No.111
タイトル
眠れぬ夜のために
(原題)
INTO THE NIGHT
監督
ジョン・ランディス
キャスト
ジェフ・ゴールドブラム、ミシェル・ファイファー、ダン・エークロイド他
制作
1984年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
115分
評価
★★★
<ストーリー>
不眠症に悩む主人公エド(ジェフ・ゴールドブラム)。眠れないせいで会社の仕事もうまく行かず、妻との関係も冷え切っている。そんなある夜、ふとした行きがかりから美女ダイアナ(ミシェル・ファイファー)を助けることになるが、その女が国際密輸組織と関係があったことから、思いもよらず大きなトラブルに巻き込まれるはめになる.....。

<コメント>
1977年の『ケンタッキー・フライド・ムービー』に始まり、80年代前半まで傑作・名(迷)作を連発しながら、それ以降ぱっとしない感のあるジョン・ランディス監督。『眠れぬ夜のために』は彼がまだまだ脂の乗っていた時代の作品です。『ザ・フライ』(1986)でブレイクする前のジェフ・ゴールドブラムを初の主演に配し、お得意のテンポが良くてひねりの効いた演出が楽しめます。

冒頭、妻との絡みから会社の同僚であるダン・エークロイドとの会話の部分までが面白い。アメリカの中流階級の男が身を置く環境、悩み等が凝縮されている感じ。主人公の男は”不眠症”と言いながらも実は眠気はちゃんと襲ってきます。しかしそこで眠ることを邪魔して許さないのは、妻や会社等、彼を取り巻く環境やシステム、というあたり風刺が効いています。
スタイルも良くてハンサムで、コアなファンの多いジェフ・ゴールドブラムですが、少しかげりのある表情は眠れない主人公にぴったり。事件に巻き込まれる平凡なサラリーマンの役ながら、悪の大物との絡みで凄みを見せる演技は、知的な面もある彼ならでは。物語を引っ張る相手役のミシェル・ファイファーもいい味出してます。キャスティングもさることながら、この作品の見所として挙げられるのがやはり監督自身を初めとする大物映画監督のカメオ出演。ポール・マザースキー、デヴィッド・クローネンバーグ、ジョナサン・デミ、ローレンス・カスダン、ドン・シーゲル、ロジェ・ヴァディム等すごい顔ぶれの人たちが、とんでもない役で出ています。正直私も全部はわかりませんが、ポール・マザースキー監督の好色プロデューサー役はお見事だと思います。またジョン・ランディス監督の中東系殺し屋もハマっています。こういうの好きなんだろうなーと思わせる演技。監督陣のみならず、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイやギリシャの大女優イレーネ・パパス等の出演も見所のひとつ。デヴィッド・ボウイは怪しい英国人を演じています。そういえば、デヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』(1992)で彼が演じた役どころも相当怪しかったですね。イレーネ・パパスは最近『コレリ大尉のマンドリン』(2001)でも見かけました。

作品的にはそういったマニアックなポイントを除いてしまうと、平凡な感じは否めないのが本音のところ。次から次へと起こる騒動になし崩し的に巻き込まれるストーリー展開では、帳尻あわせのところでご都合主義になりがちですが、それはこの作品でも同じ。それはしょうがないとしても、少なくともラストにはもう一ひねり欲しかったですね。単純に楽しめばよいのかもしれませんが。全体のトーンももっと空虚で澱んでいても良かったかも。眠れぬ男の夢とも現実ともつかない一夜の物語、みたいな。まあそういうテイストはジョン・ランディス監督の役回りではないかもしれませんが。
いずれにしても低迷の時期が続き、満を持して送り出した『ブルース・ブラザーズ2000』(1998)も空振りに終わってしまった同監督には、なんとかもう一花咲かせてもらいたいものです。彼が脚本も手がけた『ブルース・ブラザーズ』(1980)は今でも個人的に宝物のような作品ですから。

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