『オールド・パンク』

メリカ文学界にツバを吐き、自分の信念を貫いた詩人/作家チャールズ・ブコウスキー。彼の人生を描いた貴重なドキュメンタリー『ブコウスキー:オールドパンク』(2003)を観ました。彼自身に対してもそうですが、彼を世に送り出すきっかけを作ったジョン・マーティンやジョン・ブライアン等、周辺人物へのインタビュー映像も貴重で(ブコウスキーに対する愛がひしひしと伝わってきます)、本当に濃密な2時間でした。
いろいろと心に残る場面がありましたが、特に印象深かったのをひとつ。バーベット・シュローダー監督がブコウスキーを脚本に迎えた映画『バーフライ』(1987)で、ブコウスキー役(主人公は本人がモデルとなっています)を演じるミッキー・ロークが放つ『俺は市長に立候補するぜ』という台詞について。「俺ならああは言わない。”しまった、市長に立候補するんだった”って言うな。控えめなんだ」と一言。見かけとは正反対の彼の繊細さが実によくわかる発言です。実際、撮影現場には彼もずっといたはずで、いくらでも意見することは出来たのでしょうが、そうしなかった距離感も見えて面白かったです。
ちなみに『バーフライ』DVDの特典映像でのインタビューでは、ミッキー・ロークの演技について結構ほめていたのに、この作品の中では前述の発言も含め意外とけなしていました。要するに金になりゃいい、ということなんでしょうか。さすが。
きっと彼に限らず、すべての人間が繊細に映るほど、今の世界は変わってしまったんだと思います。だから、飲む。

現在は東京でのみ上映されていますが、年末から2006年にかけて、大阪をはじめとする全国各地で上映されるそうです。下記公式サイトにスケジュールが載っていますので、ぜひ。東京も大阪もレイトショーのみのようですが、その他はどうでしょうか。ビールでも飲みながら観たかったな。しかし、このサイトで映画の予告編が見られるのですが、これが相当ひどい。こういう感覚がいろんなものをダメにしていくのです。多分。

・『ブコウスキー:オールドパンク』公式サイト
http://www.zaziefilms.com/bukowski/

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