No.390
タイトル
クラッシュ
(原題)
CRASH
監督
デヴィッド・クローネンバーグ
脚本
デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト
ジェームズ・スペイダー、デボラ・アンガー他
制作
1996年/カナダ
ジャンル ドラマ
上映時間
101分
評価
★★★

【 ストーリー 】
CFプロデューサーのジェームス・バラード(ジェームズ・スペイダー)と妻のキャサリン(デボラ・アンガー)は倦怠期を迎え、お互いに違う相手と情事に耽る日々。ある日、ジェームスはハイウェイで正面衝突事故を起こす。相手のドライバーは死亡。助手席に乗っていた女性は一命をとりとめ、ジェームスと同じ病院に担ぎ込まれる。やがて回復した2人は不思議な運命に導かれるように行動を共にする.....。

【 コメント 】
『裸のランチ』(1991)、『イグジステンズ』(1999)などの問題作を世に送り出し続けるデビッド・クローネンバーグ監督が、イギリスの作家J・G・バラードの同名原作を映像化した作品。自動車事故という強烈な体験に性的興奮を抱いてしまうようになってしまった人々の物語。
ほとんどがセックスシーンなんじゃないかというぐらい執拗な性描写。もちろんクローネンバーグらしい”痛い”描写も多く、全体としてかなりこってりした作品になっています。

もともと”普通”の人間だった主人公が、自動車事故をきっかけに破滅的な欲望に絡めとられていく様子がこの映画のテーマにもなっていると思いますが、主人公をその道に引きずり込む男をイライアス・コティーズが好演。ジェームズ・ディーンの事故の様子を再現する集会のシーンの緊張感には、個人的にもそれなりに高揚感を感じてしまうほどでした。うーん、恐ろしい。ジェームズ・スペイダーは、カイル・マクラクランと並んで、主体性がなく物事に巻き込まれていく系キャラクターを演じさせると天下一品ですね。
こういう既存の倫理やモラルに一切同調しない人間というのは、クローネンバーグとかデヴィッド・リンチ作品によく登場するキャラクター。ただあまりに対象に距離がありすぎると単なる傍観者になってしまう可能性があり、今回のジェームズ・スペイダーもぎりぎりかも。主人公の妻を演じるデボラ・アンガーの美しさは特筆ものです。

セックスシーンの繰り返しは人間の性的欲望の奥深さを感じさせるものの、最終的にすべてが性行為に還元されてしまうのは、少し物足りない感じも。さらに同性愛まで飲み込んでいく様は異様ですが、その先に死が予感されるとそれはそれで単純に思えてしまいます。単なる車や事故に対するフェティッシュなのか、それとも一度しか経験できない美しい死への抗いようのない憧憬なのか。内容的にはデヴィッド・リンチのバージョンも見てみたいと思いました。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送