No.228
タイトル
ホットシティ
(原題)
ORIGINAL GANGSTAS
監督
ラリー・コーエン
キャスト
フレッド・ウィリアムソン、ジム・ブラウン、パム・グリア他
制作
1996年/アメリカ
ジャンル アクション
上映時間
98分
評価
★★
<ストーリー>
かつては鉄鋼の街として繁栄していたインディアナ州ゲイリー。しかし現在では多くの工場が閉鎖に追い込まれ、街には失業者があふれていた。さらにストリート・ギャング”レベル”による執拗な暴力に住民はおびえ苦しんでいた。そこに別の街でフットボールのコーチとボクサーをしていた二人の男が生まれ故郷であるこの街に帰ってくる.....。

<コメント>
「刑事コロンボ」シリーズの原案や、カルト的B級ホラー映画(『悪魔の赤ちゃん』(1974)等)の監督として知られるラリー・コーエン監督作品。「刑事コロンボ」の名作「別れのワイン」も彼の手によるものです。
街を舞台に好き放題暴れまくる若いストリート・ギャングたちと、かつて街を守るために組織され暗躍したオリジナル・ギャングとの対決を描いた作品。
本作では70年代に大活躍した俳優が勢ぞろい。フレッド・ウィリアムソン、ジム・ブラウン、パム・グリア等々、往年の名優たちの雄姿を懐かしみながら楽しむのもよし。また、世代交代等どこ吹く風と、若者たちを相手に暴れまくるオヤジパワーに拍手を送るのもよし。さらにアイディール、ゲトー・ボーイズ、アイスT等、西・東取り混ぜたヒップ・ホップスターが手がける音楽に身をゆだねるもよし、なかなかいろんな楽しみ方ができる作品です。
ただ、そういう意味では話題性は多いのですが、出来としては今ひとつインパクトに欠けている気がします。脚本や演出もわかりやすくてストレートなので、思ったより普通の印象。理不尽な殺人が起こり、街全体を暴力が支配していくにも関わらず、一触即発の緊張感が思ったほど伝わってきませんでした。街の人々が結束して”街を守る”というと聞こえはいいですが、要するにそこで展開される構図は暴力対暴力。かつて街を仕切っていた旧勢力と今、街を牛耳っている新興勢力が殺しあうだけです。来るべき戦いに備えて、住民たちが訓練をしたり武器を揃えたりするくだりも見ていてあまり感情移入できませんでした。
たとえ、そういう状況が黒人社会ではリアルであり得るのだとしても、その現実が暴力による統治以外の何も生み出さないという批判精神もほとんどなし。とりあえずこの街の”正義”が勝利したのはいいけれど、この後どうなるのだろうと心配せずにはいられません。典型的なヤクザ映画として見ればそれなりに楽しめるかもしれませんが、個人的にはちょっともの足りませんでした。

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