No.229
タイトル
祝祭
(原題)
祝祭
監督
イム・グォンテク
キャスト
アン・ソンギ、オ・ジョンヘ、ハン・ウンジン、チョン・キョンスン他
制作
1996年/韓国
ジャンル ドラマ
上映時間
102分
評価
★★★
<ストーリー>
高名な作家であるジュンソブ(アン・ソンギ)の母が亡くなり、葬儀にはさまざまな人々がつめかける。痴呆症の世話で共に苦労をした親戚一同、村の人々、またソウルからやってきた編集者や有名な評論家たち。さらにジュンソブの姪で13年前に家の金を持ち逃げしたヨンスンまで現れて、葬儀はお祭り騒ぎのようにエスカレートしていく.....。

<コメント>
『酔画仙』(2002) で同年のカンヌ国際映画祭・監督賞を受賞し、名実ともに韓国を代表する映画人となったイム・グォンテク監督作品。高名な小説家の母親の葬式に集まってきた人々が繰り広げる、さまざまな人間模様を描いています。
人間の死を弔う儀式をユーモアを添えて描いたと言えば、伊丹十三監督の『お葬式』(1984)を思い出しますが、実際設定も似ているので影響を受けていることは間違いないでしょう。『お葬式』はお葬式という儀式をちょっと斜めの角度からコメディとして見るような視点がありましたが、本作は、弔問客が大酒を飲んだり、賭けをしたりする場面はあるものの、もう少しストレートな視点を感じさせます。
痴呆症の母親を避けるかのような人生を送っていた主人公の内面に関してはもっと掘り下げてもよかった気もしますが、テーマが葬式だけにあまり重くなりすぎるのを避けたのかもしれません。式の手順等が細かく描かれる部分は、日本人から見ると興味深いところもありますが(現在の韓国人から見ても同じ?)、やはり『お葬式』を観た後では新鮮味にかけます。登場人物も結構多いので、人間関係が多少わかりづらいところも否めません。
それでも、人間の生と死の繋がりや循環が伝わってくるのは、本筋と平行して語られる子供とおばあちゃんの物語があるからでしょう。主人公の小説家の子供の視点を通してファンタジックに語られるおばあちゃんとの交流。子供は嫌でも大人にならないといけないし、そのためにおばあちゃんが歳と知恵を分けてくれる。この”分ける”というところがいいですね。大人から子供へ、人から人へ受け継がれていくものがあり、そうやって生命が続いていく。こういう儒教的な考え方ってやはり私たちにも馴染みやすいですね。

私は、まだ小さかった頃に田舎のおじいちゃんのお葬式に行ったことがあります。本当に田舎だったこともあり、そこでは土葬が普通でした。しっかりと生き抜いた人を大きな樽に入れて土に還す。そして、みんなでお酒を飲んだりご飯を食べたりしながら慈しむ。何と言うか、とても正しかったなあと。そんなことを思い出しました。

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