No.341
タイトル
カラマリ・ユニオン
(原題)
CALAMARI UNION
監督
アキ・カウリスマキ
脚本
アキ・カウリスマキ
キャスト
マッティ・ペロンパー、ピルッカ=ペッカ・ペテリウス
制作
1985年/フィンランド
ジャンル ドラマ
上映時間
80分
評価
★★★★
<ストーリー>
とある店にフランクという名の男が15人。パンクな奴もいれば、ダンディな男もいる。詩人もいれば労働者もいる。男たちはひとつの思いを胸に集まった。「諸君、このスラム街で貧困と罵声に打ち砕かれるのはたくさんだ。俺たちはイヌではない。旅立つ時が来たのだ」。15人のフランクは理想郷を求めてそれぞれ動き出すが.....。

<コメント>
『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(1989)でブレイクしたアキ・カウリスマキ監督の長編2作目。初期作品ながら、すでにカウリスマキ監督特有のブラック・ユーモアや乾いた空気感は確立されています。

登場するのは15人のフランク(!)。彼らは貧困から脱却するために”カラマリ・ユニオン(イカ墨同盟)”なる組織を結成し、理想郷を求めて旅に出ます。その紆余曲折の様子を綴ったロードムービー。まあ、概要だけかいつまんで取り上げればそれだけの映画。スナップ写真のようなモノクロ映像が淡々と続いているようにも見えるし、次々とフランクが死んでいく不条理な映像にも見える。そのあたりのアンバランスが何ともいえない”味”になっています。
人生に前向きになって吠え、熱く語って行動を起こしても、人間には”現実”という強固な壁が待ち受けています。本作では、そんな壁に次々とフランクがぶつかっていくエピソードが綴られます。それはどこか物悲しく、どこか滑稽。そして結局どこにもたどり着けない人々、いや我々(あなたも私もフランクなのです!)。しかしながら、哀愁漂うロックな音楽をバックに、それぞれのフランクが一生懸命壁に向かって突進していく様を見ているうちに、小さな、本当に小さな希望がわいてくるから不思議です。
カウリスマキ監督の作品には、他にも優れた作品はたくさんありますが、これだけのミニマムな構成・脚本で、最後まで楽しませてくれる本作は、ある意味もっともカウリスマキ監督らしい、といっても過言ではないかもしれません。
それにしても、本作の前、つまり長編デビュー作はドストエフスキーの小説『罪と罰』の映画化ですから、なんとも面白い監督です。これに関しては、アルフレッド・ヒッチコック監督が「ドストエフスキーの小説の映画化は絶対にやらない」と発言したのを読んで「それならオレがやる」と挑んだらしいですが。 ホントかどうかわかりませんが反骨精神あふれる彼らしいエピソードです。

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