No.146
タイトル
愛は霧のかなたに
(原題)
GORILLAS IN THE MIST
監督
マイケル・アプテッド
キャスト
シガーニー・ウィーバー、ブライアン・ブラウン、ジョン・カミラ・ミルウィ他
制作
1988年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
129分
評価
★★★
<ストーリー>
中央アフリカの山奥に生息するマウンテンゴリラが絶滅の危機に瀕しているというリーキー博士(アイアン・クスバートソン)の講演を聴いたダイアン・フォッシー(シガニー・ウィーバー)は、博士に頼み込んでアフリカに飛ぶ。誰の助けも無いまま調査を開始した彼女はついにゴリラを発見。そしてゴリラの調査・保護にのめり込んでいくが.....。

<コメント>
実在の女性動物学者ダイアン・フォッシーの著書『霧の中のゴリラ』をもとに、彼女の数奇な半生を描いた作品。監督は『歌え!ロレッタ愛のために』(1980)等々、伝記・ドキュメンタリーを得意とするマイケル・アプテッド。ダイアンは1966年にアフリカに渡り、滅び行くマウンテンゴリラの生態の観察を始めました。当初は素人ながらも一生懸命に研究を続け、その結果、素晴らしい成果を上げるに至りますが、やがて政治家を巻き込んだゴリラの密猟という大きな壁に突き当たり、彼女の活動は過激にならざるを得なくなります。そして、彼女に待ち受ける過酷な運命。この信念と情熱の学者、ダイアン・フォッシーをシガニー・ウィーバーが熱演しています。彼女は実際に動物園でゴリラを観察したり、森の中で本物のゴリラたちと触れ合ったりしながら撮影に挑んだそうです。どうしてもエイリアン・シリーズのの印象が強いシガニー・ウィーバーですが、これはハマリ役ですね。それが愛であれ憎しみであれ、自分の感情を一方向に解き放つ、情熱溢れる人間像をうまく演じています。そういう意味ではエイリアン・シリーズでも初作以降はかなり意志の強い隊員の役柄でしたからね。ちなみに彼女はこの作品で1988年アカデミー賞の主演女優賞にノミネート、残念ながら受賞には至りませんが、ゴールデングローブ賞では最優秀主演女優賞を獲得しました。
ゴリラを守るために密猟者たちを徹底的に叩こうとする様は、今で言うグローバリゼーションに通ずるものがあり、特に敵であれば子供でも容赦しないあたり、見ていて気持ちの良いものではありません。もちろんそれは彼女の強い信念ゆえのことですし、実際密猟は許されるべきことではないのですが、守るためには手段を選ばない、では応援する気持ちも半減。最も衝撃的で根本的な問題は密猟ではなく、ゴリラたちを”使用”しているのは文明諸国側の人間(=彼女が属する側の世界)であることだと思うのですが、このあたりの突っ込みが弱いので、社会派の作品としては物足りないです。しかし、彼女のゴリラに対する純粋な愛を中心にしてみれば、その純粋さゆえの、あまりにも深くて哀しい愛の物語として心に響きます。

<以下、ネタばれ注意!>
彼女は54歳で何者かに殺害され、無念の死を遂げたようですが、その事件についてラストで描かれるものの結局真相は謎のままです。あくまでも彼女の功績をたたえ、彼女がゴリラや恋人に注いだ愛を描きたかったのであれば、彼女の死は最後にテロップで流すだけでよかったし、社会的に問題提起をしたいのであれば、もっと違う演出の仕方があったのではないかと思います。ちなみに作中のゴリラには本物に混じって作り物もあるようですが、本当によくできています。

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