No.447
タイトル
鬼が来た!
(原題)
鬼子來了
監督
チアン・ウェン
脚本
チアン・ウェン他
キャスト
香川照之、チアン・ウェン他
制作
2000年/中国
ジャンル 戦争ドラマ
上映時間
140分
評価
★★★★

【 ストーリー 】
第二次大戦末期、中国・華北の小さな村、掛甲台村。ある夜、マー・ターサン(チアン・ウェン)はある人物に大きな麻袋を2つ押しつけられる。1つには日本兵の花屋小三郎(香川照之)が、もう1つには通訳の中国人が入れられていた。彼らを晦日まで預かるように脅されたマーは、約束通り匿うが、約束の時を過ぎてもその人物は姿を見せず ...。

【 コメント 】
第ニ次世界大戦末期の中国のとある村を舞台に、なぜか敵である日本兵を匿うことになってしまった村人の数奇な運命を、時にユーモラスに時に辛らつに描いた作品。
物語の中心人物となる、日本兵と通訳が入った麻袋をいきなり押し付けられる村人役をチアン・ウェン自らが演じ、麻袋に押し込められ、村に連れてこられた日本兵を香川照之が演じています。

麻袋に入った敵兵と通訳を押し付けられると言う不条理から始まるこの物語。前半は、「早く殺せ」とわめき散らす日本兵の花屋、しかし命が惜しいため、それらの言葉をすべて友好的な言葉に変えてしまう通訳。この二人の掛け合いとでも言うべき台詞回しが面白く、二人を預かる羽目になった中国人マーが徐々に心を開いていくプロセスもあり、滑稽な中にもほのぼのとした雰囲気さえ感じさせる展開となります。
しかしながら、後半〜終盤にかけて、いきなり物語は戦争に翻弄される人間たちが織り成す寓話へと変貌します。裏切りと殺戮、監督のチアン・ウェンは、前半からしっかり時間をかけてきた伏線と同様、この凄惨な場面も真正面から描きます。そして、予想も出来なかったクライマックスへ。あえて、前半と後半の二部に分けるすると、多少なりともコミュニケーション不在の中で敵味方が心を通わせた前半こそが真実の姿なのか、それともやはり終盤の鬼が棲みついた人間が見せる狂気がリアルなのか。何が正しくて何が間違っているのかわからない状況の中で、人間同士の対立と葛藤は増幅の一途を辿ります。
公開当時は、香川照之の鬼気迫る演技に注目が集まりましたが、個人的には、戦争と言う狂気が生み出した運命に翻弄される村人マーを演じるチアン・ウェン監督の、不安と期待、友好と憎しみ、常に二面性を内包したとまどうような”目”こそ、この作品を象徴しているような気がします。

ちなみに本作は、2000年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネート、審査員特別グランプリを受賞しました。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送