリアム・ダビッドの魅力のおかげで、主役の女優が今ひとつ魅力に欠けた前作『ガーターベルトの夜』(1984)よりは好きですが、毒が少し下品に感じられる分、『サム・サフィ』には一歩譲るというところでしょうか。孤独と喪失が押し寄せるラストは悪くないですが、それまでの退廃がもっと強く描かれていれば一層余韻の残るものになった気がします。ファッションや映像等、視覚的には十分楽しめる作品ではあると思います。
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