No.304
タイトル
ハーモニーベイの夜明け
(原題)
INSTINCT
監督
ジョン・タートルトーブ
脚本
ジェラルド・ディペゴ
キャスト
アンソニー・ホプキンス、キューバ・グッディング・Jr他
制作
1999年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
124分
評価
★★
<ストーリー>
全米最悪といわれる重罪犯刑務所「ハーモニーベイ」に、精神異常とされる殺人容疑者イーサン・パウエル(アンソニー・ホプキンス)はいた。高名な人類学者であった彼は、東アフリカのルワンダの密林で二人の人間を惨殺したのだ。若き野心家の精神科医テオ(C.グッディング.Jr.)は自分の出世のためにこの男の精神鑑定を志願するが.....。

<コメント>
『フェノミナン』(1996)、『クール・ランニング』(1993)のジョン・タートルトーブ監督作品。アフリカのジャングルで2年間ゴリラと共に暮らし、現在は殺人の罪に問われている人類学者イーサン・パウエルの心の深層に迫る物語。ダニエル・クインの『イシュマエル』という小説が原案となっています。精神異常とされる孤高の学者パウエルをアンソニー・ホプキンスが、彼に興味を持ち真相に迫ろうとする若き精神科医をキューバ・グッディング・Jrが演じています。

”殺人罪に問われながら一切口を開かない謎の人類学者”となればこの人しかいない、というキャスティングですね。そのアンソニー・ホプキンスはさすがの演技で、『羊たちの沈黙』(1990)のレクター博士とはまた違う狂気をはらみ、『日の名残り』(1993)の執事役に負けるとも劣らない存在感を見せ付けてくれます。途中かなり派手に暴れるシーンがありますが、そういう暴力的な狂気を持った人物を演じることに対して、ご本人は「またかー」と思っていないか心配になります。ハマリ役です。
そのホプキンスに比べて、残念なのはキューバ・グッディング・Jr。若さゆえの青くささと考えればいいのかもしれませんが、どうしても幼稚な演技に見えてしまいました。パウエルとの対話を通して成長していく様も盛り上がりに欠けます。これは演出のせいもあるかも知れません。『クール・ランニング』のようなコメディや、もう少しファンタジックな要素があれば違ったのかもしれませんが、こういう重厚なテーマのもとではわかりやすい演出が深みを薄めてしまっているかも。
人類を「奪う者」と位置づける考え方は非常に賛成できますし、考えさせられます。しかしパウエルがたどり着いた、たどり着いてしまった人類の傲慢や矛盾。若き精神科医は本当の意味で彼と同じレベルで、人間の業の深淵にたどり着けたのでしょうか。ちょっと疑問。ただ、ゴリラが出てくるすべての場面や刑務所の中の人間関係等、映画としての見所はあると思います。

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