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タイトル
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ホテル・スプレンディッド |
(原題)
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HOTEL SPLENDIDE |
監督
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テレンス・グロス |
脚本
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テレンス・グロス |
キャスト
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スティーヴン・トンプキンソン、トニ・コレット他 |
制作
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2000年/イギリス |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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98分 |
評価
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★★★ |
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【 ストーリー 】
孤島にひっそりと建つホテル・スプレンディッド。ここは知る人ぞ知る、完璧な健康と美容、長寿を求める人たちが集う場所。今は亡き先代経営者ブランチェ夫人が編み出した厳格な規則を、滞在者とスタッフが守ることで”この世界”の調和が保たれていた。そこに、かつて副シェフを務めていたキャス(トニ・コレット)が戻ってくるが.....。
【 コメント 】
テリー・ギリアム(『未来世紀ブラジル』)やジャン・ジュネ(『デリカテッセン』)を思わせるこだわりの映像と、少し毒の効いたストーリーが印象的な作品。監督はテレンス・グロス。出演している俳優陣は『シックス・センス』のトニ・コレットに『カジノ・ロワイヤル』でメジャー(?)になったダニエル・クレイグ、さらにスティーヴン・トンプキンソンにカトリン・カートリッジと味のあるメンバー。
冒頭、歴史を感じさせる風格のある部屋で、今は亡き女主人の声を録音したレコードを聴きながら食事を取る場面が出てくれば、ミニシアター系のファンはこれだけで画面に釘付けではないでしょうか。伝統と規律で人を縛りつけておいて自分は快楽にふけるという、『デリカテッセン』まんまのシチュエーションが展開されると、ひょっとしてラストの展開が読めた人もいるかも。しかし、スティーヴン・トンプキンソンが演じるホテルを守る長男デズモンドは、決して独裁政治を行っているわけではなく、彼もまた母親の呪縛に縛られた一人。これはゆがんだ呪縛から人々が解放される物語です。さらに舞台が孤島のホテルといいうクローズドな空間だけに、見終わった後の爽快感はなかなかのもの。しかしながら、途中展開されるさまざまな形の”愛”には、情熱的なものもあれば恐ろしいものも...。終盤、長男が暴れるあたりは立派にホラー映画ですね。既存の価値観から開放されるのは快感ですが、そのためには大きなリスクも伴うという、ある程度リアリティをわきまえたバランス感覚は気持ちよかったです。
全体的にファンタジックな味付けのある映像とどこか懐かしい音楽がセンスの良さを感じさせます。美しい自然に囲まれた離れ島、人間の欲望と思惑によって崩壊していく建造物であるホテル。その歯車の隙間から放り出された人間たちが本当にたどり着くのはどこなんでしょうか。
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