No.153
タイトル
ジャッカルの日
(原題)
THE DAY OF THE JACKAL
監督
フレッド・ジンネマン
キャスト
エドワード・フォックス、ミシェル・ロンズデール、アラン・バデル他
制作
1973年/イギリス、フランス
ジャンル サスペンス
上映時間
142分
評価
★★★★★
<ストーリー>
1962年8月26日、エリゼ宮殿からパリ近くの空港へ向かうドゴール大統領を乗せた車が襲撃されたが奇跡的にけが人は出なかった。犯行を行ったのはドゴールの外交政策に反対する秘密組織OAS。二度と失敗できない窮地に追い込まれた組織は、当局に顔の知られていないプロの殺し屋を雇うことを決断する.....。

<コメント>
巨匠フレッドジンネマン監督の本作によって一躍世界的俳優に躍り出たエドワード・フォックス。その後『ナバロンの嵐』(1978)や『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)等で渋い存在感を示しながらも、エドワード・フォックスと言えば”ジャッカル”という人も多いでしょう。本作は当時まださほど有名ではなかった彼を主役に抜擢し、フレデリック・フォーサイスの原作の持つ魅力を映像化することに成功したまさに超一級のサスペンスです。

最近のこの手の映画は、とにかくどぎつい暴力・殺人の描写が横行し、いかにひねりを効かせ、どんでん返しのあるストーリー展開を用意できるかに執心しすぎているように思います。観客を驚かせるために力を割くことは大変重要なことではありますが、真の恐怖感や緊迫感というものは、そういう直接的な手法ではなく、伏線の練り上げ方によって大きく左右されるのではないかと思います。そういう意味では本作『ジャッカルの日』はまさにそのお手本的存在。ドゴール暗殺が未遂に終わったのは周知の事実であり、少なくとも歴史を塗り替えるような真実(そうでなければ推測または虚偽)がプラスされなければ、基本的な筋書きは変わりません。しかし、主人公ジャッカルの我々の想像を絶する、ある種ストイックで機械的な周到さ、粘着性を見せ付けられる時、暗殺が未遂に終わったという”事実”を私達の脳内物質が覆い隠し、「さあどうなる?」とこぶしを握り締めるほど、映像に引き込まれてしまいます。
さほど有名でない役者を主役に据えるという方法も、こういう形ではいいんでしょうね。ジャッカルの人間的背景を語らないところもジャッカル=暗殺者=得体の知れない不気味な存在、という図式を生んで正解。
音楽に関しても、アカデミー賞の常連ジョルジュ・ドルリューを監修に迎えながら最小限の使いか確かしていないところもすごい。

<以下、ネタばれ注意!>
本作に関して”ネタばれ注意!”というのもおかしな感じがしますが、本当にグッと来るのはジャッカルの人間性が垣間見える部分。特に終盤の暗殺シーンで、あれだけ機械的に仕事を遂行してきたジャッカルが、必死で応戦しようとする様は印象的。それまでに人間らしさをほとんど排除した生き方をしながら、やはり末路ではもがくあたり、暗殺者として生きる人間の断末魔を聞くようです。それがゆえにラストでルベル刑事が埋葬を見つめるシーンではじんわりと哀しさが染み込んできます。ジンネマン監督にしてはわかりやすいと言えるし、狙撃の現場を刑事に発見されるくだり等あっさりしている感じは否めませんが、緊張感をたっぷり味わえる傑作だと思います。

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