『サスケ』

の前、仕事で新橋に行った際、駅前の広場で行われていた古本市に遭遇しました。古い雑誌、全集、漫画等が結構たくさん並んでおり、なかなかのボリューム。かなり長時間たむろした結果、掘り出し物に当たりました。”掘り出し物”と言っても、希少価値はあまりないと思うのですが、見つけたのは漫画「サスケ」文庫本全15冊(\3,000)です。忍者ものは結構好きなジャンルで、白土三平氏の「忍者武芸帳」「カムイ伝」等はもちろん、横山光輝氏の「伊賀の影丸」、つげ義春氏の忍者ものもよく読みました。特に白土三平氏の漫画は基本的に社会的に虐げられた人々の生活や苦労に焦点を当てているため、思想も感じられるし読み応えもあって好きですね。サスケ然り。幼い天才忍者サスケを主人公にアニメでも人気を博したシリーズですが、その内容は深く、重いです。
最初、相手は一人又は数人の徒党を組んだ忍者たちです。しかし、シリーズ後半からサスケの敵は”体制”になっていきます。最後は隠れキリシタンから救いを求められ、それが元で自らのコミュニティの危機を招くという、複雑な状況になってしまいます。最近読み直してなかったので、ラストはどうだったか?と思った瞬間、買ってしまいました。15冊すべて程度も悪くなく、良い買い物でした。
その日のうちに読みきってしまいましたが。

最近、アメリカのフロリダ州で延命措置を打ち切られた女性の話題がありました。また、もうすぐ尊厳死をテーマにした映画『海を飛ぶ夢』(アレハンドロ・アメナバール監督作品)も公開されます。本人が十分に意思表示を出来る場合は、親族と議論を重ねることも出来ますが、本人の意思表示が出来ない状態では本当に難しい問題だと思います。

サスケを読んでいて心が揺られるのは、どんなにつらくても苦しくても、死んだら終わり、人間は生きて何ぼ、というメッセージが貫かれているところです。サスケもそうだしサスケの父・大猿もかなりの強度でこういう発言をします。現実的には死んだ方がまし、という状況はあるのかもしれません。しかし、人生は苦しいことばかりだけれど、生きていればいいときもある、という思想が、生きることそのもののモチベーションにつながることもあるのではないかと思います。そして、実際、しっかり生きてさえいれば、良いこともあると思いたいです。
忍者は常に影の存在。どんなに優秀な者でも、必要がなくなれば消されるだけ。社会からはじき出され、常に非情な死と隣り合わせの彼らが命の大切さを説く時、そこには単純だけれど強いメッセージが生まれます。

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