『ビッグ・フィッシュ』

ティム・バートン監督の最新作『ビッグ・フィッシュ』を観ました。やっと三軒茶屋の映画館にやってきたんです。内容は、彼のキャリアの中でも私が大好きな作品『シザーハンズ』より良かったかも、です。フェリーニの『81/2』を観終わった時と同じく、後から後から感情が沸きあふれてくる感じでした。泣けた。
ちなみに『ビッグ・フィッシュ』の公式ホームページにもありますが、この作品は1998年に米国で出版されたダニエル・ウォレスという作家のベストセラー小説がベースになっています。スティーブン・スピルバーグも監督候補に挙がったそうです(良かったあー、ティム・バートンで)。

とにかくお話し好きのお父さんと、それを楽しみながらも多少辟易している息子との関係を中心に描いたドラマなんですが、まわりの登場人物の描き方もうまく、しっかりとした人間ドラマになっているんです。やっぱりティム・バートンはすごい。ただのオタクじゃなかった。お父さんの若い頃を演じるユアン・マクレガーもいい味出していますが、やはり現在のお父さん役のアルバート・フィニーが素晴らしい。少し脚色されたお話を語る表情が、派手すぎず、はしゃぎすぎず、それでいてリアリティがあって楽しませてくれます。まさに絶妙。あ、妻役のジェシカ・ラングも一瞬見せる大人の色気がさすがでした。
最近のアクションものやファンタジーものって、これでもかっていうぐらいコンピュータ・グラフィックスを使っていて疲れるのですが、そのあたりのバランスも良かったので、見ていて楽しい映像でした。

誰でも、「ごめんなさい」と謝りたかったけどそうできなかった、「ありがとう」とお礼を言いたかったけど言えなかった、そんな経験があるのではないかと思います。そういう”言えなかったこと”をすべてさらけ出すことが出来たのだとしたら、それは悔いの無い人生と言えるのかもしれません。いよいよこれで人生も最期、というときに、今まで生きてきた中で出会った人々とみんなで語り合い、すべてを打ち明け、手を取り合って踊ることが出来たら、これほど素晴らしいことは無いでしょう。しかし、きっと現実にはそうならない。
だからこそ、今、思っていることを言葉にしたり、伝えたりする必要があるのだと思います。
もちろん、ずっと言わずに心の奥に秘めておくほうがいいこともあります。しかし、勇気を出して言葉にすることで許されることや救われることもある。そんなことを考えさせてくれる、後味の良い作品でした。オススメです。
私も含めて、今日このコラムを読んでくださった方、早速、今まで言おうと思って言えなかったことを、1つだけでいいから言葉にしてみませんか。なんて。

・『ビッグ・フィッシュ』公式サイト(http://www.big-fish.jp/contents.html

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送