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No.309 |
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タイトル
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八月の鯨 |
(原題)
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THE WHALES OF AUGUST |
監督
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リンゼイ・アンダーソン |
脚本
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デヴィッド・ベリー |
キャスト
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リリアン・ギッシュ、ベティ・デイヴィス他 |
制作
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1997年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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91分 |
評価
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★★★★★ |
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<ストーリー>
目を患っている皮肉屋のリビー(ベティ・デイヴィス)とロマンチストのセーラ(リリアン・ギッシュ)の姉妹は、夏になるとアメリカ・メイン州の小さな島にあるセーラの別荘にやってくる。少女の頃、二人は夏になるとその入り江にやってくる鯨を見に仲良く出かけたものだった。しかし、それも遠い昔の話となっていた.....。
<コメント>
衝撃的作品『if もしも‥‥』(1968)で世界を驚かせたリンゼイ・アンダーソン監督作品。人生の大半を一緒に過ごしてきた老姉妹と彼女達を取りまく人間模様を、メイン州の小さな島に広がる自然を背景に描いた物語。
とにかく主人公の姉妹を演じる往年の名女優リリアン・ギッシュとべディ・デイヴィスが素晴らしいです(ちなみにこの時、リリアン・ギッシュ91歳、ベティ・デイヴィス79歳!)。来客に備えておめかしするリリアン・ギッシュのかわいいこと。さらに性格が傲慢だった?という噂もあるベティ・デイヴィスもある意味ハマリ役。脇を固めるマラノフ役のヴィンセント・プライス、ティシャ役のアン・サザーン共にぴったりのキャスティング。登場する人々に加え、海や緑の自然の描写が多用されていて、全体的にのんびり幸せな雰囲気。描かれているのは何気ない日常だし、特に大きな事件が起こるようなストーリーではないのですが、様々な出来事を時間をかけてゆっくりと丁寧に描写しているので、退屈さはありません。
日々の行いのほんの小さなことも、いい意味でイベントとなります。水面に映る月明かりを宝石と捉えることが、実はどれだけ大事なことか。けれどもそれは、単純に繊細な感受性によって日常を輝かせるということではなく、いかに自分の人生と、現実と真っ直ぐ向き合っているかということではないでしょうか。
登場人物の台詞から、人生におけるいろんなことを学べる作品だと思いますが、個人的に思ったのは、人生の終盤に必要なのは”自然がある”ということ、そして人間にとって大事なのは”自然体である”ということ。年を重ねるごとに、病院が身近になるだろうし、頑固さも身についてくるでしょう。それでも、”自然”や”自然体”ということが本当にわたしたちにとって必要なものなのだということを教えられた気がします。さまざまなものを乗り越えてきた姉妹が静かに海を見つめるラストシーンは、永遠に観る人の心に刻まれることでしょう。 |
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