『タコポン』

近読んだ本、というか漫画の紹介です。題名は『タコポン』。いやふざけているわけではありません。原作・狩撫麻礼+画・いましろたかし。原作者の狩撫麻礼(かりぶ・まーれい)さんは、いろんな漫画の原作を手がけており、『ボーダー』とか『天使派リョウ』等の作品はご存知の方もいらっしゃると思います。特に『天使派リョウ』は学生時代に読んでいたのですが、バブルの時代にリョウの不器用で無頼な生き方がかっこよく、結構ハマりました。『タコポン』はその狩撫さんが鬼才・いましろたかしさんと組んだ作品。
『タコポン』に出会ったのは、当時連載されていた雑誌(なんと言う雑誌かは忘れました)を何かの拍子に目にしたのが最初でした。その時、物語はすでに終盤に差し掛かっており、舞台も宇宙になっていたのですが、シリアスなSFっぽい設定とギャグ漫画っぽい登場人物のコントラストがあまりにも強烈で、「なんじゃこれは!」と思ったものです。その後、単行本を探したのですが、なぜか見つからず、結局今に至っていました。
ところが先日、復刻版(?)が発売されているのを書店で見つけたのです。1冊あたり800ページを越えるボリュームで、上・下の2巻という構成。1巻あたり1,990円+消費税。マジで枕になる厚さです。もちろん早速購入して読みました。
で、これがやっぱりすごく面白かった!

ストーリーは非常に紹介しづらいのですが、漫画に巻かれてあった帯の言葉を拝借すると、「見知らぬもの同士が偽りの家族を構成。謎の依頼者タコポンは彼らを監視し、さまざまなリクエストを彼らに突きつける。次第に好奇心を抑えきれなくなった”家族”たちは真相究明へと動き出すが・・・!?」というものです。
まず最初に”偽りの家族”と言うべき”モニター家族”が登場します。何らかの組織によって集められた他人同士が集まった家族。家族崩壊があまり珍しくなくなった現代において、非常に示唆に富む設定ですね。その後、それを仕組んだのが”タコポン”という組織だということがわかります。最初は金のために”タコポン”の言うがままに偽装家族を演じていた登場人物たちですが、あまりの不可思議な要求に好奇心が抑えられなくなり、やがて、その組織の全貌と目的の解明に乗り出すというもの。
偽装家族から出発するものの、最終的には家族や人と人のつながりに帰結するあたりがシニカルで面白い。これぞジェット・コースター漫画というべきスピード感とねじれ具合は読み応え抜群です。へたなSF映画を見るより痛快。単に笑うもよし、深読みするもよし、ぜひご一読を。

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