『コーヒーと』

と人とは本当に分かり合えるのか?難しい問題です。しかし、世界のどこかに空間があって、そこで誰かと誰かが二人で小さなテーブルをはさんで座っている。そしてその小さなテーブルの上にはコーヒーとたばこ。交換される言葉。意味の無い会話。人と人が分かり合えるか?まあ、そんなことはどうでもいいことです。とにかく今、この場所で同じ時間を過ごしている。ただそれだけのこと。良くも無いけれど悪くも無い。生きてて良かったと思うほど楽しくは無いけれど、死んでしまいたいと思うほど辛くも無い。それが人生。素晴らしすぎます。ジム・ジャームッシュの最新作『コーヒー&シガレッツ』です。

「何で俺の言うことがわからないんだっ」、じゃなくて、「お互いよくわからないけれど、まあ、俺は俺、お前はお前で楽しく行こうや」、ということ。いずれにしても時間は過ぎるし終わりはやってくる。だったらお互いに楽しい方がいい。すべてを理解したり、みんなと仲良くするにはあまりにも人生は短すぎるし、複雑すぎます。そんな大人たちのほろ苦くて、優しい世界。ジム・ジャームッシュ作品においても集大成的な位置を占める傑作だと思います。やばいです。毎日見ても飽きない気がする。というか、すでに毎日パンフレット読んでます。仕事できません。あっ、ちなみにコーヒーも飲めないしたばこも吸わない、という方でも全く問題なく楽しめる作品ですので、お気になさらないように。そういうのはあくまでも人と人との間に存在する緩衝材のようなものですから。なので決してコーヒーやたばこでなくてもいいんです(実際、コーヒーが出てこないエピソードもあります)。チョコレートでもいいしコーラでもいい。本でもいいしおもちゃでもいい。甘いケーキでもいいし、湿ったクッキーでもいい。銃や爆弾で無ければね。

・『コーヒー&シガレッツ』(http://coffee-c.com/

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