No.221
タイトル
クール・ドライ・プレイス
(原題)
A COOL DRY PLACE
監督
ジョン・N・スミス
キャスト
ヴィンス・ボーン、ボビー・モート、ジョーイ・ローレン・アダムス他
制作
1999年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
98分
評価
★★★★
<ストーリー>
妻の家出から1年半。やり手弁護士の地位を失い。田舎町でつまらない仕事と子育てに奮闘するラッセル(ヴィンス・ボーン)は子連れ出勤も慣れたもの。ある日バツいちのベス(ジョーイ・ローレン・アダムス)と出会い、意気投合するが、そこへ突然、家出していた妻ケイト(モニカ・ポッター)が現れる.....。

<コメント>
『デンジャラス・マインド/卒業の日まで』(1995)で、荒廃した学校を舞台に熱血先生と生徒たちとの交流を描いたジョン・N・スミス監督が、同作に続き、今度は父と息子の絆を描いたヒューマン・ドラマ。
主人公の弁護士ラッセルは、ある日突然妻が家を出て行ってしまってから、子育てに追われながらキャリアアップを目指す日々。そんな忙しい毎日の中でも、とある女性とめぐり合い、仕事でも良い話が舞い込み、新たな人生の幕開けを予感したまでは良かったのですが、子供がいるといろんな事は思うように行きません。そこで彼はいろんな選択を迫られることになります。
仕事と家庭の両立という問題はよくあるテーマではないかと思いますが、3人の息子を育てた経験がある監督だからこその温かくも切ない視点が素晴らしいです。

脚本・演出・キャスティング等、どれもさほど驚くような要素はないのですが、主人公の男性と子供の心情の描き方も丁寧で安心して見ていられました。主人公ラッセルを演じるヴィンス・ボーンは主役作品は多い割りにあまり印象に残らない俳優(ファンの方すみません...)。それでも今回はコミカルな部分と真摯な面のバランスもよく、誰に対しても真っ直ぐ向き合っているところが人間味がありました。息子のカルヴィンを演じるボビー・モートは、オーディションによって選ばれた子供で、本作が映画初出演だそうですが、素朴でかわいくて良かったです。はしゃいでいる時もちゃんと子供らしいです(笑)。
子供が時に夫婦の楔や重荷となったり、今ひとつお互いに足を踏み出せないカップルの仲介役となったりするのは、アメリカ映画ではよくある設定です。もちろん、子供というのは大人が考える以上に繊細で、純粋で、”大人”なのは言うまでもありませんが、ただ、やりすぎると、大人たちのいいように子供が使われているだけになってしまい、リアリティがなくなってしまうんですよね。そのあたりも本作はバランスが取れていると思いました。子供の存在をどう感じるかはまさに大人の側の問題。それを忘れた時、きっと子供や育児が重荷になってしまうのかもしれません。私たちがどう思おうと、子供たちはかけがえの存在であることに変わりは無いのです。
全体的には女性陣の描き方が浅くてちょっと単純な感じで、特に元妻の扱いがかわいそうな気がしますが、親子の愛情の深さと家族というものの難しさ、せつなさをさらりと纏め上げた印象的な作品だと思います。

ちなみにタイトルの「クール・ドライ・プレイス」の意味は、大切な人がどしゃ降りにあった時に「涼しく乾いた場所」となってその人を守ること、だそうです。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送