『求ム!サスペンス映画』

たり前のことですが、普段の生活の中で、私はさまざまな感情を経験します。特に最近はギャラリーをやっていることもあって、”楽しい”とか”嬉しい”とか”素晴らしい”という感情を経験することが増えました。時に突出して心を揺さぶられるような出来事もあり、胸が熱くなるような経験も少なくありません。
で、そういう環境をとても恵まれているなあ、と感じながらも、ふとした拍子に”怖い”も経験したいなあ、と思うのです。正確には”怖い”というより”スリル”を感じたいということでしょうね。もともと幽霊等が出てくる怖い話を聞くと寝つきが悪くなるような小心者なのですが、それでもこういう欲求が沸き起こってくるというのは不思議なものです。心が何かしらのバランスを取ろうとしている結果なのでしょうか。で、小心者なので、本当に怖い話を聞いたり、ホラー小説や映画を見るかというとそうではない。また小説は長いものになるとなかなか時間も取れない。そこで登場するのがサスペンス映画。しかし、昨今、このサスペンス映画があまり面白くなくなってきた気がします。
やっぱりジョナサン・デミ監督の『羊たちの沈黙』(1991)以後、猟奇的な殺人・暴力描写、実験的な映像、ほとんど無理があるようなどんでん返しのストーリー展開等、インパクトのみを重視した作品が増えたように思えるのです。二番煎じ、三番煎じが横行する中でも、時として『セブン』(1995)や『ユージュアル・サスペクツ』(1995)、『L.A.コンフィデンシャル』(1997)等の話題作も現れるので、結局全体的な流れは変わらない。もちろん今挙げたような作品はどれも楽しめますし、特に『羊たちの沈黙』はトーマス・ハリス原作の小説に負けず劣らずの作品で、サスペンス以前に”人間”を描いているという意味でも、ドラマとして素晴らしい出来でしたが。

ちなみにアメリカ映画界で権威ある団体の一つAFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が選定した「アメリカ・スリラー・サスペンス映画ベスト100」によるトップ10のランキングはこんな感じです。

1位 サイコ(1960/アルフレッド・ヒッチコック監督)
2位 ジョーズ(1975/スティーブン・スピルバーグ監督)
3位 エクソシスト(1973/ウィリアム・フリードキン監督)
4位 北北西に進路をとれ(1959/アルフレッド・ヒッチコック監督)
5位 羊たちの沈黙(1991/ジョナサン・デミ監督)
6位 エイリアン(1979/リドリー・スコット監督)
7位 鳥(1963/アルフレッド・ヒッチコック監督)
8位 フレンチ・コネクション(1971/ウィリアム・フリードキン監督)
9位 ローズマリーの赤ちゃん(1968/ロマン・ポランスキー監督)
10位 レイダース/失われたアーク(1981/スティーブン・スピルバーグ監督)

おそらく1999年もしくは2000年のデータだと思いますので最新ではありませんが、上位30位までで1980年代以降の作品はわずかに5作です。少ないですねー。トップ10以外では25位のタイタニック(1997/ジェームズ・キャメロン)、28位の危険な情事(1987/エイドリアン・ライン)、29位のシャイニング(1980/スタンリー・キューブリック)がランクイン。
インパクトのある、あっと驚く仕掛けも面白いけれど、真っ向勝負のサスペンス映画は”映画”というメディアそのものの楽しさも堪能させくれる存在だと思います。
ということでがんばれサスペンス映画。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送