No.138
タイトル
ウーマン・イン・レッド
(原題)
THE WOMAN IN RED
監督
ジーン・ワイルダー
キャスト
ジーン・ワイルダー、ケリー・ルブロック、ギルダ・ラドナー他
制作
1984年/アメリカ
ジャンル コメディ
上映時間
87分
評価
★★
<ストーリー>
どんな美人を見ても振り向きもせず、妻ひとすじだったまじめな中年男テディ(ジーン・ワイルダー)。しかし、彼は駐車場でたまたま見かけた赤いドレスに身を包んだ女性シャーロット(ケリー・ルブロック)の振る舞いに、あっという間に心奪われてしまう。それから彼の彼女に対する猛烈なアタックが始まるが.....。

<コメント>
日本では広川太一郎さんの吹き替えでおなじみのおとぼけコメディアン、ジーン・ワイルダー主演のコメディ。脚本・監督も彼が手がけています。
サントラを手がけたのはスティーヴィー・ワンダー。中でも主題曲「I Just Call to Say I Love You」はオスカーに輝く快挙となりました。日本でも驚くほど流行りましたね。その他にも「love light in flight」がシングルとしてヒットする等、サントラ盤は成功を収め、この頃から90年代前半にかけてのスティーヴィーはある意味元気がありました。かなり打ち込みが多用され、賛否両論はありましたが。
赤いドレスの女に魅了され、それまでのまじめな人生から一転、歯車を狂わせて行く男の物語というストーリーと、ジーン・ワイルダー主演・監督ということで、とにかく笑えりゃいい、と思って見たのですが、冒頭、時間軸の逆転から始まる切羽詰った雰囲気に「おやっ」と立ち止まりました。続く、物語のキーとなる赤に身を包んだ女性の登場シーンも少し俗っぽさを感じさせるものの、ケリー・ルブロックの美しさもあってインパクトは抜群。これは他とはちょっと違うコメディが楽しめるかも、と期待感は高まります。で、ジーン・ワイルダーの勘違い演技やとぼけた味がなかなかリズミカルで結構笑えました。そういえばこの人のデビュー作は『俺たちに明日はない』(1967)でしたが、ちょい役ながら存在感を見せつけられました。やはりこの人は存在そのものがおかしい。必要以上に神経症っぽくならないところも安心して見られますね。
ところが、楽しめたのは残念ながら中盤ぐらいまで。ストーリーが進むにつれ、主人公の傲慢さがどんどんエスカレートし、それに伴って彼の演技も空回り。だんだん笑えなくなってきます。あまりにも自己中心的で男性よりの解釈も見ていて気持ちよいものではなく、それゆえの結末なのかもしれませんが、後味はやっぱり良く無かったです。この辺は演出の問題もあるのかもしれません。ウィリアム・アイリッシュの小説『幻の女』のごとく、存在しているのかどうかも危うい女性と、それを一心に追いかける男が繰り広げるミステリアスな作品、とはいかなかったようです。妻以外の女性に惹かれるなら、妻の悪女ぶりや悪友たちの誘惑等、ある程度リアリティも整っていなければ、コメディとしては破綻してしまうのは目に見えていました。もうちょっとファンタジーっぽい味付けでも良かったかも。
やっぱりジーン・ワイルダーはメル・ブルックス監督やリチャード・プライヤーと組んだ作品がはじけていていいですね。他のアメリカのコメディアンと比べると、少し子供っぽいところがあるからか、男女関係を主にした作品だと少し悪乗りっぽさが鼻につく気がします。どちらかというと、ホラー、サスペンス寄りの方が合っているのではないでしょうか。メル・ブルックス監督の『ヤング・フランケンシュタイン』(1974)や『大陸横断超特急』(1976・日本語吹き替え版はもちろん広川太一郎さん!)なんかは今でもたまにビデオを見ますが、やっぱり笑えますから。

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