『座頭市』

野武(ビートたけし)監督・主演の映画『座頭市』が、今年のベネチア国際映画祭で監督賞など4賞を受賞しました。たけし監督の勢いはとどまるところを知りませんねー。「興収30億円も視野に入った」(配給元の松竹関係者)とのことで、北野作品としては最大のヒット作となることは間違いなさそうです。
個人的にはここ数年の日本映画はほとんど見ていないので、北野作品も『HANA−BI』しか見たことがないのですが、緊張関係の中にさ迷い、浮かぶように生きる人々を描くのがうまいなーと思った記憶があります。いつお互いの関係が途絶えるかわからない、もしくはいつかは必ず破綻するであろう安らぎや安心、そういった細くはかない舞台の上で、それでも一生懸命行き続ける人々。たけし監督の演出には、そういう”きつい”状況で生きる人々に美学を貫き通させることによって、存在価値を与えるようなある種の温かい視点を感じます。
それでも『座頭市』で、”タップダンスを取り入れた”というようなエピソードを聞くと、それがプロデューサーの依頼だったとはいえ、やはりこの人は映画監督というよりも、根っからのエンターテイナーなのだなあと感じました。なので、座頭市を題材に選んだ時点でもう勝ちだったのかもしれません。故・黒澤明監督は生前「たけし主演で撮るなら座頭市だ」と周囲に話していたそうで、本当だとすると、さすが”世界の黒澤”の眼力というところでしょうか。
勝新太郎演じる元祖・座頭市の痛快さは誰もが認めるところ。果たして勝新太郎の圧倒的存在感、早くてかっこよすぎる立ち回りに真正面から挑むにしろ、今までと違うアプローチで捉えなおすにしろ、見る側をどれだけ楽しませてくれるのか、久しぶりに期待感高まるジャパニーズ・エンターテイメントの登場です。でも封切り後はしばらく混みそうなので実際見るのはまだまだ先になりそうだなー。

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