『スパイダーマン2』

の映画のレビューを載せるなんて、今さら、なんですが。『スパイダーマン2』。
1作目が公開された時、このコラムでレビューをしました。そして最後に”『スパイダーマン2』が公開されるとき、「前作をはるかに凌ぐコンピュータ・グラフィックを駆使したアクション・シーンの連続!!!」みたいなコピーが付されていたならば、それだけで少し足が遠のいてしまうかもしれません”と締めました。要するに映像の凄さを前面に押すしかないようであれば、その後、程なく公開された『X−MEN2』同様に大コケするだろうと。ところが劇場に足を運んでみてびっくり、かなり面白かったです。CGも前作よりレベルアップしていて爽快だったし、主人公を中心とした人間ドラマとしても楽しめました(我ながら単純やなあ...)。
まあ、CGに関しては何だかんだ言いながらも、スクリーンの大画面で見ればそれなりに楽しめるということもありますが、特筆すべきは人間ドラマとしての完成度の高さですよね。これは1作目の時も書きましたが、スパイダーマン演じるトビー・マグワイヤの演技力に負うところも大きいと思います。メイ叔母さんとのやり取りのシーン等、アクション映画であることを忘れてしまい、『サイダーハウス・ルール』(1999)か、と思うほどです。
悪役にアルフレッド・モリーナを持ってきたところもやられました。舞台でも活躍していることもあってか、この人は本当に地に足の着いた表現の出来る人ですね。『デッドマン』(1995)、『ショコラ』(2000)、『豚が飛ぶとき』(1993)等々、私の好きな作品に結構出ているんですよ。『スパイダーマン2』の悪役ドクター・オクトパスのように、残忍で破壊型の悪者を演じるには、肉体的にぷよぷよしすぎている気がするのですが、やっぱり存在感があるんですよね。ちょっとネタばれですが、最後に人間性を取り戻そうとする場面...泣かせます。

いずれにしても、『スパイダーマン』が2作連続のヒットを飛ばせたのは、やはり原作の持つ”葛藤”というテーマにちゃんと焦点を当てているからだと思います。人間はみな様々な葛藤を抱えて生きています。それはヒーローとて同じ。ましてもともと普通の人間であったヒーローならなおのこと。
葛藤を打破するために必要なのは、二者択一でどちらを選ぶかという単純なことではありません。自分と相手、もしくは自分と世界(=社会)との折り合いをどうつけるかという事だと思います。さらに、その判断の結果によって、自分の立つべき位置が決まる。だからこそ、難しい。何かを得ようとすると、必ず何かを失う。私たちが生きる世界はそういう矛盾の上に成り立っているのです。CGによるリアルな映像だけでなく、そういう普遍的なテーマに深く切り込めたことが成功の要因のひとつではないかと思います。個人的には当サイトでも取り上げたフランクリン・J・シャフナー監督の『パピヨン』のラストシーンを思い出したりして。
内容的にあまりの大盤振る舞い(このあたりは見てのお楽しみです)に、「次作は大丈夫?ネタ尽きてない?」と心配になる程ですが、おそらく次は父と息子の絆がテーマになりそうな気がします。いずれにしても楽しみです。
ちなみに『スパイダーマン2』は先週12月3日(金)にDVD&ビデオが発売されています。公式サイトもまだ見られますよ。

・『スパイダーマン2』公式サイト(http://www.spider-man.jp/

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