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No.29 |
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タイトル
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アリゾナ・ドリーム |
(原題)
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ARIZONA DREAM |
監督
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エミール・クストリッツァ |
制作
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1992年/フランス |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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140分 |
評価
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★★★ |
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<ストーリー>
ニューヨークの水産局で働くアクセル(ジョニー・デップ)は叔父レオ(ジェリー・ルイス)の結婚式のためにアリゾナに連れてこられ、そこでいやいやながらも叔父の店を手伝い、車の販売員をつとめることになる。ある日暗い過去を持つ未亡人エレイン(フェイ・ダナウェイ)が娘グレース(リリ・テイラー)と一緒に車を買いにやって来る。やがてアクセルは未亡人の家に住み込み、未亡人の”空を飛びたい”という夢を叶える手伝いを始めることになるが.........。
<コメント>
独創的な作風で知られ、国際映画祭の受賞歴も多いユーゴスラビア出身のエミール・クストリッツァ監督の作品です。この作品ではアリゾナを舞台に様々な夢を持つ人々の交流と挫折を描いています。
主人公のアクセルが見るエスキモーの夢をキーワードに、幻想的な雰囲気の中でストーリーは進行しますが、この夢自体がかなり変わっていますし(広大なアラスカでオヒョウを釣り上げる???)、幻想的というよりも滑稽になってしまう場面もあるので、この辺りの演出が好きになるかどうかでかなり印象は変わってくるのではないでしょうか?
俳優陣は個性派ぞろいで、それぞれの持ち味を生かした味のある演技をみせてくれます。ジョニー・デップとヴィンセント・ギャロは2人とも個人的に大好きな俳優なのですが、そういうことを抜きにしても、この2人の演技・掛け合いは微笑ましくて必見です。フェイ・ダナウェイは実年齢よりかなり若い役どころのような気がしますがそれでもオリジナリティのある演技を見せてくれます。
基本的にはコメディ・タッチなのですが、時にはとてもブラックな味付けになりますし、時にはちょっと滑稽になる場面もあって、ちぐはぐな感じがしました。アメリカン・ドリームの終焉ということもテーマに含まれていると思いますが、それもストレートに伝わってきません。
私は今回のキャスティングと演出のタッチは、もっと最初から夢を現実的に描きながら(挫折も含め)、ほのぼのとした余韻を残す展開にした方が似合っていたのではないかと思いました。登場人物のそれぞれの夢の扱い方は面白いのですが、場合によっては描き方が浅く感じられてしまい、存在が中途半端に感じられるキャラクターもありました。
ただ、これはこの監督独特の持ち味とも言えますし、流れる音楽も悪くなく、映像的には広大な自然を切り取った美しい場面も多いので、お勧めできる1本ではあります。
ちなみにこの作品は1993年のベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得しました。 |
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