『これは見たい』

近いろんなことが慌しくなり、ほとんど新作映画を見ることが出来ず、苦悶の日々を送っています。このコラムでは新作に関しては、情報の提供ではなく、実際観た感想を載せなければなあ、と思いつつ、どうしても行きたい映画を2作紹介します。
1作はもちろん(?)クウェンティン・タランティーノ監督6年ぶりの新作『キル・ビル』。公開開始後、いきなりボックス・オフィスの興行収入で初登場第1位に躍り出る等、さすがの復活劇が嬉しすぎです。と言っても殺戮場面の多さ・どぎつさに評論家筋からは賛否両論浴びせられているようですが、この人の作品は賛否分かれて当然。それだけとんがっているがゆえの爽快感ですから。予告編を見ると日本フリークのタランティーノの趣味爆発という感じで、さすがに日本人の描写では絶対ステレオタイプなところがあるんだろうなあ、と心配もよぎりますが、それを忘れさせるようなカタルシスを期待したいですね。いつもながらブラック・ミュージックへのリスペクトに溢れた音楽も期待できますし、ユア・サーマンが刀を持って暴れまわるだけでも見る価値はあります。とりあえずこのあたりで1発かましておかんといかんよね。この前のコラムでは『座頭市』に期待したいと言いつつ、だんだんと観る気が薄れつつある自分ですが、『キル・ビル』に関しては、もちろんそうはならないでしょう。これはある程度仕事を放り出しても見たい(嘘です)。

もう1作はイザベル・コヘット監督・脚本の『死ぬまでにしたい10のこと』。エグゼクティブ・プロデューサーは『オール・アバウト・マイ・マザー』でカンヌを制したペドロ・アルモドバル。私自身、一度事故で死にかけた経験があるからかも知れませんが、弱いんですよねー、こういう展開。また、これは病気ではなく自ら生きる期限を決めた少年達の物語でしたが、スリ・クリシュナーマ監督の『ニュー・イヤーズデイ/約束の日』も泣けました。私は人間というのは、生きる術にとても長けているだけで、本来そんなに強くない生き物だと思っています。ところがそんな人間でも、いざというとき、ある瞬間、例えば己の生命があと数ヶ月であると知らされたような場合には、本来生物が持ちうる本能というか、潜在的なエネルギーというか、とてつもない強さを発揮するのではないかと。ひょっとしたらそれは逆に強い生き物だということかもしれませんが。いずれにしても、もう後がないという状況に立たされたときに湧き起こる力を感じる時、それはやはり人という種が滅びなかった理由そのものを目の当たりにしたような感動を覚えるわけです。もちろんその”力”というのはただ単に肉体的な強靭さや破壊力のことを意味しているのではありません。『死ぬまでにしたい10のこと』がそういう作品なのかどうかはわかりませんが、いずれにしても生命が限りあるものであることをあらためて教えてくれる作品には違いないでしょう。自ら進んで死と向かい合わなければ、”その時”が来るまで目をそむけ続けられるほど楽観的な生き物なのです、人間というのは。

・『キル・ビル』公式サイト(http://www.killbill.jp/

・『死ぬまでにしたい10のこと』公式サイト(http://www.shinumade10.jp/

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