『グローバル』

回、文化人類学者・辻信一さんの著書『スローライフ100のキーワード』(弘文堂)をご紹介しましたが、その中に出てくるキーワードの話をもうひとつ。
今回は”グローバル”。この言葉、最近は本当によく耳にしますねー。辻さんは経済の発展や競争のみを助長するような”グローバル”または”グローバル化”という言葉・姿勢に対して疑問を呈していらっしゃいますが、私もその考え方に賛成です。
私はもともとサラリーマン生活が長かったので、”グローバル”という言葉は”世界標準”というような意味で捉えていました。ビジネス(特にテクノロジー)において、欧米諸国のルールや基準に順ずるのではなく、日本独自のルールを作り出し、そしてそれをそのまま世界に広めるということ。私が勤めていたのは金融会社だったので、技術的な世界標準を目指すような企業ではありませんでしたが、それでも車や家電等、日本の技術が世界に認められたり標準になったりしたというようなニュースを聞くと、なんとなく誇らしく感じたものです。しかし、今思えばその考え方は、あくまでも競争社会においてのみ有効であり、評価されるものではなかったかと思うようになりました。
で、やっぱり、企業の有り様も変わってきているみたいですね。
IT関連情報サービスを提供するガートナー・ジャパン社のコラムによると、世界をフィールドに活動する企業には二通りあるそうです。一つは「グローバルカンパニー」、そしてもう一つは「メタナショナルカンパニー」。コラムの中の説明では、「グローバルカンパニー」は、本社で決定された戦略を一律に各地域に敷延しようとする企業で、一方の「メタナショナルカンパニー」は、各地域の差異を認め、そこ根付いている特性の尊重や高度な融合により一段と高いレベルの競争力を実現しようとする企業と定義されています。

今般のアメリカとイラクの戦いは、ある面ではグローバルとローカルの衝突と言えるのではないかと思うのですが、技術的・経済的な競争に関して言えば、グローバル化も有り得るのかもしれませんが、文化的・社会的観点から考えると、やはりグローバル化というのはもう今の時代にはあわないのではないかと思います。結局冷戦が無くなって以降、世界の成り立ちそのものが(アメリカや中国等の存在はあるにしても)ローカルの集積になったと言えるわけで、やはり私たちの価値観もローカル(=個)の尊重への道を辿り始めたのではないかと思います。
「各地域の差異を認める」「そこに根付いている特性の尊重」、間違いなくこれからの世界・社会を生きていく上で重要な思想となる気がします。

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