『ノーマライゼーション』

しぶりに興奮するニュースに出会いました。2月20日付朝日新聞朝刊の一面から飛び込んできた「脱施設「宮城全県で」」の文字。知的障害者が地域で生活できるよう、県内にあるすべての知的障害者の入所施設を解体すると浅野知事が宣言。知事は「障害者の幸福を実現するという原点に戻って考えたい。地域の中にこそ普通の生活がある。適切な支援さえあれば、重度の人も地域で生活できる」と話したとのこと。 障害のある人もない人も共に地域で暮らす「ノーマライゼーション」の理念を都道府県単位で実践する全国初の試みだそうです。うーん、やっぱり浅野知事はすごい。

前回、このコラムで「良い社会とは何だろう」ということを考えてみましたが、例えば障害を持った人にとって良い社会とは、ただ単に障害者手当てがたくさんもらえる社会ではないはずです。また、社会参加という点では、障害者施設でいろんな工芸品や雑貨を作って、それを近所の学校やボランティア施設のバザーで売るだけではないでしょう。みんなが暮らしやすい、とか、みんなが楽しい、という社会を実現しようとするならば、”みんな”とはいったい誰なのか、そして”平等”とはいったいどういうことなのか、あらためて徹底的に考える必要があるのではないでしょうか。その意味でも、浅野知事の下した判断の方向性は正しいと思います。自分たちが暮らす社会をよくするために、個人単位で出来ることもたくさんあって、それを実践することももちろん大切だけれど、どういう社会構造・優先順位を選び取るのか、ということも並行して考えなければ枠組みは変わらない。
もちろん、こういった取り組みは先進国ではすでに主流であるということ、また、地域で暮らしている人々の理解や介護サービスの基盤整備や充実等、構造的にも予算的にも仮題は山積みであることを忘れてはなりません。しかし、とにかく新たな社会モデルを構築しようとする試みであることは間違いないでしょうし、これをきっかけに様々な議論がなされることは確実に”進歩”と言えると思います。
福祉の問題、年金の問題、教育の問題、地域の問題、労働の問題、等々、先進国の一角を担う存在として、日本は世界にどんなモデルを提示できるのか。もしそれが出来なければ、どこかの国の誰かの言いなりになって、命令されるがままに自衛隊を派遣したり、お金を出したりするしかないでしょう。

※知的障害者
全国で約46万人。このうち3割の約13万人が入所施設で暮らす。10年以上の長期入所が半数を占める。地域に出て生活する人は、年間で入所者の1%に過ぎない。施設の知的障害者を対象にした大阪府の調査では回答できた人のうち、75%が施設を出たいと答えた。自分の意思で入所したと回答したのは9%だった。
(2月20日付asahi.comより抜粋)

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