『リヴ・フォーエヴァー』

回、”勝ち負けのバランス”について書く際に、90年代のブリット・ポップ・ムーヴメントを描いた映画『リヴ・フォーエヴァー』を少し引き合いに出したのですが、「で、この映画自体はどうよ?」というご質問をいただきました。結論から言うと今年度ベスト1です。そもそも音楽と密接に結びついた映画ってすごく好きな分野なんですよね。近年、イギリスの音楽シーンを描いた作品では『24アワー・パーティ・ピープル』がありましたが、ドキュメンタリーということを差し引いても、”何かが起こりつつある時の空気感”を感じられるのは『リヴ・フォーエヴァー』の方です。UK音楽好きのみならず、イギリスが好きな人なら一見の価値ありだと思います。
登場するのはオアシスのノエル、リアム・ギャラガー兄弟にブラーのデーモン・アルバーン、マッシヴ・アタックの3D、ファッショ・ンデザイナーのオズワルド・ボーテング、アーティストのダミアン・ハースト等々、後に”クールブリタニア”と呼ばれるこのムーヴメントをそれぞれの分野で形作っていた人々。映画自体は、まあ言えば、そういう人たちが画面を通して当時の状況を語るだけなんですが、これが面白いんですよ。特に音楽関係者が秀逸。労働者階級のヒーローながら、クラシックな様式のどでかいイスに座って語るノエル、当時は中流階級出身のバンドのヴォーカルとして紛れも無いアイドルだったのに、場末のバーのようなところでタバコをふかしながら話すデーモン、今にも殴りかかってきそうな態度で”政治なんてわからねえ”と相変わらず高慢なリアム。車の助手席で夜のハイウェイ(?)を飛ばしながらインタビューを受けるという、クールなシチュエーションがハマりまくっている3D。更生施設で療養中???と思わせるロー・テンションなパルプのフロントマン、ジャービス・コッカー。ジョン・ダウアー監督ってうまいなあ。もうすでにレイトショーで2回見てしまいました。
ブリット・ポップはコカインの力を借りた若者達のサッチャリズムに対するゆり戻しであったと言ってしまうとそれまでですが、それでもあの頃のUKロックそしてイギリスは力がありました。ちなみに日本独自企画のサントラ盤が赤・青2枚出ており、こちらも楽しめますよ。
しかし、こういう映画を見るといつも思うのは、日本の音楽シーンって良くも悪くも平和だなあと。もちろん、政治的なスタンスやメッセージがあればいいと言うわけでは訳ではありませんし、そういうのは音楽業界にだけ当てはまることではないと思うのですが。

・『リヴ・フォーエヴァー』(http://www.wisepolicy.com/liveforever/

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