No.5
タイトル
カルテット
(原題)
QUARTET
監督
ジェームズ・アイヴォリー 
制作
1981年/イギリス、フランス
ジャンル ドラマ
上映時間
100分
評価
★★★
<ストーリー>
1920年代のパリ。孤児として育ち、苦労しながらも幸せをつかんでいたマリア(イザベル・アジャーニ)の人生は、美術商の夫が不正取引で逮捕されたことから一変する。金もなく、生活に窮する状態になってしまったマリアは、イギリス人のハイドラー夫妻(アラン・ベイツ、マギー・スミス)の申し入れにより彼らの家に同居することになるが、これが4人の愛憎劇の始まりだった.....。


<コメント>
『眺めのいい部屋』(1986)や『モーリス』(1987)等の作品で知られるジェームズ・アイヴォリー監督が脚本まで手掛けた作品です。今回ベースとなっているのは、1928年に女流作家ジーン・リースが発表した彼女の半自伝的小説です。

フランスを代表する女優イザベル・アジャーニが、2人の男を愛しながら、同時に二人を憎むという難しい役を演じています。それぞれの男達との絡みは悪くないと思いますが、社交界の人間達との価値観の違いに戸惑い、悩む部分がちょっと弱い気がしました。このあたりは彼女の行動を決定する根本的な部分だと思いますので残念な気がします。これは演出の問題もあるかもしれませんが。
しかし彼女の持つかわいさ・美しさは良く出ていると思います。彼女はこの作品で1981年カンヌ国際映画祭主演女優賞を獲得しました。

しかしこの作品に深みを与えているのは、むしろイギリスの貴婦人ロイス・ハイドラー役を演じるアカデミー賞女優のベテラン、マギー・スミスの演技だと思います。
彼女は夫を憎みながらも一途に愛しつづけ、そのために、夫が見初めて家に住まわせた女性ともなんとか均衡を計ろうとする微妙な役柄を見事に演じきっていると思います。彼女の演技がこの作品の緊張感を保っていると言っても過言ではないでしょう。そう考えると相対的に男性陣が弱く、結果的に”4人の男女が織り成す愛憎劇”という意味では今ひとつでした。『眺めのいい部屋』ではもっと登場人物のキャラクターがそれぞれ良く出ていたと思います。
やっぱりイザベル・アジャーニ演じるマリアの数奇なラブストーリーとして観るのが正解ですね。私は作家ジーン・リースについてほとんど知らなかったので、もっと彼女について知識があれば違ったかもしれません。

映像的にはカフェやナイトクラブ等、当時のパリの退廃的な雰囲気が十分味わえる場面がたっぷりあります。このあたりはジェームズ・アイヴォリー監督の真骨頂ですね。そういうのが好きな人にはオススメ。

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