No.33
タイトル
トト・ザ・ヒーロー
(原題)
TOTO LE HIROS
監督
ジャコ・ヴァン・ドルマル
制作
1991年/ベルギー、仏、独
ジャンル ドラマ
上映時間
92分
評価
★★★★
<ストーリー>
TVの名探偵”トト”に憧れる少年トマ。彼は向かいの裕福なカント家の息子アルフレッドと同じ誕生日で、生まれたときの産院の火事が元で取り違えられたと確信、同家に憎しみに似た感情を抱いている。しかもいつもシャンソン”ブン”を歌ってくれる大好きな父親は、カント家の注文で英国にジャムを仕入れるために飛行機で飛び立ったまま行方不明になってしまっていたのだった。その後、幸せとはいえない人生を送って老人になったトマは、人生を狂わせたアルフレッドに復讐を誓うが.........。


<コメント>
ベルギー生まれのジャコ・ヴァン・ドルマル監督はこの長編デビュー作『トト・ザ・ヒーロー』で1992年のカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(最優秀新人監督賞)および観客賞を受賞、その他ヨーロッパの賞を総なめにする大成功を収めました。続く長編2作目の『八日目』(1996)もカンヌ国際映画祭で大絶賛、主演の2人(ダニエル・オートゥイユとパスカル・デュケンヌ)は共に主演男優賞に輝きました。

確かにこの映画よくできていると思います。ストーリーは生まれた病院の火事が元で、向かいの裕福な家庭の子供と取り違えられたと信じる少年の復讐の物語なのですが、主人公は現在すでに老人になっており、老人ホームを抜け出しての復讐劇と、少年時代から現在までの回想シーンとが同時進行で進んでいきます。現在の復讐と過去の回想、いずれのシーンにもいろんなエピソードが挿入され、またそれが結構複雑に絡んでくるので、ヘタをするとわけがわからなく可能性もあると思うのですが、監督の演出がしっかりしているのでほとんど混乱せずに観られました。これは結構驚きです。

主人公のトマを演じるのは3人ですが(子供時代、大人、現在=老後)それぞれキャスティングが合っていて雰囲気が出ています。また、姉アリスも物語の中では重要な存在ですが、これを演じるサンドリーヌ・ブランクがとてもかわいいです。またトマが姉の面影を感じ追い求める女性を演じるミレイユ・ペリエもなんとなく面影があって無理が無くて良いです。
作品中に父親が歌ってくれた『ブン』という曲がよく出てくるのですが、この曲がトマの思い出を彩り、作品に陰影をつけるのに一役買っています。終盤、トマが道路で抜かされたトラックの後ろに見る父の幻影のシーンはとても印象的です。

サスペンスと呼べなくもないストーリーで、実際そういう雰囲気もあるのですが、結果的には何とも切ない雰囲気のドラマに仕上がっていると思います。ただ、ラストについては賛否両論あるかも知れません。個人的には50点という感じでした。もっと早く切り上げても良かったと思います。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送