『足の方向』

の前、とある人との雑談の中で、(ああ、そういう言い回しって素敵だなあ)と思う台詞に出会いました。別にロマンチックな言葉ではないし、昔から普通に使われている言い回しなので目新しさもないと思います。でも、何となく”ほんわか”としていいなあと。
それは「あの人には足を向けて寝られない」という言葉です。先輩とか、上司とか、師匠とか、恩を受けた方に対して尊敬の念を表す台詞ですね。同じ感謝するなら、もっと直接的な言葉で表現することもできるのに、あえて婉曲的に言うところが、その人のいないところでも日々感謝している感じがしていいなあと。「あの人はすごいんですよ」とか「あの人は素晴らしい人なんですよ」と聞かされるよりも、”足を向けて寝られない”、と説明された方がなんとなく微笑ましい気がしませんか?意識が無くて寝ている間でさえ、尊敬しているなんて。先方がこちらのことをどう思っているかはさておき、自分の人生にそういう人がいてくれるということ、またそう考えることはとても大切なことだと思います。

幸い私にも何人か”足を向けて寝られない”人がいます。いや、そう書いてちょっと違うな、と感じました。ただ一方的にお世話になったとか、いろんなことを教えていただいた、という人に使うとしっくり来ないんですよね。どちらかと言うと、お世話になりながらも、こちらのわがままや出来の悪さで迷惑をかけた人や、怒られた記憶の方が多い人なんかに使うとピッタリはまる感じがしますね。
サラリーマン時代にもまさにそういう人がいました。何だかんだ怒られていた記憶ばかりなのですが、本当にたくさんの事を教わりました。その人の言葉で、今でも日々心に留めている言葉があります。それは、「仕事にしろ何にしろ、自分が正しいと思ったことをやり通そうと思うなら、最後は机を叩いてでも、相手と殴り合ってでもやり通す気持ちでやれ」、ということです。もちろん、やろうとしていることが本当に正しいことかどうか判断する目や計算されつくした理論が必要なのは言うまでもありませんし、単に武闘派で行けというようなことではありません。何かをやり通すにはそれなりに腹をくくらなければだめだという事です。要するに本気になれるかどうかという事。この姿勢は今でも私の仕事や生活にいい影響を与え続けています。本気でやれば何でも出来るというつもりはありませんが、そういう心構えがあるかないかで結果はかなり違ってくると思います。何でもかんでも全力でやっていると疲れてしまうので、チカラの抜きどころ、抜き加減も大切ですが。
歳を取れば取るほどだんだんと周りに年下の人が増え(悲しいけれど現実です...笑)、自分の意見が通りやすくなりますが、そういう状況でこそ、過去にお世話になった人や自分を育ってくださった方に思いを馳せ、初心を忘れないようにしないといけないなあと。
まあ、「足を向けて寝られない」と言っても、先方のお住まいを知らない場合が多く、実際に足を向けていないかどうかはわからないのですが。

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