『エレファント・2』

画『エレファント』について引き続き、ですが、その前に少し。
最近は映画の劇場公開にあわせて、その作品のWEBサイトをオープンするのが普通になりました。いわゆる映画作品の公式サイトということですが、その懲りようたるや良い意味でどんどんエスカレートしている気がします。フラッシュをバリバリ使ったスタイリッシュな演出で見た目も派手ですし、ストーリーやキャストの説明等はもちろん、いろいろな裏情報や製作秘話なんかもあったりして面白いです。
で、少し気になったのが、事前に情報を得ることで作品鑑賞に厚みが出るのは歓迎ですが、その反面、「劇場でパンフレットを買う人は減っただろうなあ」と。まあ余計な心配かもしれませんが。
ということで『エレファント』では、久しぶりにパンフを買ってみたのですが、いやいやこれはこれでやっぱり楽しかったです。WEBもパンフレットもそれぞれの特性を生かして作られています。そういうコンセンサスが取れているのかなあ。例えばWEBではBBSで意見交換ができたり、壁紙がダウンロードできたりします。で、パンフレットは、やっぱりテキストベースの情報量が多いし、形や紙質にも結構こだわっています。WEBのように一定期間経過後に無くなる、なんてことがありませんしね。

で、続きです。この作品のパンフレットに掲載されていた作家の吉田修一さんのコメントに、「この映画が恐ろしいのは、間違いなく悲劇が起こることを観客が知っていること」とありました。まさにそう思います。高校生達の日常を捉えた映像が、こんなにもヒリヒリとかさぶたをはがされるかのような”きつさ”を感じさせるのは、観る側が「この後に起こる悲劇」を知っているからです。これが、実はこういった事件が起こってしまったのと同じ世界に生きている私たちの”きつさ”なのだと思います。そして、相反するようですが、もしこの作品が悲劇的なラストを迎えなかったとしても、胸元にべっとりと血を塗りつけられるような感覚は残るでしょう。それが、彼らと同じ目線まで降りることの出来た、ガス・ヴァン・サント監督の手腕なのだと思います。
日常は楽しくて、苦しくて、感動的で、退屈で、そしてそういった感情に全く関係なく、逃れることの出来ないものなのです。私達は”日常”という止められない大きな”象”に乗って、いろんなモノを踏み潰しながら生きているのかも知れません。

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